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2.
「え、誰です? この爽やかイケメンは。」
「だから、美音です。『みなと』って読みます。」
「メタいな、読むとかいうな。」
「まぁまぁ落ち着いて。|苦丁茶《くうていちゃ》でも飲んで落ち着いて。」
「くっそマズイお茶やん。飲んだことあるて。」
(美咲は、シャルムに思い切り飲まされたことがあります。)
「んで、僕について来れば人間界行けますけど。」
「ぜひともお願いしたいね、魔王討伐の準備をしないと。」
「お嬢様、声が大きいです。騎士団たちに見つかったらどうするんですか。」
シャルムが咎めるように言う。
*※騎士団は、魔王に逆らうやつを見つけて処罰する団だと思ってね。*
「大丈夫だよ。こんな森には、誰も来ない。」
今いるのは、西魔界にある小さな薄暗い森の中。
よほどのもの好きじゃないと、ここには来ない。
**「それで、あなた達戦えます?」**
あ、終わった。戦う流れや。こういう相手ってだいたい強いよね。
ずっと引きこもってたやつが戦えるわけ無いでしょうよ。
少し考えたらわかるよね、魔王を倒すためだもんね。相手の実力知りたいよね。
・・・・・というとでも思ったか?
私はあそこから出るまでずっと暇だった。何もないからね。
だから、色んな魔法を考えてた。 使えるかは知らんけど。
「よし、かますかぁ。」
「今日で初戦闘ですよね、お嬢様。」
「お二人は僕の結界を破ったら勝ち、僕は二人を|戦闘不能《気絶》にすれば勝ち。」
だいぶ緩いルールだね、こっちがすごく有利だし。
「このくらいしないと、圧勝しちゃうからね。僕は。」
うぜぇ〜〜〜! やる気出てきた、やるか。
「**夜光の堕天使**を舐めないでもらえるかな。」
なんだよ、夜光の堕天使って。厨二病か? そうなの?
「そろそろ、戦闘を始めますか。」
「そうですね、それじゃあ・・・・。」
**「スタート」**
――――戦いの幕が上がる。
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さて、と。
任せたよ、もうひとりの私。強敵っぽいから気をつけて。殺さないようにね。
*『承知した。』*
その短い返事と同時に、私の意識は暗い闇へと消えていく。
これは、私が|あいつ《美音》に勝つ唯一の術。
**よろしくね、美和さん。**
さてさて、美和さんとは一体何者なのか!乞うご期待!