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檻ノムコウ雨ハ笑ウ。 まとめ
【人物紹介】
・宮園 礼(みやぞの れい) 15歳。ユイの相棒。おっちょこちょいだが性格は良い。美人。身長は高め。
・春架 唯(はるか ゆい) 15歳。レイの相棒。冷静沈着で大人っぽい。美人。身長は低め。
・Z ???
私、宮園礼はある人から聞いたあの噂を確かめにココに来た。
「……。ユイ、来たわ。」
「OK。レイ、ターゲットUにミッションmをして。」
ミッションmって言うのはまあ確認しよっかの略。私はユイの言葉に合わせてターゲットに近付いた。
「あの、私、園礼美夜って言うんですけど最近引っ越してきた者で…ココは何処ですか?」
「あ、羽乃です。…………工場、ですね……」
Uは、言葉を濁した。あ、園礼美夜って言うのは私の隠れ名。偽名ってやつ。
「そうなんですね!ありがとうございます!」
「あ、いえ。」
私はUに握手を求める。Uは戸惑っていたけれど何とか握手成功。
「ユイ、ミッションaを。」
「ん。」
Uの頭上から雨が数滴落ちる。
「ひゃっ。…………」
「やはり。ユイ、撤退よ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふわぁっ。眠。ユイ?」
私は昨日の夜のミッションを思い出し少し顔を顰める。私はいつも通りユイとの通話画面を開く
「おはよ、レイ。」
「ん〜おはよ」
「Uはやっぱ雨記憶感知症?」
「うん。記憶見たけどそうっぽい。反応もね。Zの事も分かるかも」
「そっか。あ、じゃあね、ばいばい」
雨記憶感知症とは雨の記憶を自分の記憶のように感知してしまう症情の事。表向きは絶対に治らないけど裏では特別な光にしばらく当たれば治る。
雨記憶感知症の力を悪用する人もいるらしくそれを捕まえるのが私達、「デビル」の役目。
私は今までの症状発症者リストのファイルを引っ張ってき、Zと書かれたページへ行く。
「待っててよ、Z。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「こちらユイ。応答を。」
「レイです。出入り口付近に待機中。」
今日はあのミッションの日から3日が経って二回目のミッションの日。
「ユイ、ミッションtを実行します。」
tは取り敢えず捕まえとくかの略。
「OK。レイ、気をつけてね」
私はターゲットが出てくるのを待つ。待つ事20分程。ターゲットが中から少し大きめのバッグを持って出てきた。
「あ、また会いましたね、羽乃さん。」
「……園礼さん?」
ここまでは作戦通り。
「あの。少し来て欲しいところがありまして。」
「……?分かりました…」
私は上にいるユイにゴーサインを出す。
「この上です。ほら。」
「え?何処ですか?ひゃっ……!」
Uの上からまた雨を数滴落とす。でもこれは雨では無くて麻酔水みたいなもの。普通の雨記憶感知症患者は悪用していなければ雨しか感知しないはず。なのにUは反応した。つまり悪用済という事。
「レイ。Uをデビルに。」
「ミッションhを行います。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ん…………。」
「あ、起きられましたか?早速ですが。雨記憶感知症ですね」
「……何故それを。」
Uは訳ありっぽい。
「このままだと貴方は残り余命10年。治したい?」
「……はい。勿論そうじゃないですか」
「そう。ならあそこの部屋でしばらく過ごしてくださいね。ご飯はロボットが調理し、運ばれてきます。風呂とトイレは部屋に完全完備。エアコンとテレビぼ付いているわ」
「えっと……」
バタン
私は戸を閉める。
「ユイ?」
呼び掛けても答えがないと言うことは自室にこもってるはず。
「ユイ、完了。」
「ん。ね、私、明日から二週間デビル開けて行ってくる。」
