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あまねくすべてに(文スト夢?)本編1
主人公(?)
普(あまね)
異能力
Paste
許可を受けた相手の異能をコピーできる。数量は決まっていて15。持ち主が死んだ場合は使えなくなる。
身長 165
体重 43
好きなもの 白玉ぜんざい 甘いもの オムライス 猫
嫌いなもの トマト 納豆 キノコ 生魚
どこか遠くで、なにか大きなものが水に落ちた音がした。
ぜってぇ太宰じゃん
嫌だなぁ。いやこれ結構ガチで
……探しに行く、か。
---
「あ、いた」
それもなんか知らない少年付きで。
「それを君が余計なことを‥‥」
ヤレヤレ、と首を振る太宰。初対面っぽい少年に説教してんのか?
めっちゃうざいじゃん。
ていうか私もいるんだけどなぁ…そろそろ声かけるべき?
その時ぐぅうううと少年の腹の虫が鳴った。
つられて私の腹の虫も…あ。
「オー、アマーネチャーン。オハヨー…」
しばらく時が止まる。少年も気まずそうにている。
「く…空腹かい?少年…と普ちゃん」
…無理やり話を戻した。
「じ、実はここ数日何も食べていなくて…」
「そうかい私もだ。」
「え?」
「ちなみに財布は流された」
「え?!」
ちなみにこっちは私。給料日前だけど…大丈夫?
「おーい!こんな処に居ったか、唐変木!」
「おー、国木田君ごくろうさまー。」
川の向こうから国木田さんがなんかしゃべってる…申し訳ないけど全然聞こえない。
「そうだ。国木田君になんかおごらせよう!」
国木田さんかわいそう。
「君、名前は?」
太宰がさっきから呆然としていた少年に声をかけた。
「中島…敦ですけど。」
「ついてき給え、敦君。何が食べたい?」
少年がすっと顔を下げ、照れくさそうに茶漬けが食べたいです。と云った。
「ふふっいいよ。国木田君に30杯くらいおごらせよう。」
「太宰―私も白玉あんみつ食べたーい」
「普ちゃんのもついでに3杯位おごらせよう!」
「私は1杯でいいかな?」
「俺の金で勝手に太っ腹になるなー!太宰ぃ―!!!」
「…太宰?」
敦君がふと首を傾げた。
「あぁ…そういえば自己紹介をしていなかったね。私の名前は太宰…太宰治だ。」
かっこつけてるー
敦君がそっと私にも視線を向けてくる。
そういえば私も名前を言った覚えはない。
「私は普。」
私はできるだけ友好的に、かつ怪しく見えないような笑顔を作った。今のところ私たち、怪しさ大奔流だし。
「よろしくね。敦君」
---
「おい太宰。早く仕事に戻るぞ」
特に珍しくもないが国木田さんが苛立っている。
_______禿げるよ?
「仕事中に突然『良い川だね』とか云いながら川に飛び込む奴がいるか。おかげで見ろ、予定が大幅に遅れてしまった」
そういっていつもの理想手帳を太宰に突き付けた。
それを横目で見ながら国木田さんにおごってもらったあんみつを食べる。
うん。やっぱり安定のおいしさ。
「国木田君は相変わらず予定表が好きだねぇ」
「これは予定表ではない!理想だ!我が道の道しるべだ!そしてこれには『仕事の相方が自殺嗜好』とは書いていない!」
国木田さんがダンッと力任に手帳を叩きつけた所為で机が揺れた。
「ぬんむいえおむんぐむぐ?」
「五月蝿い。出費計画の頁にも『俺の金で小僧が茶漬けをしこたま食う』とは書いていない。
…ついでに云うと普、お前もだ」
____マジすか。
「んぐむぬ?」
「だから仕事だ! 俺と太宰は軍警察の依頼で猛獣退治を──」
なんで二人会話できてるの?
