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こぐまとメイと おしゃれな白猫ミーコ
ともり様 ありがとうございました
夏の太陽がさんさんと降り注ぐ、ある日の午後。こぐまとメイは、森の奥にあるきらきら輝く池のほとりで、水面に映る雲の形を眺めていました。メイは、水辺に咲く小さな花を摘んで、嬉しそうに匂いをかいでいます。
その時、ふわりと甘い花の香りがして、目の前に真っ白な毛並みの猫がすっと現れました。その猫は、太陽の光を浴びてキラキラと輝く毛並みに、すらりとした手足。首には、小さな青いリボンが結ばれています。
「あら、森の中にこんなに可愛いクマのお嬢ちゃんがいるなんて、あたし知らなかったわ!」
猫はしっぽを優雅に揺らしながら、メイの前にちょこんと座り、澄んだ声で話しかけました。
「あたし、ミーコ。はじめましてよね?」
メイは、突然の美しい猫の登場に、目を丸くしてこぐまの影に隠れました。こぐまも、こんなにきれいな猫を見たのは初めてです。
「僕はこぐま。こっちは妹のメイだよ。君は…どこから来たの?」
こぐまが尋ねると、ミーコはにゃん、と可愛らしく鳴いて、得意げに言いました。
「あたしはね、森のすぐそばにある農家さんのお家に住んでるのよ。そこのね、一番の鼠取り名人って言われてるの。でもね、農家さんが忙しい時や、ちょっと退屈な時は、こうしてこっそり森に来て、お散歩してるのよ。」
ミーコはちょっぴり得意げな顔をして、自慢のつやつやな毛並みを前足で軽く整えました。
「だって、あたし、自分の可愛さには自信があるもの。それに、運動神経も抜群なのよ!」
そう言って、ひらりと身軽に木の枝に飛び乗ったり、するすると木の実の蔓をよじ登ったりして見せました。そのしなやかな動きに、こぐまとメイは感心して見入っていました。
メイは、ミーコのキラキラしたリボンに目を奪われています。
「そのリボン、きれいだね…」と、小さな声でつぶやきました。
ミーコは、メイの視線に気づくと、にこっと笑いました。
「あら、これのこと? オシャレは大好きだから、いつもとっておきのリボンをつけているのよ。」
そして、メイの顔をじっと見つめました。
「あなたも、とっても可愛いわね。まるで、あたしの小さい妹みたいだわ!」
ミーコはそう言うと、首に結んでいた青いリボンをそっと解きました。
「じゃあ、あたしのとっておきのリボンをあげちゃうわ!これでもっと可愛くなってね、特別よ!」
ミーコは、そのリボンをメイの首にそっと結んでくれました。メイの小さな首に、ミーコのリボンがとてもよく似合います。メイは、初めてもらったプレゼントに、はにかみながらも嬉しそうな顔をしました。
「ミーコ、ありがとう!」こぐまが、メイの代わりにちゃんとお礼を言いました。
ミーコは、「ふふん、どういたしまして」と、誇らしげにしっぽを振りました。
それから三匹は、森の中の面白い場所を教え合ったり、追いかけっこをしたりして、あっという間に時間が過ぎていきました。ミーコは、メイが危ない場所に近づこうとすると、さりげなく引き戻してくれたり、転びそうになるとさっと支えてくれたり、本当の妹のように優しく面倒を見てくれます。こぐまは、そんなミーコの優しい一面を知って、ますます仲良くなりたいと思いました。
夕焼けが森の木々をオレンジ色に染める頃、ミーコは「そろそろ帰らないと、農家のおじさんが心配しちゃうから」と、名残惜しそうに言いました。
「また明日、遊べるかな?」メイが尋ねると、ミーコはにっこり笑いました。
「ええ、またこっそり来るわ。秘密よ?」
そう言って、ミーコは軽やかに森の奥へと消えていきました。
こぐまとメイは、メイの首に輝く新しいリボンを見つめながら、新しい友達ができた喜びに胸を躍らせていました。森の仲間が、また一人増えた夏の日でした。