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#2 異変は突然に
次は理科。
わたしとアヤ、レナで教科書とノートを抱えて理科室へ向かう。わたしたちが一番のりだ。
「あっ、黒科先生っ」
髪は銀色で染めたっぽい。うちの学校は染めても学校に影響はないからOKという、現代っぽい感じだ。黒服に白衣という、いかにも理科の先生という感じ。優しいので、わたしも好きな先生だ。
「あ、美浦さん!彩花さんに、玲奈さんも」
「おはようございますっ。今日、わからないとこがあって」
「うんいいよ!どこらへん?」
あっ、ペンケース忘れた。
両手に力を込めて、
(教室を出る直前にもどれ!)
と念じてみる。
意識が____遠のかない。
なんで…?
「ごめんアヤ!ペンケース忘れちゃってさ〜、貸してくれない?」
「全然いいよ〜」
そう言ってペンケースを借りて、わからないところを聞いた。
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なんでだろうか。
今までのように、わたしは力を込めた。
《《やり直す能力》》が失われたように、わたしは戻ることができなかった。
そう思いながら、下校の道を歩く。今日、テニス部はない日だ。
「大丈夫ですかっ…」
「うえぇっ!?」
危うく、花壇に突っ込むところだった。ひえぇ…
白いロングヘアに、青い瞳。白いパーカーを着ている。常人じゃ有り得ない色。
「ありがとうございましたっ。わたし、飯田美浦っていいます」
「私は……御影花蓉っていいます……2年生です…」
御影さんっていうのか…。
「どうかされました…?」
「いえ、ちょっとぼーっとしちゃってて…能力が使えなく」
「能力?」
しまった、流れでつい言っちゃった。
親にも言ってないのに…
「いえ、気にしないでください。単なる…中一病、みたいに捉えてください」
「……私、能力持ってるんです」
「えっ?」
「……|霊を操る能力《ゴースト・パラダイス》、です」
「霊を……?わたしは、やり直したいって思ったところからやり直せる…いわば、書き換え可能なタイムスリップ…みたいな感じです」
改めて言うのは、ちょっと変な感じがする。
「でも、今日になって急に使えなくなってて…」
「私も……みえなくなってました……何か進捗とかあったら…2年2組に来てください…」
「はいっ。わたし、1年3組です」
そう言ってかるく会釈して、わたしは御影さんと別れた。