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ごめんね
「ごめんね。」
その言葉に私は動揺する。
思わず「え?」と発言してしまう。
あんなに厳しかった母が、謝罪してるんだもの。
思わず「なんで?」と言ってしまった。
そう言えば、確かに今日は母の目の奥がなんとなく優しい気がする。
いつもの怒鳴ってるよような声とは全然違う。
おだやかでホッとした優しい声だった。
「実は…お父さんにね。娘を可愛くさせないと「お前と娘を殺すぞ」って脅されてて…
私はどうでもいいんだけど、あんたが死んだら………。」
「でも、生きてるからこそ辛い思いさせちゃったよね…。お父さんの言葉を否定してあなたを守り続ければ良かっただけよね………。それなのに辛い思いをさせちゃって…。」
「だから、無理矢理にでもキツイ言葉を使って…」
そうだったんだ。
お母さんも悪意があったわけじゃなく、私のために…………。
可愛くなかったことがなんだか申し訳ない。
ずっと優勝し続ければよかったのに。
取ったのは一回だけ。
でも、どちらにしろこれから全てが楽になる!
母も優しくて、厳しいなんて世界線はない。
ただただ自由に歩める。
母は…「許してくれる…?」と問いかけてきた。
私は「もちろん」といい、
やりたいことがあるからまた後で…。
こんなときなのにごめん
という言葉だけを口にして、
「はな」の家に向かった。
そう、今日はパーティなのだ。
私が一位を取ったから。
ただそれだけでパーティなんかわざわざ…。
なんだか申し訳ないが、
私は微笑みながらはなの家へと向かった。
end