公開中
聞こえないフリ
【登場人物】
・水城紗夜 「相沢のターゲット。根暗。」
・相沢里奈 「相沢をいじめる。クラスの人気者。」
・後藤啓介 「紗夜、里奈の担任。実は裏があるとか?」
・花園りの 「紗夜の友達。幼馴染でもある。」
注意 いじめの物語です。トラウマがある方は読むことをおすすめしません。
・場所や名前、病気などはすべてフィクションです。
「憂鬱だな~...。」
目覚ましが鳴る朝5時。紗夜は無理矢理にでもこの時間に起きなければならない。
朝起きて、歯を磨いて、服を着替える。制服は三年間であっという間にボロボロになってしまった。
「どうして..なの..?」
朝6時。家を出る。紗夜は早い時間から外に行かなければいかない理由がある。
普通の人は決して考えないであろう理由だ。
また今日もこれか。ロッカーを開ける。悪口を書いた紙が溢れてくる。
紗夜は、自分のロッカーから出てくる悪口の数々を捨てる。そして教室に入る。
誰もいない。人一人いない。午後6時半。静かだからか時計が
「**カチ、カチ、カチ、カチ、**」となっている。
紗夜は机を見る。そこにも悪口の数々。そしてそこには私のあだ名が書かれている。
「ブタははやく牧場に帰れ」
「はあ..誰がブタだよ。」
そんなことを思いながら消えない油性ペンを汚い雑巾でこすり続けた。そんなことを続けてるうちに、
「おはよー!さよちー!!」
「あ、りのちゃん..おはよ..。」
りのちゃんはすごく元気で、優しい。当然このいじめのことも知ってる。
だけど、つかの間の平和はすぐ、すぐ終わる。
「よお?おはよう。ブタ。」
後ろから聞こえてくるのは、残酷で憎くて、そんな声だった。
「里奈様かっこいい~!!」
バ囲いは相変わらずバカだな。そんなことを思っていたら、
違和感に気づいた。
「あれ...なんか...荷物...減ってる..?」
「あはは、気づいたんだね?だってさ~w」
**お前の荷物ぜ~~~んぶとっちゃったもん(笑)**
私の荷物..。ポケットを探る。
(ない..?)
私は「水玉斑点病」という、体全体に水玉のようなものが現れる
難病にかかっている。
「あはは、これでブタも死ぬね。」
**だって、お前の薬を奪ったもん!**
私にとって、あの薬は生死を決めるほど大事。
それを奪った。あいつ。殺人未遂といっても過言ではない。
バ囲いも私の表情を見て
クスクス笑っている。