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紅葉着色係
今年もまた、この季節がやってきた。私たちにとって秋へと移り変わる季節は一年で一番大忙しになる季節だ。
夕方。あと一時間ほどで日が完全に沈むと言う時間帯に会社から支給されたペンキを担ぎ、担当エリアへ向かう。今日担当するエリアは山の麓のところだった。
日が完全に沈んだ。ここからが私の腕の見せ所だ。手先から伝わる葉の形で色を塗り分けていく。何年この仕事をやっていても夜のこの暗さには慣れそうにない。皆が美しい紅葉だと言うけれど、こうして夜な夜な色を塗っている人がいるということも忘れないでほしい。
黙々と作業を続け、夜明けが迫ってきた。辺りがほんの少し明るくなり始め、私は気づく。
葉の色がおかしい。なんだ、この、目を射るような激しいショッキングピンクと蛍光グリーンは。慌ててペンキ本体の色を確認する。一つのペンキの側面には紅葉色、もう一つのペンキの側面にはイチョウ色と油性ペンでしっかりと書かれている。だが中身にはショッキングピンクと蛍光グリーンが。会社の手配ミスだろうが、多分、私も怒られる。
ああ、今日の夕刊の見出しには私の担当エリアが大々的に載ることだろう。
よし。これは、「Z世代をターゲットにした自然界とネオンの融合を試みた実験的アート」だと言い張ろう。上司には「時代を先取りしすぎました」と頭を下げれば、減給くらいで済むかもしれない。
【本日の一部夕刊の見出し】
『大自然のバク?XX山の麓に突如現れたサイケデリックな超未来型紅葉、SNSで大バズり。なお、担当者は不明。