たまにユイはふらっと何処かに行ってしまう。
「そっか。OK」
私はユイの部屋を出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ん〜。あー!」
ユイが出てから一週間が経った。
私はファイルを開きUのことを書き足す。何気にこの作業が一番面倒臭い。
「あーーーーー!」
だからこのようにして叫んでいる。
名前や住所、年齢などの個人情報や頭は良いのか、ゲームは強いか、女子力は高いかとか正直どうでも良い事も書く。これはユイの考えから。
♪プルルル♪
「レイ?そっちに郵便で段ボール来たら中身を絶対に見ずにデビルの玄関の郵便ボックスに入れておいて。」
「あ、うん。OK〜。」
「ん。じゃあね」
あれ……?ユイは何故中身を絶対に見ずに郵便ボックスに入れてって言ってきたのだろうか……。
「……取り敢えずまずはUの事書かなくちゃ…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユイが帰ってきてから2日後。
「あ、そうだ。次のターゲットはOね。悪用確率10%。場所はこの地図の街の方で当たるわ。」
「OK。ユイ、今回もミッションm?」
「うん。というかそのネーミング、どうかと思うけど。レイの発案よね。」
うっ。相変わらずユイの鋭い指摘に私は何も言えなくなる。
「ギクッ。それより…UからZのことはどうだった?」
「Uからは目新しい情報は得られなかったわ。Uは女性で小柄ってだけ。」
「うーん。私達が今十五歳だから後三年か……」
「短いようで長いし長いようで短いわね。」
私は目を閉じる。十五年。
この内の十年を私とユイはデビルにかけたって事か……
「ね、ユイ?ユイの後悔は何?私はね、もう少し趣味を見つけてのんびり暮らしたかったかも。」
「そっか。私は無いな。」
ユイはいっつもそう。私にはない落ち着きを持っていて自分の運命をある程度認めている。そういうところが羨ましくも怖くもあった。
「じゃ、部屋に戻るね。」
「ん。」
私は自室の引き出しから古い紙を取り出した。
「人類思考感知症。」
何度見ても変わることはないのに見てしまう。
私は0歳の時から人類思考感知症患者。人の記憶や考えをその人に触れたら分かってしまう。
「余命十八年、か。」
私はその紙をそっと引き出しに戻した。
私、宮園礼はある人から聞いたあの噂を確かめにココに来た。
「……。ユイ、来たわ。」
「OK。レイ、ターゲットUにミッションmをして。」
ミッションmって言うのはまあ確認しよっかの略。私はユイの言葉に合わせてターゲットに近付いた。
「あの、私、園礼美夜って言うんですけど最近引っ越してきた者で…ココは何処ですか?」
「あ、羽乃です。…………工場、ですね……」
Uは、言葉を濁した。あ、園礼美夜って言うのは私の隠れ名。偽名ってやつ。
「そうなんですね!ありがとうございます!」
「あ、いえ。」
私はUに握手を求める。Uは戸惑っていたけれど何とか握手成功。
「ユイ、ミッションaを。」
「ん。」
Uの頭上から雨が数滴落ちる。
「ひゃっ。…………」
「やはり。ユイ、撤退よ。」
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「ふわぁっ。眠。ユイ?」
私は昨日の夜のミッションを思い出し少し顔を顰める。私はいつも通りユイとの通話画面を開く
「おはよ、レイ。」
「ん〜おはよ」
「Uはやっぱ雨記憶感知症?」
「うん。記憶見たけどそうっぽい。反応もね。Zの事も分かるかも」
「そっか。あ、じゃあね、ばいばい」
雨記憶感知症とは雨の記憶を自分の記憶のように感知してしまう症情の事。表向きは絶対に治らないけど裏では特別な光にしばらく当たれば治る。
雨記憶感知症の力を悪用する人もいるらしくそれを捕まえるのが私達、「デビル」の役目。
私は今までの症状発症者リストのファイルを引っ張ってき、Zと書かれたページへ行く。
