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空に浮いたら。24
(..........なんだか見られているような気がする。)
風は帰り道でそう感じた。見られている、聞かれているような気がしてももう手遅れだった。言ってしまったから。
『麗王.......かっこよかった..........』
『..........負けない。』
(...............終わった。恥ずかしすぎる...誰かに聞かれたとしたらなおさら....)
しかし後ろを振り返っても人の気配はなかった。
(まさか.................)
「まあいっか♪明日からは学校だし........」
夏休みが明け、段々と絶望へのカウントダウンが迫ってきていた。
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「風ーー!学校行こー」
風の家の玄関で、麗王が叫び風を呼んでいる。
ガチャッ。風は玄関から出て、麗王の隣に行った。
「うるさい。インターホンあるんだからそれ使って」
「ごめんって...w」
こんな平和な日常が、ずっと続けばよかったのだろう。
「今日は転校生が来ます!」
((転校生.....!?))
麗王は彩花なのではないかという期待が、
風には彩花なのではないかという不安があった。
「では、入ってきてください」
ガラガラガラ............ドアの音ともに入ってきたのは_________
彩花日和と、千賀屋梨里だった。
「皆さんはじめまして!彩花日和と言います。少し身体が弱くて学校に行けていませんでしたが、最近は調子がいいので学校に来れるようになりました!よろしくお願いします。」
彩花はにっこり笑って、そう言った。
「はじめまして〜千賀屋梨里って言います。日和の友達です。よろしく〜」
少しめんどくさそうに笑い、梨里はそう言った。
(彩花....!!同じクラスになれてよかった....!!!)
(彩花日和.......麗王と仲、いい........)
新しいクラスメイトとの授業を過ごし、休み時間を迎えた。
もちろん転校生の人気は絶大。顔も、声も、性格もすべてが良いならなおさらだ。
それでも彩花はクラスメイトの質問を無視し、麗王のところに向かった。
麗王は風と話していた。
「唐沢くん.............だよね?昨日会った子.....」
「あ、ああ。彩花さん.....?よろしく」
二人は知り合いだったのか、と残念がる男子と期待する女子に分かれたところで、風が行動を起こした。
「麗王........この人お友達なの........?」
麗王と風が中がいいことは周知の事実。泣きそうな声で風がいえば、十歳ながらも誰もが理解することだろう。『嵐が来る』と。嫉妬の嵐が。
「えっと.........唐沢くんの、お友達だよね。唐沢くんとは昨日話しただけだけど.....彩花日和って言います。よろしくね。」
彩花はすっと風に握手の手を向ける。
「.....うん。よろしく!」
風はニッコリと可愛い笑顔を見せ、その手に握手をした。
(痛っ........!)
その時、風の手に激痛が走ったことを、誰も知ることはなかった。
これからもっと物語の展開遅くなりそうなんだがw