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#1 神の降臨
「なんか大冒険がしたいっ!!」
そう言った田菜ねえの言葉を、「まーたなんか言うとるわ」と聞き流しながら、ちょっとだけ共感する。
「ほら、四葉も思わないの?みーんなでっ」
みーんな、とはいろはなメンバーと姉妹のことなんだろう。
「あー、まあ思うは思うけど」
「でしょっ、じゃあ四葉の能力でなんとかして!」
「幸運を頼りすぎやろ…」
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「そういうわけですか」
と紅葉が言い、田菜ねえが乗り気になって「みんなお願い!!」と言う。
「まあ、この中だったら四葉の幸運か、紅葉の超能力か、ですか」
七葉がそう呟く。
「あら、姉さんの力で、世界を無限に増やすってのは無理なのかしら?」
「どうやって移動するの、三葉…」
呆れながら言う七葉。
「でも、世界を移動するっていう大規模な冒険は面白そうだねっ♪」
と、小鳥が三葉をカバーする。
「まあ、紅葉の能力ならいけそうじゃな」
「とんでもありません!そんなことしたら、やばいことになっちゃいますっ」
野薔薇と紅葉がそう言い合い、うちはふっとため息をつく。
「よし、やってみよ!」
そう立ちあがったのは紫桜。
「じゃあ紅葉、超能力をお願い。四葉は幸運をね。その力をちょうだい、その後、わたしがみんなを連れてってみせる!」
そう言い、うちは幸運を紫桜に与えた。何やら紫桜が唱えると、突然光がうちを出迎えてきた。
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ボスッ!
レンガ造りの、中世ヨーロッパみたいな世界。
「いったぁあ…」
「無効『痛みを忘れた青い鳥』これで痛みはないでしょ♪」
そう小鳥が言った途端、「アビリティ・パーソン…?」という、美しくて滑らかな声が耳を浄化した。
見上げると、金髪のロングヘアに、水色のドレスを着た、12歳ぐらいの少女。
「あびりてぃ…?」と、椿がピンとこなさそうに言う。
「あ、失礼しました。わたくしはオルタナティヴ国の王女、ミゼラ・リーネと申しますわ。ところで、貴方たちはアビリティ・パーソンでして?」
「だから、それはなんなのじゃ」
「能力者、といった方がいいです?何かしらの能力・アビリティを持つ方々のこと。知らないの、この国では、アビリティ・パーソンが神ですわ。だから、貴方たちは神相応。まさに、神の降臨ですわ!」