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暁前の微光【12話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
底に埋もれた強者達。
逆境に仰がれし弱者達。
さらに強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
そろそろ着くかな。まだまだかな。
もしその光景が見れなかったら、LOUISはどう思うんだろうな。
来年も、四人で来れるかな。
淡い期待と確かな不安。
今年もやってますように、四人が同じ事を思っていた。
一人の仲間のために、これだけ勇気を出したうちたちには。
ちゃんとご褒美があるよね。
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「見えない」
LOUISがぽつりと、そう呟いた。
見えない、と。
LOUIS「前が、見えない」
LOUISの身体の中で何がどうなっているのか私には全くわからなかった。
見えない、見えないとただつぶやくLOUISに何をしたらいいのか。
意識障害が再発したのか。
ただたんに寒さで目が霞んでいるだけなのか。
私と周が呆然としていると、カラが言った。
カラ「LOUIS、前が見えないだけ?他になんか変なとこある?」
ないよ、とLOUISが落ち着いた声で答える。
大丈夫かな、と周が隣で呟いた。
カラ「じゃあ、どんな感じで見えないの?まっくら?」
LOUIS「ちかちか、するだけ。ぼんやり」
カラ「じゃ、ちょっと休も」
「あそこの公園まで、いける?」
カラの言葉を一通り聞き終え、少し考えるような仕草をした後
いける。と返事をする彼。
こういう時に、日頃から彼をみているカラは頼りになる。
いつもとは打って変わった冷静かつ素早い対応をする。
カラ「よっしゃ、いこ!!」
周「……おー!!w」
カラと周でLOUISを挟んで、カラの横に私がつく。
全員で手を繋いで少し先の公園で休むことにした。
あの場所まで残り1.5キロほど。
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積もる雪を払って、公園の階段に腰掛ける。
周「う‘‘〜っ……さむぅう…」
寺「ね、私でもけっこう寒い…w」
「________おわ、っ」
急に首があったかくなったと思えば、周がマフラーをかけてくれていた。
ぬくぬくしていて、少しだけ、あったかい。
周「あったかい?」
寺「ん、あったかい。」
ありがとね、と言うと別に!と返ってきた。
素直じゃないなぁw
カラ「周ーー!!寺っちゃーーん!!飴ちゃんあんで!!」
周「えっ!!食べる!!!!」
寺「やったぁ」
カラの呼びかけに対して階段を滑り降りるかのように走っていく周。
また滑っちゃうよ_______あ、滑った。
周が落とした茜色マフラーを拾い上げ、かじかむ手をさする。
寒いなぁ。
LOUISは滑り台の下でカラのマフラーと耳当てをして暖をとっていた。
さっきはどうなることかと思ったけど、大丈夫そうかな。
カラと周は飴を手にたくさん持って、美味しそうに舐めていた。
寺「カラ、私も飴もらってええ?」
カラ「ん!ええよ!」
「いちごとぉ、めろんと、ミルクと〜、レモンもある。あ、あとぶどうも。」
寺「ミルクがいいな。」
カラ「おっけぇ!ちょっとまってや……んーと、みるく、みるく…」
はい!とカラがミルク味の飴を二つ渡してくれる。
甘い。
少しだけの休憩。
はやく行きたい。それでいて、少しだけ怖い気持ちと不安があったのは多分、
嘘じゃない。
続く。