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3rd
「い、いぎりす?いぎりすって、あの、えっと、遠いところにある...なんだっけ?」
「...アホやん。」
しょーちゃんに言われるとムカつくんだけど!しょーちゃんだってバカなくせに。
「イギリスっていうんは、国だよ国。日本とかと同じやつ。」
「あぁ!」
それで、いふくんはイギリスに行くんだ...。
「そ、だから今日が会えるの最後だと思う。」
えっ...最後...?
「え、嘘やろ?だったらもっと早く言っ((
「ごめんな。わかったのもつい最近やったし、ホントかどうか、正直俺が信じれなくて...」
「も、もう、会えないの?」
分かりきってることだ。言ったらいふくんがもっと傷つく。
わかっていたのに、口に出してしまった。
「...」
ようやく口を開いたのはいふくんだった。
「あ、会えるかどうかは、...わからんけど。で、でもっ、会いたいって思っとったら、きっと会えると思うっ!」
どう考えても、あのいふくんが言うような|台詞《せりふ》じゃない。
一生懸命考えたんだ。
「うん。そうやな。」
空が暗くなってきた。最後だというのに、お互いの顔さえ見えなくなる。
「そしたらさ、次会うのはやっぱりここが良いよね。」
「そうやな、ここで会おう。」
「いつ?」
「ん〜...いつか?」
「いつかか〜っ」
空を見上げた。
星が綺麗だった。
その晩、案の定僕はお母さんに怒られた。
でも、いふくんとの別れは、なんか悲しくなかった。
いや、悲しかったのだろうけど、涙は出てこなかったし、なんだかモヤモヤした気持ちだった。