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リエ
「ナオー、いる〜?」
ドアが開く音がして、リエの声がした。
ドタドタと近づく音がする。
床が軋んだ。
「ねえちょっと!部屋汚いし、いるなら返事してよ!」
リエは腰に手を当て、俺を呆れて見た。
「早く布団から出てよ、もう」
そういうと、リエは布団を引き剥がした。
俺はブルっと震えた。
「うるさいなー、寝たいよ」
俺は大学のレポートで、一睡もできなかった。
だから、昼の3時に寝ていた。
リエから布団を奪い、潜り込んだ。
「だーめ。今日は泊まるから、一緒にご飯買いに行こうよ」
布団からリエが俺の顔を覗き込んだ。
リエは目元にシワを寄せてニンマリとしていた、
「ええ、あとでいいじゃん」
俺は不機嫌な顔を作った。
リエも真似して不機嫌な顔をした。
「なんでよ、もう3時だよ?不健康すぎる」
俺の生活は不健康そのものだ。
リエが家に来なきゃ部屋は汚い。
ゴミ袋が放置してあって、
小さなちゃぶ台にはエナドリや、参考書、コンビニ弁当のパックが転がっている。
リエが泣きそうな顔になった。
「んーん、分かった、起きる」
リエは満足そうに笑った。
「偉い、じゃあ着替えて」
よいしょと起き上がって、
俺は髭を剃って着替えた。
「よし、行こっか」
「ナオ、ほんっとに部屋汚い!掃除して!」
食べ物を買って帰ってきて早々、
リエが声を荒げた。
「うるさいよ、片付けるよ今すぐに」
リエはもう、と言って冷蔵庫に買ってきた食べ物を詰めていた。
小さな背なのにスタイルが良くて、
下ろしている髪が綺麗だ。
「リエ」
「なあに?」
俺はリエに近づいて唇を押し付けた。
リエは驚いたような顔をした。
その後すぐに顔を真っ赤にした。
「やめてよ、恥ずかしい」
でもリエは笑っていたので、ぎゅっと抱きしめた。
「もう、なんなの」
リエは俺を軽く突き飛ばして、
また食べ物を詰め始めた。
「ナオって変」
笑いながらリエが言う。
「なんで?」
「だって、私たち恋人でもないのにキスするんだよ」
ほんの一瞬空気が揺らいだ。
「私は、ナオのキス好きだけどね」
リエは冷蔵庫に詰めながら言った。
リエはこっちを見ずに、黙々と詰める。
「うん…」
俺は切なくなって、うんしか言えなかった。
「一番風呂、いただきまーす」
「はいよー」
そういうと、リエは風呂に入っていった。
俺は、高2の時にリエに告白された。
リエは小学校の頃からの幼馴染で、
家も近かったし、よく遊んでいた。
高2の春、リエが帰り道に告白した。
「私さー、ナオキのこと好きなんだよね」
あまりにさらっと言ったので、
普通にうんと言った。
「え?」
「だから、私ナオキのことが好きなの」
足を止めてリエを見た。
真剣な顔をしていた。
でもその時、俺は好きな人がいた。
それに、リエとの今の関係を壊したくなかった。
「ごめん、俺好きな人いるんだ。」
少し間を開けて言った。
リエは泣きそうな、少し顔を歪ませた。
でもまた、笑顔になった。
「そっかぁ、振られちゃったぁ」
リエは笑いながら、また歩き始めた。
でも、声が震えていた。
ああ、泣くのを堪えているんだ。
「じゃあさ、リエ」
俺は口を開いた。
「俺はリエと付き合えないけどさ、好きな人がリエに変わったら、付き合ってよ」
自分でも何を言ってるかわからないし、
理屈に合わない。
自分勝手すぎる意見だ。
でもリエは顔を少し明るくした。
「じゃあ、それまで待っててあげるね」
「おう、待ってて」
それから月日が経って3年。
結局俺は好きだった人とは結ばれず、
それをリエに言えずにいる。
リエは友達のままだけど、
俺と泊まったりしているし、
今の関係も不満はない。
でも俺はリエが好きだし、
付き合いたいと思ってる。
自分は今の関係を守りたいがために、
自分やリエの願望を無視している。
そんな自分が嫌だから、言えないのだ。
「出たよぉ」
リエがブラとパンツだけの、
無防備な身体で出てきた。
「パジャマ持ってないから、Tシャツ借りていい?」
「いいよ」
リエは何食わぬ顔で聞いてきた。
自分がどんな目で見ているのか、
リエは知りもしない。
「ナオ、お風呂入んないの?」
「あ、うん、入る」
急に我に帰って、風呂に入った。
「リエー、ご飯まだー?」
「うるさいなー、手伝ってよ!」
リエは俺の使わない台所で焼きそばを作っていた。
「ナオー、来て」
リエに呼ばれて俺はリエのそばに来た。
リエから、俺と同じシャンプーの匂いがする。
「あーんして」
口を開けてでいいのに、
あーんで表現するリエがなんとも可愛らしい。
俺は口を開けて、焼きそばを一口もらった。
「美味しい」
リエは泊まりのときは、いつも焼きそばを作ってくれる。
いつも美味しい。
「よかったぁ」
リエは満面の笑みで、焼きそばを皿に移した。
「いただきまぁす」
リエがマヨネーズをかけて、焼きそばを食べた。
「美味しい〜」
リエが可愛く笑った。
「マジで美味いな」
俺がそう言うと、リエは八重歯を見せて笑った。
「えへ、ありがと」
リエは笑った小さな口で焼きそばの麺啜った。
「ナオー、歯ブラシないよお」
リエが洗面所で騒いでいる。
「どうした」
「だから!私の歯ブラシがないの!捨てたの?」
リエはちょくちょく泊まるので、
ピンク色の歯ブラシを買っていた。
最近、ブラシがけばけばになっていたので捨てて、
そのまま買うのを忘れていた。
「ごめん、けばけばしてたから捨てた」
「なんで買い直さないのよ、もう」
リエは洗面所でうがいだけをして、
布団に入った。
俺も歯磨きをして、
リエと一緒に布団に入った。
「ナオの匂いがするー」
「やめろよ、恥ずい」
「だって、私はナオのシャンプーで頭洗って、ナオの服を来て、ナオのお箸でご飯食べて、ナオの布団で寝てる。私の中の細胞がナオで侵食されてるの」
リエが面白おかしく笑った。
「じゃあリエは、俺になるの?」
「バカなの?そんな真面目に聞いちゃってさ」
リエはまたクスクス笑った。
「笑うことないだろ!?」
俺はリエの脇腹をくすぐった。
「キャハハハハハ!やめてやめて、くすぐったい!」
リエは大声で笑った。
リエの笑顔は素敵で、太陽のようだ。
すると、隣の住民が壁をドンっと殴った。
やってしまったなと、俺とリエは察した。
「バカ、お前が大声で笑うから」
「くすぐった方が悪いよ」
二人で向き合って笑った。
「里江」
「なあに?」
俺は里江の頭を俺の胸に押し付けた。
「ナオ?」
「また、泊まりにきてよ」
里江は少し戸惑った顔をして、
笑った。
「バカだね、泊まりにくるよ」
里江がグリグリと頭を押し付けた。
「おやすみ、直樹」
「おやすみ、里江」
ゐわのじゃあ〜^
最近は泣いてばっかで
病んでましたが…((
無事三者面談が終わり、(二つの意味でネ)
勉強はついていけず、
夜更かしはする。
なんでやねん!!
なにがしたいねんわいは…
読んでくれてありがとうございましまた!