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7 奴隷が優秀すぎる
みやめお #meo
「音魔法からお教えいたしますね。音魔法は主に振動の魔法です。音魔法を使うときは空気が震えるイメージをします」
空気が震える……ね。
大太鼓を叩いたら蠟燭が消える的なやつかしら。
「魔力の中心部分は心臓です。そこから魔力とともに体の中を振動が通っていく感じです。手の中に魔力を流し込み終わったら、その振動とともに音として魔法を変換します」
う~ん、言いたいことはわかるんだけど、難しいわね。
魔力の中心部分が心臓ってことは知っている。
「魔力とともに体の中を振動が通っていく?」
私が思っていた質問をネオがトンボ返しにする。
「では少し見ていてください」
リリはそういうと、手を胸の前に当てる。
手の中からオレンジ色の光がぽわっとあたりに広がる。
それと同時に温かみのある音楽が私の鼓膜を揺さぶった。
「これは、音魔法の中でも高度な魔法です。自分の魔力を振動に変えて、その振動の種類を変え、音楽を奏でます」
なるほど。
つまり音魔法はすべてイメージってことね。
「じゃあ、真空だったら音魔法は使えないのかしら」
「……どうでしょうね?」
リリは少し含みのある答え方をした。
何よ、ちゃんと教えてくれたっていいじゃない。
「確かに、音は真空では伝わらない。でも魔法だから、イメージだから、どうにかなるのかな」
「魔法をなめちゃだめよ、イメージっていうけど相当難しいわよ」
「……そうなんだ」
リリの話や私の疑問をちゃんと受け取ってまじめに考えてくれていることがネオから伝わってくる。
「でも、正直魔法イコールイメージっていう概念は正しいですよね」
リリはにっこりとほほ笑んだ。