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窓際と女子の皆様
初めて入る教室。
白っぽい色の木で出来た椅子と机に、春風(?)を受け止めてなびく薄黄色のカーテン。
前の学校の教室も好きだったけど、この学校の雰囲気も好きだな。
私は黒板に書いてある「出席番号の書かれた席に座りましょう」という指示に従い、窓際の席に座った。
椅子と机の高さもちょうど良くて、この出会いは運命(どういう運命だよ)なのではと考える。
「きゃぁーっ!」
…っと黄色い歓声をあげたのはもちろん私ではなく。
教室の隅で集まっている女子の皆様。
真ん中には背の高い男子がいる。
さては…人気者陽キャだな。
私には縁のない話…って思ったけどちょっと気になる。
ガタッ…
ロッカーに荷物を取りに行くフリをして、その男子を囲む女子の皆様の隙間からチラっと見る。
ふー…あっ…ぁ…ぁ!?
めちゃイケメンなんだがっ!?
でも性格性格、顔じゃない顔じゃない。
「あ…もしかして君転校生?」
話しかけられた…っ!?
「えー、でも転校生って先生に連れられて来るんじゃないのぉ?」
囲んでいた女子の一人が意地悪そうな目で私をジッと見る。
「あ…っ、あの私っ…名前…っ」
「えぇ?何てぇ?」
さっきの女の子がおおげさに近づいてくる。
こ、怖い————!
「ちょっと|怜奈《れな》、びっくりしちゃうじゃんこの子」
この子呼びッ…!!
刺さるぜ…。
「名前は?僕は|実桜《みお》だよ」
みお…!
「私…さくら…です。えと、ひらがなで《《さくら》》」
「あっ、《《さくら》》入ってるの一緒だね、ちょうど春だし——あ、先生来た、じゃあね」
一緒だね…一緒だね…(エコー)。
私はドキドキしながらも急いで着席した。