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〖芸術は爆発である〗
早めに片付けなければならないので...()
参加者様がどちらの方から反映するかは適当にルーレットでも回そうと思います。
(楽な描写のだといいなぁ...)
語り手:黒髪の密編みの眼鏡っ子ちゃん(そして、抜かされた空知翔)
どどごーんと音がして、我等が突撃部隊の銃撃が聞こえる!
(※空知翔:えっ、今回僕...)
からんと落ちる空薬莢の音!けたたましい消費者の咆哮!店内の潰される商品!
(※空知:あの、食品ロスが...)
負けるな、店長!橘君!あと、アヒルちゃん!
(※空知:アヒル呼ばわりやめてくんない?え、無視?マジ?)
●空知翔
23歳、男性。突撃部隊(対消費者突撃部隊)担当。
他と比べ凛々しい顔をしているが、残念なイケメンに属する人間。
最近の趣味はクルー射撃。彼氏はいない。彼女はもっといない。
●黒髪の密編みの眼鏡っ子ちゃん
可愛い。名前はまだ、ない。
撫でたいくらい、可愛いね。
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二手に別れて消費者を探す二人とアヒル。
早めに事が済むだろうとたかをくくって橘一護、柳田善の一つが店内、アヒル(空知翔)の一つが従業員専用通路を探していました。
場面は一護へ移ります。
「...いませんね」
「だねぇ...なにしろ、透明だからしょうがないんだろうけど...」
やや呆れたように蜂の巣になった棚や商品を見ながら柳田が一言。
「派手にやったよねぇ、許可出したのはこっちだから別に良いけど...ここまでとはねぇ」
もう使い物にならなくなった品々を見ていく中、どうやら奥へ展示されたものが無事だったのは確認できるようで、特に図工コーナーのものが残っていた。
「あ、まだ残ってるものもありますよ」
「んー...いいよ、どうせ皆廃棄することになるから、置いておいて」
「了解で...」
言葉が途切れる。それを妙に思ったのか、柳田がすぐに訊いた。
「なに、どうしたの?大丈夫?」
一護は応えない。ただ、ある物を見ている。そして、考えがまとまったのか口を開いた。
「透明でも、さっきみたいに目印になるものがあれば封じ込めますかね?」
一護の瞳には大量の絵の具やペンキ、遠くに予約客用の温水プールが映っていた。
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一方、空知翔...アヒル...もう良いですか、ならやめます。
でも、彼が脱ぐまでアヒルの着ぐるみを着ていることは忘れてはいけません。
良いですね?
「しつこい」
そうですか。生意気なアヒルめ。
アヒルが従業員専用通路をよたよた歩いていく。
道中、椅子を見つけて、これ幸いとアヒルの着ぐるみを脱いだ。
むわぁと蒸気が微かに洩れ、首筋に汗が伝う男性の顔と白いジャージ姿が露になった。
臭そう。
そして、置かれた銃器を取って通路の横にあった倉庫室のノブがひしゃげたぶ厚い扉に耳を当てた。
何か、ごそごそとした音が微かに聞こえてくる。当たりのようである。
ノブがひしゃげていようと関係はない。手には銃器。銃器はFN P90のような形状のサブマシンガンです。つまり、ただ、撃って、ぶち壊せば良いのです。
そこからは速かった。一瞬にしてぶ厚い扉が蜂の巣になり、跡形もなくなり、大量の空薬莢だけが残されました。
その空薬莢を踏まないように中へ入ると、目の前には段ボールの巨大な壁が広がっていました。
ええ、もうお気づきでしょう。彼には、空知翔の目の前にそれは何も意味を成しません。
ロープのように繋がった弾を入れ、両手でしっかりと持ち、引き金をひけば...。
そこからはもう、オート連射なので心配ナッシング。
長い、長い、長い、長い銃撃音が木霊しました。
そして、熱を持った銃器を下げると、そこには粉々になった段ボールの破片と何か人型で目に見えない重いものがのしかかって潰れた段ボールだけが残されていました。
