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あの子が気になっちゃうんです!
脳裏
「はあはあはあ」
私は近くにあった細い路地裏で息を整える。
「なーにしてるの〜?」
「!」
声の主を見ると、そこには、私が殺そうと思ったあの子がいた!
「な、なんでついてきたの!?……殺す気!?」
………さっきのみのかわし方は只者じゃなかった。
「……ふふ、そんなに焦らないで、私はあなたに興味があるの。………さっき少しでも気付くのが遅れていたらやられてたわ。………あなた、何者?」
「それはこっちのセリフよ。」
「ああ、言い忘れてたわね、………私はアイドルの、森岡早苗。早苗でいいわよ。」
「………私は神崎小春。」
「単刀直入だけど、あなたって人殺したことある?」
「……………ある。」
「……そう。私もあるわ。」
………やっぱり…。身のこなしがすごく綺麗だったし、足が速い私についてこれてるからね。
「ね〜ね〜『Rain』交換しよ!」
………やけに馴れ馴れしいな?
「あ…うん、まあ…いいけど。」
「やった〜!これからよろしくね!こはるん!」
「ここここはるん!?」
「じゃあばいば〜い!困ったことがあったらいつでも頼ってね!」
「あ………」
早苗はヒョイっと姿を消した。人殺し同士仲良くしよ〜ぜ!的な?
「こっちで目撃情報があったらしいぞ!」
遠くから警察の声が聞こえてきた。私は急いで裏道を使い、家へ走った。
(カチャ)私は鍵を捻ってドアを開けた………はずなのに、ドアが開かない。考えられる可能性は一つ、鍵を閉めずに家を出た。もともとドアは空いてたということ。うーん、泥棒入ってないかな………。再び鍵を回し、ドアを開けると………もうそこはゴミ地獄かってぐらいぐっちゃぐちゃだった。花瓶は割れてるし、床は泥まみれだし……。ど、どうしよう………。!そうだ、早速早苗に連絡だ。人殺し同士というのもあり、妙な親近感が湧いてしまっている。(早苗っ!緊急事態!家に泥棒が入って、まだ中にいるかも!)そう送ると、すぐに返信があった。(すぐに行く!それまで中には入らないで!)(了解です)そう送ったけれど、私は入る気満々だ!返り討ちにしてやるっ!
「………もう帰ってきたのか」
背筋が凍りついた。………背後から聞こえてきたのは低くて渋い男の声だった。パッと振り返るとそこには、黒いマントを羽織った、やけに背が低い男がいた……………いや、女にも見える。
「あ、えっと……ごめんなさーい!」
そう言って私はその男?の懐に飛び込み、(ズブリ)ナイフで刺した。………はずなのに、なぜか血が出てこない。それどころか、男?はナイフを自分で抜き、逃げていった。
「な、なんで?」
床にも全く血は溢れていなかった。