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【第1話】君の音が聞こえない。
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--- 僕はずっと待ってるよ。 ---
--- また、君の声が聞ける日まで、ね。 ---
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都内では有名な、音楽大学。僕はその学生。
今日は、大学内でも大きなイベントが開かれてる。そこには大勢の人が集まっていて。
この僕も、この後のイベント内の発表会の参加を控えている。イベント発表会の予定表の出演欄には、“ 小森 連”と、自分の文字小さく刻まれている。
____出番まで、あと3時間か。まだ時間はあるし、確認も兼ねて練習しておこうかな。
僕はフルートを専攻している1年生。フルートは中学からずっと吹いてきた、まさに相棒。辛い時だってずっと吹いてて、フルートは裏切らない、ずっと一緒だ、と決めたんだ。今日もいつもの“練習室6”の部屋で練習でもしよう。
いつものドアを開ける。この後のイベントに向けて____
「えっ。」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。なぜって、そこには見慣れない女性が座っていたのだから。誰だ?何故ここに人が?ここはフルートの練習室で…。と、脳内をフル回転させながらふと教室のドアの上にある部屋番号表示板に目をやる。そこには“練習室4”と書いてある。
しまった。ぼーっとしていたのか、2つも手前の部屋に入ってしまった。
だが彼女はなにも言わず、驚いたような表情でこちらをじっと見ている。
間違ったのは完全にこちらの落ち度なので、女性に急いで謝罪する。
「すみません。部屋、間違えてしまって。驚かせましたよね。」
彼女は焦って譜面台から小さなノートとシャープペンシルを取り出して、焦ったようにノートになにか書き始める。
そしてノートを軽く僕の方に向けてくる。
そこには可愛らしい文字で“大丈夫です、気にしないでください。”という文字と、横にはニッコリとした絵文字が添えられている。
__筆談。もしかして、耳が聞こえないのだろうか?
不思議に思ってチラッと女性を見る。その不思議そうな僕の眼差しで僕の考えていることを理解したのだろうか。彼女はもう一度ノートを自分の方に向け、またなにか書き出す。
数秒後、ノートにはこんな文章が追加されていた。
その文章を見て、僕はまた気の抜けた声を出してしまった。
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アカウント作り直しました。
これからもよろしくお願いします🎧𓈒𓏸