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zeta物語 もふもふマニア聖女が追放されて国が終わった件
下手です。許してください
とあるところにzeta王国というところがありました。
zeta王国はとても平和なのは、聖女「レン」が祈りに身を捧げ、この国を加護で守ってきたからです。
最初の方はそれこそ感謝されていましたが、だんだんそれが当たり前になってきたのです。
そしてこんなことを言うものまで現れました。
「レン聖女様はただ手を合わせているだけの無能なんじゃないか?」と____
王「レン、今日でお前は解雇だ。本物の大聖女が現れたのだからな」
アリシア「レン様、今までお疲れ様でした。でも何もやっていませんし言う必要もありませんわ」
王「言ってやるな、アリシア!(面白がっている)と言うことでお前は聖女として失格だ。この城から出ていけ!」
皆期待していた。何もできない無能の聖女きどり女(◀︎勘違い)が泣いて喚いて王に縋りつき許して、と言うところを。しかしレンは動じなかった。それどころか___
レン「え、もうやめていいの?」
え?
皆口を開けポカンとしている。泣くと思った。崩れると思った。縋り付くと思った。
しかし違った。レンは嬉しそうなのだ。
シェルド「…は?」
少し面倒くさがりやだが表情は硬いままだった国騎士団長のシェルドですら口を開けている。
レン「じゃ、もふもふ探しのために。」
そう言ってレンは小さなカバンに薬草をぎゅうぎゅうに詰め込み驚くほど速いスピードで城を出ていった。すごく軽い足取りだった。まるでこの時を待っていたかのように鳥籠から飛び出す小鳥のように。
その日の夜。
レンは城どころか国からも少し離れた誰のものでもない放棄された広大な森についた。
歩いてきたとは思ないような距離だったが、レンは少し疲れるだけで終わってしまったのだ。
今日はもう遅いので、眠ることにした。
レンは木の根を枕にしてすぐに眠り始めてしまった。相当疲れたようだったが、それは歩いてきた時の疲れではなかった。今まで王国で溜め込んできた疲れがどっときてそのまま寝落ちてしまったのだ。
次の日の朝、レンは遅い時間にむくりと起きあがり、勢いよく伸びをした。
もう王国で早起きし、上品で華のある聖女でいなくていい。
もうきついコルセットをつけて無理やり背筋を伸ばさなくていい。
そう考えたレンは少しだがふにゃりと口元が緩んだ。作り物の笑顔じゃない。
本当に笑えた。そう考えると、少し胸が暖かくなった。
すると斜め前の茂みから、ガサゴソと音がする。風ではない。その部分だけ明らかに揺れている。
次の瞬間。
うさぎ「キュルル?」
角の生えたうさぎが出てきた。そのうさぎは怯えることなくもっちりした体でこちらを見ている。
レン「かっ、かわいい〜!おっといけない、びっくりしちゃう」
元聖女・レンはもふもふが大好きだったのだ。角うさぎを見て危うく目がハートになるところだった。
しかしそのうさぎはレンの大声にびっくりすることなく、ゆっくりぴょんぴょん近づいてくる。
そしてレンの撫でようとして少し上がった手の中に頭をすっぽりおさめる。
かわいい。可愛すぎる。心臓が飛び出てしまう!そんな思いを堪えながら、レンは角うさぎに聞いた。
レン「うさちゃん、食べ物があるところ、わかる?」
するとうさぎはその「食べ物」と言う単語に反応したかのように少し先へ進みこちらに振り返った
うさぎ「キュルル!」
ついてきて、と言っているようにレンは思えたのでそのうさぎについていくことにした。
