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英国出身の迷ヰ犬×文豪ストレイドッグス!3rd.ep_11
「……よくわかんないけど、ルイスはこの人達のこと嫌いそうだから遊んでいいよねぇ♪」
「ちょっ、待っ、だから、引っ張っ」
エマちゃんに引っ張られるアーサーさんと、それを見てポカンとするテニエル兄弟姉妹の図の完成。
………いやいやいやいやいや
「ルイスさん説明Pleaseください!!」
「ごめん僕もちょっとよくわかんない」
「ルイスさぁぁぁん!!!」
混乱して発狂する私と色々考えてから疲れたようにため息をついたルイスさん。
探偵社はというと、持ち前のマイペースさを発揮して各々自由だった。
……………なんだこれ。
そんな私達の横でいつの間にか苦笑しているアリスさん。
「…あの……」
「どうしたのかしら?」
「お久しぶりです…?」
「一言目がそれなのね」
私はてっきり、といいかけてアリスさんはちらりと轟音の音源を見やった。
それに習って同じ方向を見ると、ルイスさんの先輩…?方がテニエル兄弟と戦っているところだった。
何あれ怖い。
ルイスさんの先輩方怖い。
赤髪の男性はちょっとはっきりとは見えないけれど、何かきらりきらりと光るものが周囲に舞っているし…
あれ、芥川みたいな人いる…じゃなくて。
というかそんなことを云っている暇もないほどにあっという間にテニエル兄弟が押されている。
ひええ、先輩方にエマちゃんもアーサーさんも怖い……
しかもよく聞いてみるとかなり物騒なことを云っている。
「…てっきりあっちを先に聞くと思ったわ」
「…なんか……ルイスさんもアリスさんも既に意味わからないくらい強いので……英国軍の方はみなさんそういうものなのかなって………」
「そんな化け物みたいな」
からりと笑うと、でも、と云いかけて祭囃子の方に向き直ったアリスさん。
「…でも、彼が気がついてくれて良かった」
何のことかは聞かなくても分かった。
…ボス。
「…本当、その通りです」
「けれど…この先どうするつもりなのかしら」
「この先?」
「…何があろうと血のつながった兄弟姉妹というものは他にない存在だもの」
「…たしかに、そうですね…」
私もきっと、お姉ちゃんとこんなふうになったら__それが間違っていることだったとしても、裏切れない。
何をしようとも、お姉ちゃんと一緒にいる…
そんな選択をしてしまうだろうから、ボスはすごい。
ボスは__ジョン・テニエルという人は、強い。
「…私が心配する幕、なかったなぁ」
独り言のようにそう呟く。
「私から、ひとつ聞いていいかしら?」
顎に手を当てながらアリスさんが私に問いかける。
「もちろんです_私にわかることなら、」
「貴女は__これから彼はどうすべきと思う?」
食い気味にそう尋ねた彼女は、初めてルイスさんと会った時の表情にそっくりだった。
---
「此処は…」
「ぽ、ポートマフィアの、、」
「成程、君は_?」
--- 「わ、私は泉桜月。貴方は、、?」 ---
--- 「ルイス。ルイス・キャロル。_26歳だ」 ---
---
ああ、懐かしい。
あれから、本当に色々なことがあって。
信じられないくらい、色々なことがあって…。
「…彼、っていうのは_ボスのことですよね」
「ええ…あくまで貴女の考えでいいから」
「__それは」
気がつくと、いつの間にか探偵社の人たちは異能を持たない一般兵や異能を持つ構成員と交戦している。
単体での強さではきっと探偵社側が圧勝なのだろうけれど、如何せん人数が多い。
「私は」
呻き声に混じって探偵社の皆の声が聞こえる。
どうやら重傷を負っている人はまだいないらしい。
「…ボスはきっと、完全に彼らから解放されることなんて、一生ないと思うんです」
「…ええ、そうね」
「それを引きずって、ぐだぐだとしてしまうくらいなら__ポートマフィアとして、これからも生き続けるべきだと、そう思います」
「…ふふ、桜月ちゃんならそう云うと思ったわ」
「半分くらいはもはや私の願いですけど…」
苦笑していると、与謝野先生が一人の男性を引きずって出てきた。
「コイツがポートマフィアに精神錯乱の異能をかけた張本人さ、煮るも焼くも好きにしな」
「ありがとうございます、与謝野せんせ__えっ!?」
「あら、彼って…」
半泣きでひぃひぃ云っているのは、確かに見覚えのある顔。
「…確か、こちらの世界のポートマフィアビルに入ろうとした時、中也くんが書類をばら撒いていたわよね」
