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ぼっちの彼
彼はぼっちだ。
彼は曇り空の下を、1人で歩いている。
この季節はまだ肌寒い。時折冷たい風が吹くけれど、彼はただひたすらに歩いている。
遠くで子供たちが楽しそうに昼食を食べているけれど、その騒音は彼とはかけ離れているものだった。
彼の相棒は、今、手に持っている黄色い上着だけ。冷たい風が吹いても、着ることなく、手に持っていた。
彼は木の下へ歩いた。その木は隙間なく葉が生い茂った、低くて、でも大きな木だった。
木の大きな影まで来ると、何を思ったのか、ただ葉を見つめた。
彼はまた歩いた。歩いた先の地面には凸凹があった。その凸凹を飛び移った。でもなんだか足取りは重かった。
彼はまた来た道を戻り始めた。
彼の腕の中で、上着が風でふわりと舞った。
彼がこちらを向いた。
私達に気づいたようだ。監視していたのがバレたのだ。
そう、ここは公園。私達は丘の上にいる。
友達のいない、ぼっちの彼の物語を紡ぎ、思いを馳せていただけであった。