その頃王国ではちょっとした騒動が起きていた。
王国の巨大な噴水の水が半分まで減ったのだ。
アルベルト「気のせいだよ、きっと」
少し気弱で国のためと言われたら断れない王子、アルベルトがいった。
アルヴィン「報告書にはそう書かれてありますが、王子。」
頭がよく、図書室で本を読んでいることが多い書記官のアルヴィンが言った。
ルード「まだ全部じゃないしいいんじゃない?」
いつもふわふわしているが才能はある男子魔導士のルードが言った。
確かに半分減ったところでまだ大丈夫だ。噴水は巨大だからまだまだ水が出る。
こんなに少しずつの異変がどんどん大きくなり、その異変が王国を蝕んでいくことも、レンを追放したせいで異変が起こりつつあるのも、アリシアがイケメンに近づくために聖女だと嘘をついたことも、まだ誰も気づかない。
レンはうさぎについていった。道は少し険しいが、生き物たちがなん度も通った形跡があるおかげで歩けないことはなかった。
レンがうさぎについていった先で見つけたもの、それは小さな泉とその周りになる広大なくだもの畑だった。山葡萄、野いちご、きのこ、そのほかになっている食べ物も全てがずっしり重そうだった。
レンが山葡萄を一粒食べる。果汁と実がぎっしり詰まり、歯応えがいい。ただ少し欠点があった。
味が薄い。泉にわいている水を吸いすぎたせいで味だけが落ちてしまっている。
レンは黙って食べた。なんせ隣で幸せそうに野いちごを食べる角うさぎが、案内してくれたところなんだから。レンはもふもふが好きすぎる。もふもふのためだったらなんだってやれる。命をかけることだってできてしまう。それほどもふもふが好きすぎるのだ。
レンたちは木の実や果物を食べると奥の茂みがガサゴソ揺れているのに気づいた。
何か怖い物が出てくるのか。そんなことを警戒しながら見ていると…
「キュ」
「キュキュ」
「キュキュキュ」
「キュキュキュキュ」
隣で寝ている角うさぎを見た。仲間だろうか。
するとうさぎたちが一斉に駆け寄ってくる。あっという間に膝の上、足元、頭にもっちりとした体が乗った。レンは一瞬気絶した。初対面のうさちゃんたちが、自分にぴったりくっついてくれるなんて。
そう思いながらホワホワしていると…
ポツン、ポツン。ポツポツポツポツ。ザーーーー
急な雨に見舞われた。レンはすぐさま広い場所を探し、茂みを抜けたところに見つけて今まで自分が使ってきた聖魔法で豪邸を作った。土属性、植物属性、水属性を使った。簡易的な物だとレンは思ったが、うさぎたちはここが自分たちの家だと思った。雨を凌ぐため、5匹と1人がその豪邸に入り、2階に上がり、先ほど拾った火打石を使い、暖炉に火をつける。
すごく暖かい。さすがは聖魔法、その者の心すら包み込むような豪邸を建てた。
しばらくしてレンは5本のリボンを取り出した。途中で通った村の女の子がくれたものだ。
そしてそのリボンをうさぎたちに怖がらないし傷つけないように優しくつける。
みんな似たような見た目だったので見分け方を作るためにレンが考えた精一杯のことだった。
水色、桃色、クリーム色、ミント色、さつま色。
色の上の名前で呼べばわかりやすい。うさぎたちは知能が高く、レンがリボンをつけた意味を理解し、名前を呼ばれればその子だけがレンの方を向いた。
その日の夜。
雨はすっかり止んで、夕焼けの太陽が地面を乾かしていく。
レンには気掛かりなことがあった。
お風呂入らなくていいのか。このままだと臭くなるからな…
するとミントが窓を爪でカリカリかいた。
外に行きたいのだろうか?
