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かくれんぼ 6
「そんな…」
「わかる?わたしは、貴方の母親に殺された幽霊。神に認められて、『遊び』を使えるようになった。はじめの1年は、貴方たちに執着して、復讐するために少しずつ近づいていた。でも、最近は純粋に遊びを楽しんで、ルールを守らないやつにはお仕置きをする。そんな感じのことをしていたわ。いつの間に
か、ぶろぐ?なんかで有名人になったりもした。
__今のわたしなら、貴方たちを殺すことだってできる。遊びを馬鹿にするやつは、わたしが絶対に許さない!」
悲鳴をげて、里美は逃げた。
「逃げるな!」
カチッ、と時を止める。タイムリミットだって、いくら時を遅めているからといって、のこのこしてられないのだ。
彼女は仲間のいる体育館へ向かっているようだった。
「遊符『あやとりの罠』!」
指先から、紅い糸があらわれる。その糸は里美を捕まえるために、どんどんのびていく。
「何よっ、これっ!?」
「遊符『花見の吹雪』!」
桜の花吹雪が、里美を通せんぼする。その隙に、糸が里美を縛る。
「助けてっ…!」
それでも、彼女は必死に体育館へ向かう。糸を引きちぎり、彼女は走った。
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体育館には、乙葉、弘子、穂がいた。彼女らは、必死の形相で走ってくる里美とわたしを見て、悲鳴をあげた。
「きゃあああああああ!!!」
「遊符『かごめかごめの生贄』」
「ひぃ…!?」
すると、歌が聞こえてきた。
♪かごめかごめ かごの中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ♪
「かごめかごめ…!?」
すると、彼女らのまわりを、少女がぐるりと囲み、かごめかごめをした。後ろの正面だあれ、のところで、足のない、透明で透き通った少女が後ろに来る。
「きゃあああああ!!」
「逃さない。遊符『人さらいの花いちもんめ』」
また、歌が聞こえてきた。別の歌。
勝って嬉しい花いちもんめ 負けて悔しい花いちもんめ
あの子が欲しい あの子じゃわからん
相談しましょ そうしましょ
強制的に手を握らされた彼女らは、悲鳴をあげた。この世のものとは思えない。
「負けた」
彼女らのチームは、負けた。きゃはははは、という笑い声とともに、少女らは消えた。
「遊符『魂の羽付き』」
コーンコーン、と乾いた木の音。羽付きだ。
羽根は『魂』とかかれた、白いボール。それを、謎の2人の少女が遊んでいる。
「あっ、落ちちゃった」
「きゃああっ!?」
にやり、と微笑む少女は、また消えた。
「遊符『禁忌の人形』」
「なにこれっ!?」
ぐるりぐるり、と人形が、彼女らを囲む。けらけらけら、と笑い声をあげながら。
「遊符『ハンカチ落としと鬼の証』」
「はい、貴方たちが鬼」
突然あらわれた少女が、ハンカチを落としていった。にょきにょき、と彼女らの額からツノが生える。
「遊符『帰ってこれない通りゃんせ』」
また、歌が流れてきた。
とおりゃんせ とおりゃんせ
ここはどこの細道じゃ 天神様の細道じゃ
ちっととおしてくだしゃんせ ご用のあるものとおしゃせぬ
この子の七つの祝いに お札をおさめにまいります
行きは良いよい 帰りは恐い 恐いながらも
とおりゃんせ とおりゃんせ
「いやあああーーっ!?」
それから、彼女らは、わたしの目の前に二度と出てくることはなかった。
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20年ぶりに、遊ヶ丘付近で全国ニュースになった。
加藤家、高橋家、石塚家、竹島家の母親と小6の女子が、突然行方不明になったという。奇妙なことに、その母親らは、20年前の事件で動揺していた4人だったという。