「…その人です」
あの時情報漏洩だなんて思っていたけれど、真坂諜報員だったなんて。
「黒服さーん」
改め、
「…本名は?」
「いっ、云えない、云えないんだっ、うぅ…」
めちゃくちゃ泣いてるじゃん、この人。与謝野先生に何されたの一体。
いや、だいたい予想はつくけれど。
「…まぁ、自業自得ね」
「ですよね」
「けれど、何故あのポートマフィアが異能をかけられてしまったのか、もこれで謎が解けたわ」
「た、確かに…」
諜報員がいたということなら異能をかけられたことも合点がいくし、彼らの異能があればいくらでも方法があるだろう。
「…取り敢えずポートマフィアにかけた異能を解除して」
「で、できない…」
「えっ?」
呆気に取られた表情のアリスさんと目配せをする。
嫌な予感に頬には冷や汗が伝った。
「…なるほど、異能を解除するのにもジョージは条件をかけたのね」
「なっ!?な、なんでわかったんだっ」
「貴方が分かり易いのよ、それでよくマフィアに潜入できたわね」
「そっ、それは…幹部の異能で…」
「めっちゃ重要なこと話して大丈夫!?」
思わず突っ込んでしまったけれど。
呆気に取られるを超えてもはや呆れているアリスさん。
「とにかく、彼らには加勢も必要ないだろうから…私達は残党や周囲の一般兵たちを潰しましょう」
「分かりました!」
本当、怖い。
ルイスさんの先輩方、怖い。
そしてその中にいるエマちゃんやアーサーさんも怖い。
あんなに異様な強そうなテニエル兄弟を…
取り敢えず諜報員の人は奇獣に見張って置いてもらった。
「…大丈夫だとは思うけれど、気をつけてね」
「ありがとうございます、アリスさんも…!」
微笑みを交わしてゆっくりとすれ違って__そして、反対方向へ同時に飛び出していく。
やっぱり人数だけは多い。
今ならわかる。なぜこれほど大規模な組織が全く名も知れていなかった理由が。
目的が『これ』だったから。
彼らの異能の特性上、多くに知られて仕舞えば必ずあちらこちらから様々な目的で近づく輩が現れるだろう。
自分たちの邪魔をされないように消すため、自分達に協力してもらうために勧誘するため__。
それらは全てきっと邪魔だった。
だから初めから、何もかもに於いて隠密で動いた。
それが無名有実がすぎる彼らの存在を生み出したんだ。
まるで__まるで、何時かの亡霊のような、幽霊のような。
「…今から大切な話をするの、だから__邪魔しないで」
一般兵を次々に気絶させていると、反対側でもアリスさんが華麗に舞っているのが見えた。
たまにルイスさんが現れてはアリスさんが現れて、ずっと前からわかっていたことではあるけれど__やっぱり、強いなぁと思うし、それに__綺麗で、まるで戦っているように見えなくて。
その時一瞬、本当に一瞬__全く見覚えのない女性が__というか少女がチラリと覗いたように思った。
「__え、」
彼女は小さく微笑んで、またふっと消えてしまったけれど__気、というか、風というか__そんなものが二人の周囲にはずっと残っているように思えてならなかった。
誰、だったのだろうか。
「っと__あぶなっ、」
すれすれで振り下ろされた剣をよけ、銃弾を避け、刃の裏側で落とす。
ギリギリ、セーフだと思った瞬間…アリスさんの鋭い叫び声が聞こえた。
それが私に向けられたものだと気がついた時には既に_私は、
--- 地面にめり込んでいた ---
衝撃でクラクラする中、見上げたそこには__まるで冷たい表情だけを浮かべた中也がいて。
何かをアリスさんが呟くのが見えた。
「あ__」
やばい、と思った時にはアリスさんの姿は土埃で見えず、私の体は宙を舞っていた。
「あはは、勝ったと思った?」
「イライザだけは、っあの子だけは絶対に取り返すのっ、邪魔なんて誰にもさせないのよ!!」
「テニエルが裏切るなんて思ってもいなかったわけじゃないわ、だから…もういい」
「教えてやるよ、ポートマフィアにかけられた異能を解くには__ルイス・キャロルが泉桜月を殺す、それが二者択一の異能のこの選択だよ!」
本当に____本当に、不味い。
うわぁぁぁあほんとに遅くなってすみません!!!
コラボ第3弾、ようやく十話……
1話1話が長いとはいえ、余計に面倒なことにしてしまって…
本当に申し訳ない……
というかこんな展開にしてどう収拾つけるの(
ヤバすぎる。
頑張る。
ちなみに物騒な会話というのは天泣さんのほうで見ることができます!!
ぜひ、というか絶対見に行ってください!!
それではっ