狂って、愛して。

ー？？ Sideー あーあ、今日もまた、あいつは他の人と楽しそうに喋ってる。共演者か？誰だ？ 近くのスタッフに聞いてみる。 「あの方、誰？」 「俳優の田中雅人さんですよ、ほら、今大活躍中で映画にも出てる」 「あぁ。ありがと」 「いえいえ」 へぇ。そんな名前なんだ。知らなかった。 まぁ、これから先、そいつに会うことなんて無いけどな。(笑) 「田中さん、ちょっといいですか？」 誰もいない倉庫に呼び出す。 「お前さ、俺の奴に近づくな。」 「え？」 「だから、俺の物なの。あいつは。俺の物に気安く触れるんじゃねぇよ。」 「っ、、、！共演者と喋って何が悪いんだ！？」 「戯れ言を言うな。さよなら」 その瞬間、俺の目の前の奴は崩れ落ちた。 「っくそ、警察に、」 「無理無理。それ当たり所悪いとこにわざと刺してるから、お前すぐ死ぬよ。」 「っ、かはっ、もう、だめだ、」(倒) 「ふっ、(笑) ざまあ。」 動かなくなってしまったそいつを残し、倉庫から出る。 それにしても、むざむざ殺されてく奴らが本当に馬鹿だ。 俺もグループでは大概馬鹿って言われることが多いけど、こうやって殺されてく方が馬鹿だよな。(笑) それから、ここまでされてて気付かないあいつも。 GPSも付けてる。 メンバー以外、仕事以外で喋ったやつは一人残らず殺してる。 立ち話だろうと何だろうと。 あいつのいつも持ってくかばんには小型のカメラ付いてるし、 俺と仕事場が離れた時は、理解のあるメンバーたちに牽制してもらってる。 ここまで俺はあいつのことを愛してるのに。なんで気付かないんだ？ 愛されていると理解していないのか、それともただ鈍いだけなのか、、、 あいつのことを考えると、頭がおかしくなる。 ふわふわして、ずきずきして、あいつのことしか考えられない。 、、、くそっ、 おい、早く気付けよ。 そうじゃないと、俺、お前のせいでこれ以上に狂っちまう。 分かったか？「佐久間」。 ー佐久間 Sideー 今日も俺は、共演者と喋ってる。あいつが来るのを待つために。あいつに会うために。 「〜〜〜〜！〜〜〜〜〜〜？〜〜、」 「田中さん、ちょっといいですか？」 ほら、来てくれた。 俺への愛が深いあいつは、どうやら勘違いをしているらしい。 俺、あいつからの執着するほどの愛に、気付いてるんだよね(笑) GPSが付いてるのも、 喋った人が殺されてくのも、 カメラ付けてんのも、 メンバーに頭下げて頼んでんのも知ってる。 そんなことじゃ、愛が足りないのに。 俺の方が、 あいつにGPS、カメラはもちろん、 近づいたやつ全員喋ってなくても殺してるし、 あいつの携帯の俺とメンバー以外の連絡先ぜーんぶブロックして消したし、 メンバーとも出来るだけ喋んないように頼んでるし、 カメラなんてそこら中に付いてて、 あいつが部屋で何してるかなんてお見通し。 こっそりSNSに自分の愛の深さアピしてんのも、 寝る前に必ず俺のGPSとカメラチェックするのも、 自慰行為してんのも、メンバーと楽しそうにLINEしてるのも、 全部知ってるよ？ 自分の愛の重さなんて、まだまだ序の口だって分かってほしい。 そうしないと、俺もっと束縛するよ？ ね、「翔太」。