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内申三銃士〜2学期末〜
あれからおよそ5ヶ月後の、12月20日。2学期の終業式がやってきた。彼らの内申はいかに…?
あれから、もう5ヶ月の月日が流れていったとは思えない。私達が、あの「内申三銃士」を恐れるようになった日から、もう5ヶ月。5ヶ月。時の流れを感じるとともに、彼らの内申がいくつか非常に気になった。
「ほな、2学期の通知表を渡す。一つ言っておきたいことがあるが、1年生のこの時期の内申は、将来の進路には大して関わらない。そこを留意していてほしい。そしてもう一つ。君たちは、この2学期とても頑張ったであろう。自分たちを褒めて、少しは休もう。じゃあ、一番から順に来なさい。芦ケ谷、」
先生はこうおっしゃった。この頃の内申は進路に大して関わらないだと…?私は耳を疑った。しかし、それは事実なのかもしれない。なぜかって?実はこの先生、もう40年近く先生をされていて、今年で定年退職するからだ。そんな先生の言うことは、概ね正しいと信じる。
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「呉屋、」
呉屋がやってくる。彼は通知表を見て、満面の笑みを浮かべた。内申を聞いた。彼は、45であると答えた。マジかよ、と大変驚いた。
「足の怪我も直ってきたし、無敵や!もともと俺は大して器用でもなく、賢くもなかった。だから、人一倍努力したんや。そりゃあやめたかったね。けれど、やっていくうちに楽しさに気づいた。そうして、さらに努力した。そうして、今、僕はこの|通知表《努力の結晶》を受け取った。報われたんだ。」
彼の言っていることに感動してしまった。
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「高戸、」
先生は呼んだ。彼は自信げに歩いてくる。が、受け取った顔は決して良いものではなかった。絶望していそうだ。
「内申…下がってしまった。40。40。人よりは高いからすごいとか、もっと低い人もたくさんいるんだから我慢しろとか言われるけど、俺はそんなことは気にしてない。自分の感情を嘆いただけや。来学期こそは、本気で努力して内申を上げてやる。調子に乗らないようにしやんとね。」
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「帆山」
先生は続いて呼んだ。彼の顔は自身に満ち溢れていた。机へ戻る顔も同様に自身に満ち溢れていた。
「よっす、45だぁ。やったぜ。個人的には、『効率』と『量』を重視して勉強に取り組んだ。馬鹿みたいに時間をかけて問題を解くのではない。効率を最優先するんだ。どれだけ早く出来るか、時間内にどれだけのことを学習したり、ワークに取り組んだりできるか。それに、量も大事だ。特に数学や国語は、問題を何回も解いて『解くことに慣れる』ことが重要であると考える。」
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3人の言うことは、どれも『内申三銃士』として相応しい言葉であろう。低ければ上げようとし、高ければ継続しようとする。彼らは、単に賢いだけではない。その強靭な精神を、私たちクラスメイトは皆尊敬している。
【あとがき】
大きな声でピリカピリララ♪