「待っててよ、Z。」
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「こちらユイ。応答を。」
「レイです。出入り口付近に待機中。」
今日はあのミッションの日から3日が経って二回目のミッションの日。
「ユイ、ミッションtを実行します。」
tは取り敢えず捕まえとくかの略。
「OK。レイ、気をつけてね」
私はターゲットが出てくるのを待つ。待つ事20分程。ターゲットが中から少し大きめのバッグを持って出てきた。
「あ、また会いましたね、羽乃さん。」
「……園礼さん?」
ここまでは作戦通り。
「あの。少し来て欲しいところがありまして。」
「……?分かりました…」
私は上にいるユイにゴーサインを出す。
「この上です。ほら。」
「え?何処ですか?ひゃっ……!」
Uの上からまた雨を数滴落とす。でもこれは雨では無くて麻酔水みたいなもの。普通の雨記憶感知症患者は悪用していなければ雨しか感知しないはず。なのにUは反応した。つまり悪用済という事。
「レイ。Uをデビルに。」
「ミッションhを行います。」
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「ん…………。」
「あ、起きられましたか?早速ですが。雨記憶感知症ですね」
「……何故それを。」
Uは訳ありっぽい。
「このままだと貴方は残り余命10年。治したい?」
「……はい。勿論そうじゃないですか」
「そう。ならあそこの部屋でしばらく過ごしてくださいね。ご飯はロボットが調理し、運ばれてきます。風呂とトイレは部屋に完全完備。エアコンとテレビぼ付いているわ」
「えっと……」
バタン
私は戸を閉める。
「ユイ?」
呼び掛けても答えがないと言うことは自室にこもってるはず。
「ユイ、完了。」
「ん。ね、私、明日から二週間デビル開けて行ってくる。」
たまにユイはふらっと何処かに行ってしまう。
「そっか。OK」
私はユイの部屋を出た。
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「ん〜。あー!」
ユイが出てから一週間が経った。
私はファイルを開きUのことを書き足す。何気にこの作業が一番面倒臭い。
「あーーーーー!」
だからこのようにして叫んでいる。
名前や住所、年齢などの個人情報や頭は良いのか、ゲームは強いか、女子力は高いかとか正直どうでも良い事も書く。これはユイの考えから。
♪プルルル♪
「レイ?そっちに郵便で段ボール来たら中身を絶対に見ずにデビルの玄関の郵便ボックスに入れておいて。」
「あ、うん。OK〜。」
「ん。じゃあね」
あれ……?ユイは何故中身を絶対に見ずに郵便ボックスに入れてって言ってきたのだろうか……。
「……取り敢えずまずはUの事書かなくちゃ…」
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ユイが帰ってきてから2日後。
「あ、そうだ。次のターゲットはOね。悪用確率10%。場所はこの地図の街の方で当たるわ。」
「OK。ユイ、今回もミッションm?」
「うん。というかそのネーミング、どうかと思うけど。レイの発案よね。」
うっ。相変わらずユイの鋭い指摘に私は何も言えなくなる。
「ギクッ。それより…UからZのことはどうだった?」
「Uからは目新しい情報は得られなかったわ。Uは女性で小柄ってだけ。」
「うーん。私達が今十五歳だから後三年か……」
「短いようで長いし長いようで短いわね。」
私は目を閉じる。十五年。
この内の十年を私とユイはデビルにかけたって事か……
「ね、ユイ?ユイの後悔は何?私はね、もう少し趣味を見つけてのんびり暮らしたかったかも。」
「そっか。私は無いな。」
ユイはいっつもそう。私にはない落ち着きを持っていて自分の運命をある程度認めている。そういうところが羨ましくも怖くもあった。
