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#9 2代目
『ついに暴露しちゃった』
…インター……を………
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ラネット。らねっと。ああ、懐かしい響きだった。記憶が一気にぶり返して来た。
〝ねぇねぇインター、今日は一緒に仕事しよ!〟
明るくて、軽い口ぶり。いつも笑顔を絶やさず、少しポンコツ。家事なんて仕事なんて全くできないが、私の心をパッとしてくれたのは確かだった。
『…思い出した?』
豹変したラネット。
あの時、わたしは確かに別れを告げた。複雑な使用上、過去のわたしが技術不足だった以上、ラネットの性能を良くすることは不可能だった。だから、別れを告げた。頑張って雇ってくれるところを見つけて、無事に送り出した。
『幸せ円満な別れだったんでしょ?』
『でもね、私はちがったんだ。あんたが送り出したクラック・キング家、私のことを虐めの対象としか思っていないんだ。私、バラバラだよ。勿論身体中じゃなくて、回線とか。ショートしそうだもん』
『ある日、見たんだ。ショッピングモールで、あんたとネットが幸せそうに歩いているさまを』
『むかついたよ。初めてこんな感情になった。なんであんなに幸せそうになっているんだ。本当、おかしかった。私はこんなに惨めな思いをしているのに、って。それに、私と過ごしていたときは、あんなふうじゃなかったよね。手を繋いでさ』
『ネットは幸い、まだ意識は途切れ途切れだけどあるよ。治すなら今のうちだけどね』
『じゃあね、それだけなんだ』
ぷつり。プープープー。
一方的な会話。会話のリレーにまるでなっていない。言いたかったことを全て吐き出したような。
ピコン、と通知音。ああもううんざりだ。
手に取ると、ひとつのリンク。そのページに行くと、いまのネットの症状を治すサイトだった。その手順通り、わたしはネットに手を触れる。