やがて、その重みで潰れた段ボールの方向からすたすたと足音がして、しっかりとこちらへ走る音が聞こえてきました。
そのまま空知は撃とうとして...気づきました。リロードをしていないことに。
慌てて銃器を掴んで、走ってくる奴をグリップで殴ろうとした瞬間に間に合わず、腹を逆に殴られました。そのままの要領で身体が流れて、壁に強く打つけられました。
「慈悲は、な...!!!...っぐ...」
何か言いかけていますが、どの口案件です。サブマシンガンをぶっ放した誰かさんが言うことではありません。
そのまま壁と一体化するわけにも行かないので、すぐに起き上がって脚を動かす空知さん。
そのまま空知を追いかける透明な消費者さん。
ここだけの話、背景を海辺にすれば誰得のカップルごっこができますね。
書きませんけど。
従業員専用通路を走って、そろそろ息が乱れて来た頃、裏口の扉が見えました。
その先は、予約制の温水プールと大きな庭や駐車場が広がっています。
その温水プールの扉の近くに柳田と一護がいました。
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向こうから必死に走る空知の姿が見える。その姿を確認して、温水プールの扉を開ける柳田を見つつ、叫んだ。
「空知先輩!こっちです!」
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そう呼ばれて、前を見る。何か、策があるのか。もしや、温水プールに閉じ込めるのか...?
急いで開かれた温水プールへ入る。水はない。ただ、プールのタイルと同じ色の白色の大地が広がっている。
打開策がない。今は後ろの奴を撒かなければと思い、元々水があった場所がコンクリートか何かで床になったところへ足を入れ、そのまま奴と共に柔らかい床へ落ちた。
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バシャンとした水音が耳に入る。目をやればプールの水へ落ちた空知と消費者がいる。
双方、真っ白に染まり飛び出た突起物になっている為、非常に狙いやすかった。
その後は、人型のもう透明でなくなった消費者の脳天に一発、弾を贈る仕事だった。
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「それで?この絵の具どうやったら落ちるの?服とか落とせなさそうなんだけど?」
同じように白く染まった消費者の身体を抱えながら、愚痴を溢す空知。
消費者と空知に水をかけると皮膚や髪についた“絵の具”だけはなんとか洗い落とせた。
消費者は青髪に白く染まった上下の服のズボンのポケットにたくさんのスナック菓子を詰め込んで、頭に損傷はなく眠っている。
そして、ようやく空知の問いに一護が応えた。
「服についた絵の具は...クリーニングしかないですね。というか、消費者を撃ったけど亡くなりはしないんですね」
「物騒だなぁ、流石に殺さないよ。そもそも、殺せないし...僕らが使ってる武器や弾は暴走化した消費者にしか効かないし、一般市民に撃っても少し痛いな、ぐらいだよ」
「なるほど」
応えるついでに言った疑問を柳田に教えられ、うんうんと頷く一護。
そんな彼を横目に空知がまた、投げかけた。
「んで、絵の具で服に色ついたのはなんで?普通の絵の具だったら、水で洗い流されちゃうでしょ」
「ああ...“アクリル絵の具”なんですよ。ほら、水彩画とかで先に塗った後から重ね塗りしたいって時、普通の絵の具は色混ざるじゃないですか。でも、アクリル絵の具は普通に乾いたら何重ねもできるんです」
「へぇ、でもアクリル絵の具が水に飛び込んで服についた理由は?」
「“マーブリング”っていう美術の...えっと、一般的にアクリル絵の具を水に垂らして、服とか紙に水に浮かんだ模様を写し取る手法なんです。それが理由ですね」
「なるほど、なるほど...じゃあ、一護君」
「...?...はい」
「僕の服のクリーニング代、払ってくれる?」
そう言った空知先輩の顔が今日の出来事より、末恐ろしく思えた。