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降られた人達、相合い傘。
雨っていいですよね…
静かな感じなのに、どこか騒がしいのはどうしてなのでしょうか…
関係性は付き合う前で、學園です。
初心で不器用な二人をどうぞご堪能くださいませ…
太宰side.
今日の朝は曇っていた。雨が降りそうな空模様。
もし降っても流石に帰るまでには止むと思った。
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「嘘でしょ…」
二時限目から降り出した雨。激しくはないものの、止む気配がない。こういう日に限って生徒会もなく、校舎にいられない。
「さて、どうしようかな…」
いくら激しくないとは云え、中々の雨脚。傘はあったほうがいいだろう。
「ん…?待てよ、このまま川に行けば…!」
「やめとけ。ほら、帰んぞ。」
腕をがっしり掴まれ、言われた。声の主は見なくとも分かる。
「中也、どしたの?部活は?」
「この天気だからな。それより手前ェ、傘は?」
「ない。」
「この雨の中、傘無しで帰ろうとしてたのかよ…
分かった。俺の傘、入ってけ。」
「ぇ゙…嫌だよ…」
「俺だって嫌だわ…でも、そこらで入水されるよりはまだましだ。」
「中也、ひどい…。」
「入水されるたびにわざわざ拾うの面倒なんだよ…」
「ま、しょうがない。今日は入ってあげる。」
そう言った時、やっと事の重大さが分かった。
中也と相合い傘…
何ともないはずなのに、急に恥ずかしくなった。
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中也side.
勢いで誘ったはいいものの、真逆本当にする事になるとは思わなかった。
何とも思わない相手のはずなのに、さっきから暑くて仕方ない。
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太宰side.
喋れない…。普段、学校では中也を弄りまくって遊べるのに、二人きりだと何もできない。
中也がこっちを向いている。今の顔を見せるわけにはいかないけど、中也の表情が気になる。
一瞬だけ…
逸らしてしまったけれど、その一瞬で良かった。
僕は、中也に恋をしている。
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中也side.
何も喋れねぇ…。普段は|太宰《あっち》から話しかけてくるから、今更俺からなんて無理だ…。
近くで見上げた横顔は綺麗で、少し赤かった。
その顔がふとこちらを向いて、すぐ逸らした瞬間。一瞬で分かった。俺は、太宰が好きだ。
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雨に降られた二人の、雨に洗われて見えた想い。
晴れ渡って虹が出るまで、もう少し。