レン「外、いく?」
ミント「キュ!」
どんどん他のうさぎたちも起き上がり、一階に駆け降りて、ドアを開けたらミントを先頭にどんどん飛び出していった。
レン「待って、速いよー!でもなんか…楽しい…!」
クリーム「キュー!」
しばらく走って曲がってしゃがんでを繰り返してついたのは…
レン「天然温泉だ…!」
モモ「キュキュ!」
まるですべてが自分のおかげだ、と言いたそうにモモが胸をはった。そのせいかわからないがスイがモモのお尻をかじった。
レン「喧嘩しちゃダメだよ〜!」
モモ「キュー…」
スイ「キュキュ…!」
そして仲直りしたかのように耳をクロスさせるとドボンドボンと天然温泉に飛び込んでいく。
飛び込んだ勢いで飛んだお湯がレンにかかった。すごく温かくて気持ちいい。
角うさたちはぷかんぷかんと浮いてきて、幸せそうな顔をしている。我慢できずレンも温泉に飛び込んだ。(◀︎服は脱いでます)
はしゃぐ子供のようだった。もうあの聖女の頃のように使いを連れて、優雅に入らなくたっていい。
自由にはしゃいで笑っていい。それがレンは何よりも嬉しかった。
温泉に入っていると、レンから加護が少しずつ漏れていった。気を抜くと漏れてしまう。だからレンは王国ですごく意識し、気を引き締めていたのだ。
しかしいまはそんなことしなくたって良い。どんどんレンから加護が溢れるが、尽きて疲れる気配はない。レンの目の前で気持ち良さそうにもっちりした体のうさぎたちの幸せそうな顔で無尽蔵に湧いてくるのだ。
レンの加護が一番発揮されるのは森の中と言っても過言はなかった。
溢れ出す加護と温かそうな空気につられてよってきたもふもふたちが温泉に飛び込んでいく。
狐のようなもふもふ、タヌキのようなもふもふ。鳥のようなもふもふやリスのようなもふもふ。いろんな種類のもふもふがいる。レンはそれを見て気絶しかけたが、すぐに起き上がって、温泉を出た。
そして作っておいた麻の服をきた。そして木の実を摘み、バケットに入れて持って帰った。
温泉に残っていたもふもふたちもついていく。レンが作った豪邸はいつの間にかもふもふの家になっていた。レンは摘んでおいた木の実を細かくし、コップに分け入れて、お風呂上がりのジュースにした。
みんな美味しそうに飲んでいる。可愛すぎてレンは力が抜けた。床にへたり込んんでいるレンの近くにタヌキのようなもふもふが櫛を口に咥えて近づいてきた。
たぬ「こるる!」
レン「これで毛をといてってこと?」
たぬ「こるる〜!」
レンがたぬ(◀︎タヌキのこと)から櫛を受け取ると、みんな一斉にこっちを向いた。
目がキラキラ輝いていた。
レン「まさか全員の毛をとけるってこと…?」
いなり「キュ…?」
いなり(◀︎狐のこと)が心配そうにこちらを見ている。ダメって言われちゃうのかな…そんな目だった。
しかしもふもふマニアのレンはそんなこと言わなかった。それどころか、
レン「最高ってこと…?!」
レンはもふもふがさらにもふもふになるのを自分でやって見たかった。
はじめにうさぎのさつまから。お腹、背中、尻尾。
全ての毛を驚くほど優しくといていく。
さつまはだんだんうっとりうっとりし始め、最後には寝てしまった。
その日の夜。
レンの横には大量の抜け毛と幸せそうに眠るもふもふたち。
それを見たレンは大あくびをしてからすぐに寝てしまった。
一番幸せそうだった。
次の日。王国では異変が起きていた。
アルヴィン「野菜の収穫量が10分の8まで減ったと報告があります。どうされます?王子。」
アルベルト「まだ8%もあるから大丈夫だよ…!それに新しい聖女、アリシアがいるんだし!」
ルード「でもさ〜。少し結果出るの遅くない?ってまだ出てないし。前のやつは1日目から発揮してたよ?」
シェルド「まだ初めてだし、仕方ねーだろ。」
アリシア「すみません!わたし、うまくいかないんです!どなたかきてくださいませんか?」
まただ。またアリシアの『うまくいかないんです』が始まった。
本当にアリシアは聖女なのだろうか…?そんな疑問が4人同時に浮かんだ。
その頃レンはみんなで一緒に小川の綺麗な水で顔を洗っていると、キツネリスが肩に乗ってきた。
キツネリスは小さな頭をレンの頭に押し付け、ドヤ顔を披露した。
それに怒ったのか、たぬがキツネリスと猛抗議しあっている。
レン「喧嘩しちゃダメだよ!」
レンのその一言で喧嘩が消えて、なんだか穏やかになっていた。
レンはまだ気づかない。自分が本当は隠れ持った才能があり、その才能が王国を守っていたと。