「じゃ、部屋に戻るね。」
「ん。」
私は自室の引き出しから古い紙を取り出した。
「人類思考感知症。」
何度見ても変わることはないのに見てしまう。
私は0歳の時から人類思考感知症患者。人の記憶や考えをその人に触れたら分かってしまう。
「余命十八年、か。」
私はその紙をそっと引き出しに戻した。
私、宮園礼は街を歩く。Zの情報を集めに歩き続けていたのだが収穫は無し。ビラを配る時に人の手に触れて記憶から探そうとしたけれど……
「レイ。情報入ったわ。」
「ふぇ!?今行く。今どこ?」
「○○ビル通りの交差点前。」
今、音声チャットで話したのは相棒のユイ。私はユイがいる場所へ走り出した。
「Oがいたわ。Zからの情報を聞いた結果新情報でZは1週間に1度雑居ビルのような場所へ入って行ってるらしいわ。あ、ミッションtの予定がkに変えて聞き込みしたわ。」
「OK。うーん。雑居ビルはどこの?」
雑居ビルで思い当たるのは前のターゲット、Uが出入りしていたあの建物だけど……
「さあ?Oは早速デビルへ確保して治療中よ。」
「そっかぁ。ね、思考力異次元能力保持者症候群は使えなかった?」
「…………。その話は。しないで。」
私は人類思考感知症で余命3年。同じようにユイは思考力異次元能力保持者症候群っていうのを生まれた時から持ってたらしい。それ
思考力異次元能力保持者症候群
は、頭がものすっごく良すぎて今ユイの頭の中には全てのデータや化学者の論文とかが一言一句間違わずに入っているらしい。ユイも余命3年。
「ま。デビル行こっか。」
「俺は。Zさんから指示を受けて俺のような存在を増やす勧誘をしていました。Zさんは常にサングラスをかけていてドレスを着ていました。」
Oに話を聞く。私はOに触れて記憶を探る。
「うん。矛盾なしっと。」
「以上ですね。俺は幹部的な役割でしたので…これしか……」
「いえ、ありがとうございます。」
私はユイの部屋に行く。
「ユーイっ。Oから聞いてきたよってユイ?。」
ユイは部屋にはいなかった。代わりにファイルがまとめられた棚にハンガーで黒いドレスがかかっていた。ユイの好み的にフリルやリボンは好みでは無いはずなのに所々にそういうものがある。
「ユイ……?」
私はOから聞いた「ドレスのようなものを着ていた」という証言を思い返す。
「そんな訳ない。だってユイはデビルだし。」
私は不安を振り払うように自分の部屋へ戻りZの情報をまとめたファイルと今まで取り締まったターゲット達の情報ファイルにOの事とOから聞いた証言をまとめる。書けば書くほど不安が募る。
私、Z。雑居ビルと呼ばれる建物に入るとそこには幹部と守護が集まっていた。
「これから、会議を始めます。Oが捕まった。私達のことをペラペラ喋りやがって。」
ざわめきが起きる。
「そして、Y、K。次のターゲットはYとKになるかも。」
「Oが喋ったんですか?俺はいけますけど…」
「私も大丈夫です。」
「いいや。デビルが決めそうだわ。」
私は外に出て微笑む。
「待っててね、レイ。」
「うーん。」
私、宮園礼はずっとファイルをまとめ続け、こりにこった体を背伸びさせる。ユイの部屋からドレスが見つかって以降ユイの行動を注意深く見てみたけど何変哲もなければ怪しい行動もない。
「レイ。次はYとKってやつ。幹部レベルのようよ。」
「OK。どこら辺探る?」
「雑居ビルを突き止めたからそこに突入するわ。」
雑居ビルをもう突き止めたのか……相変わらずユイは早い。
「ん。」
ユイは何故か少し微笑んだ。
決行日。私達はユイが突き止めた雑居ビルに潜入した。
「ユイ。ミッションs。実行します。」
「ええ。」
私は中に入る。中にはよく分からない段ボール箱や理科の実験で見たような道具まで色々あった。
「ユイ、アメアメ。」
「はい。」
上から大量の雨が降ってくる。これはUの時に使った秘密の水。