王国では大事件が起こっていた。
魔獣が出たのだ。重症者は書類の中でも200人はいる。
アルヴィン「これは偶然…でしょうか…?」
シェルドが机に頬杖をついて言った。
シェルド「なんかあの女が消えてから変じゃね?水も食料も減るわ魔物が出るわ」
ルード「なんか変だよね、レン…だっけ?あの女が消えてから異変ばっかだし、アリシアから一切魔力を感じられないんだよね。」
アルベルト「もう一回連れ戻す…?」
アルヴィン「試す価値はありそうですね。」
ルード「でもあいつがアリシアの力を奪ってるとしたら…?」
シェルド「アリシアの命が危ない可能性がある…か。」
アルベルト「…やってみよう。何かあったら僕が対処する。」
シェルド「じゃ、俺行ってくるわ。」
騎士A「僕も行きます!」
騎士B「僕も!」
アルベルト「頑張ってね…!」
シェルド「おうよ!」
その頃レンは…
レン「とってこーい!」
ボール遊びをしていた。一見犬の遊びに見えるが、森はごちゃごちゃなので、どこに飛ぶかわからない。
それを知った上で、もふもふたちは自分の得意なことを生かし、ボールを取りに行っているのだ。
その上、ボールを取ればレンの極上なでなでが待っているのだから。
そのせいか、レンがボールを投げるたび、ちょっとした争いが起きる。
でも、レンはそれを止めない。自分たちで解決させているのだ。ある意味子育てのようだ。
シェルド一行が森に近づく。
森に踏み入った途端、甘い匂いがする。
A「元聖女の女はここにいるって聞きました…はあ…疲れた…(小声)」
シェルド「おい、なんか甘ぇ匂いしねえか?」
A「確かにしますね…果物でしょうか?」
B「おい、見ろよA!めっちゃでかいモモがあるぞ!」
A「うわ、でけえ!…でもなんでこんなでけえんだ?」
シェルド「確かにそうだな、変だ。」
シェルドが試しに一口モモを齧る。口の中にみずみずしい甘さが広がる。なんとも言えないが、王国のどんな料理にも勝てないほど美味しかった。
シェルド「なんか…やべえ…めっちゃうめえ!」
B「マジですか!?」
A「俺たちも食べてみようぜ!」
AとBもモモを齧った。長い距離を歩いて乾いてしまっていた喉が一瞬にして潤う。なんとも言えない甘さだ。飽きることがない。
シェルドがはっと我に帰った。そしてAとBを連れて捜査を続ける。
しかし見つけるのはそう簡単ではなかった。
レンが作ったのは確かに豪邸だ。すごく大きい。でも全てこの森から生まれたものだ。しかも外観が巨木のため、すごく見つけにくい。実際もふもふたちも、この豪邸を一瞬見失ったのだから。
捜査には数時間かかった。
なぜ見つけられたかというと疲れたシェルドが巨木にもたれかかった時、触り心地が明らかに違ったからだ。少しかわいそうだが、見つけられてよかっただろう。
シェルドがドアを強く叩く。中からは音がするが、返事がない。
A「この中には獣しか住んでないんですかね…?」
シェルド「それにしては家の見た目と大きさが凄すぎる。」
B「確かにそうですね…」
シェルド「あー…クソッ!こうなったら強行突破だ!おい!俺が数え終わるまでに開けなかったら、扉ぶち破るぞ!1、2…」
『ガチャ』
ドアがあいた。この中からあの女が出てこなければ俺たちの苦労が台無しになる。だからお願いだ、あの女であってくれ。そう思いながら、扉から覗いている人物を見ると…
レン「すみません、お昼寝中なので静かにしていただけますか?」
よかった、こいつだ。そう思いながら、冷静にこう伝える。
シェルド「王命だ。王国に戻れ、元聖女。」
レン「え、いやです。」
シェルド、A、B「は?」
王命と聞いて聞かない物はいなかった。だがこの女は違った。
レン「だからいやですって。どちら様か申し上げませんが、お帰りいただけますか?」
もっと衝撃を受けた。
この数日で王国の人々のことを忘れるなんて。どれだけ奥にいる獣に夢中だったのか知らないが、シェルドは生きてきた中で最も衝撃を受けた。
シェルド「…どうでもいいからこい!」
シェルドがレンの服を引っ張った途端に大変なことが起きた。
ずしん、ずしん。
地面が揺れているが、地震ではない。森の奥から何か来る。
ずしん、ずしん、ずしん、ずしん。揺れが収まり、現れたのは…
フェルリィ「ぎゃおおおお!」
フェンリルだ。神獣が目の前にいる。フェンリルは、シェルド、A 、Bを睨んだ。
国の騎士でさえ腰を抜かして膝を折るほどの覇気だった。