これで中の人は倒れているはず。私はドアを開ける。中には2人の男女が倒れていた。
「ユイ、成功。」
ユイからの応答は無かった。
私は取り敢えず2人をデビルに連れて行く。
「Z様は……紫の艶やかな髪の毛です。髪は長め。」
「口調は、theお嬢様っていう感じで…」
2人の名前はYとKというらしい。Yは警護担当でKは幹部のリーダーなんだとか。
「あの。カチューシャはつけてますか?」
カチューシャはユイが必ず着けているもの。
「いいえ…あ、ドクロのヘアピンはつけてました。」
「あ、分かりました。」
そんな感じでYとKからの事情聴取は終わった。
自室に戻る。さっきの情報をファイルにまとめ、読み返してみた。
『Z・・・身長は低め、女性、ドレスを着ている、サングラスをかけている、艶やかな紫の髪、口調はお嬢様風、ドクロのヘアピン、髪は長め』
か。
トントン
ドアを叩く音が聞こえる
「お茶持ってきたわ。」
「お、ありがと」
私はお茶を飲む。部屋は暑かったのでお茶の冷たさが心地よい。
「レイ。Zの事だけど。情報をまとめるとさ、似てる人いるよね。身長は低め、女性、艶やかな紫の髪、髪は長め。思い当たらない?」
ユイは微笑みながら聞いてくる。
「……ユイ?」
「ふふ。それって私にそっくりだよね。ふふふ。」
「え……でも。Zは私とユイに人類思考感知症と思考力異次元能力保持者症候群を私達に起こさせて、雨記憶感知症も撒いた。これはあってるよね。ってことはユイは。ううん。Zは自分に撒いたって事……」
「そ、あたり。あ、後1個嘘ついてたんだっ!」
「嘘……?」
「余命18年っていうのは嘘でしたぁ!で、本当はね!余命16年でーす!」
「今日は8/9の12:00。私の、私達の誕生日まで後12時間程……」
「うん!」
私はふらっと倒れた。
「ふふふ。あのお茶に睡眠薬を仕込んだんだよねー!11時間くらいは眠ってられるよ!眠りながら死ぬの!」
私は薄れる意識の中笑うユイ、Zの顔を見つめた。
「っ…痛っ。」
「あ、起きたんだぁ?」
「ユ、ユイ?いや、Z?」
一面コンクリートの部屋には時計がかかっていて私とユイがいる。今は午後11:30。後30分は大丈夫。
「ねえ、いくつか確認させて」
「良いわよ」
「ね、いつからZなの?」
「んーっとね、5年前!」
10歳…あれ?何でじゃあ生まれた時から人類思考感知症になってたんだ……
「何で生まれたときからj」
「あー、そういう事?私の家の家系は全員Zになる運命なの。」
「なら私達の症候群とかはユイ、Zのお母さんが?」
「正しくはレイだけよ。私は自分でかけたから」
「何で……」
「簡単に言うとこの家系が嫌だから?密かにきえたかったんだよね」
「…」
言葉が出ない。今は11:45。
「あ、後!この部屋は何?」
「さあ」
「ねえ、はぐらかさないでちゃんと言って。知ってるんでしょ?」
「ふふふ」
「ねえ!」
「ここは12:00になったら床が落ちる仕組みよ!」
「え…」
「今までの人類思考感知症患者はここで死んでるの!」
「……そっか」
「あ、11:55だよ!じゃあね!レイ」
「っ……その前に!」
「なあに?」
「さよならの握手」
「そんな手には乗らないわよ」
「なら私と対決する?」
「それは嫌よ」
「ならっ!」
「はぁ。仕方がないわね。じゃあ」
手を差し伸べてくる。私はその手を力強く握る。記憶が滝のように流れてくる。今はーー11:58。
私はユイに1つだけ秘密にしていたことがある。それを言おうとした瞬間12:00と時計の針が示す。
---
12:00を示す音がした。もちろん私は生きている。床も外れてはいない。目の前に倒れているのはユイ。
「ユイ。嘘なんだよね、私が余命宣告を受けたのは。」
そう。私は手を握った時に流れてきた記憶に私に宣告を受けたと言う事実はないと言う記憶があった。つまりユイは私を裏切ったふりをして家系を裏切ったーー逆裏切りをしたという事。
「……またね、ユイ。」