「君達なんで会話できてるの?」
あー…、人の金で食べる白玉あんみつおいしい。
---
「はー、食った!茶漬けはもう十年は見たくない…」
「いや、ほんっとーに助かりました! 孤児院を追い出されて横浜に出てきてから、食べるものも寝るところもなく……あわや斃死かと」
「ふぅん。君、施設の出かい」
ここから少し長めの話になってきたので聞くのがめんどくさくなってきた。
つまり今回の彼らの仕事『虎探し』の目標である『人食い虎』に敦君が『お世話』になっているらしい。
めんどくさそうだなぁ…。
そんなことを考えていると横でガタッと音を立てて敦君が椅子から落ちた。
顔が真っ青だ。
逃げようとしたところに国木田さんが捕まえる。
流石~(我関せず)
「む、無理だ! 奴──奴に人が敵うわけがない!」
「貴様、『人食い虎』を知っているのか?」
また面白くなさそうな話だ。虎のせいで経営が傾いた孤児院から追い出されたらしい。ふぅん、それで餓死しかけたっていうのか。
なんというか…よく出来すぎてるね。
斜め前にいる太宰をちらっと見るといつも通りぼーっとした顔をしていた。
「それで小僧、『殺されかけた』と云うのは?」
「あの人食い虎──孤児院で畑の大根食ってりゃいいのに、ここまで僕を追いかけてきたんだ!」
そんなこと___あるわけないのに。
少なくとも私が虎ならそんな無駄なことをしない。
てかあんみつおいしい。
私がお茶を飲んでいるといつの間にか話は進んでいて、太宰に巻き込まれた敦君が無理やり虎探しを手伝わされる羽目になったらしい。
かわいそう…とは思わないかな?報酬いくらかは見てないけどすごそうだったから。
「普ちゃんは?ついてくるの?」
「暇だし行ってもいいよ」
「そういえば普、お前最近全然社に顔を出さないが…」
やばい。
「ちゃんと書類仕事は遣ってるよ?……社の自分のpcハッキングして」
「は?!」
「太宰!何処行くの?」
太宰はそんな暇ないのに、ふふっと笑ってこう云った。
「虎が現れる場所」
---
______『虎が現れる場所』
そう太宰に言われついてきたのは15番街の倉庫。
「本当に…ここに虎が現れるんですか?」
「うん。本当だよ」
不安そうな敦君。それもそうだ。なぜなら__
「心配いらない。虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても『武装探偵社』の一員だ」
そういってる本人が『完全自殺読本』なんて本読みながら言ってちゃ…ね?
「ははっ。凄いですね、自信のある人は。僕なんか孤児院でもずっと『駄目な奴』って言われてて___」
常に不安そうで、自信がなさそうな表情をしている理由はそれか。
あんな良い『ヤツ』が一緒にいるってのになぁ。
ふわっと風が通り抜け、上を見上げるときれいな満月。
奥でガタッと物音がした。
それにおびえた敦君が太宰さんに詰め寄る。
「ヤツだ…ヤツがここまで僕を追ってきたんだ!」
「君が街に来たのが二週間前。虎が街に現れたのも二週間前。君が鶴見川べりにいたのが四日前。同じ場所で虎が目撃されたのも四日前」
太宰はだんだんと彼を追い詰めていく。
これしかなかったとしても遣り方の趣味が悪い。
________巷間には知られていないが、この世には異能の者が少なからずいる。
その力で成功する者もいるのに対して、力を制御できずに身を滅ぼす者もいる。
「大方、施設の人は虎の正体を知っていたが、君には教えなかったのだろう。君だけが解っていなかったのだよ」
白虎が目の前、三メートルくらいまで近づいてきていた。
え、やば。
「死ぬ奴、じゃんっ?!」
慌てて木箱から飛び降りて間一髪助かった、けど!
「なんか!言えよ!だざぁいっ!」
なぜか敦君虎の目標が私になっていた。なんで?失礼なこと考えてたから?ごめんね?!
シュッと掠っただけで結構痛い。血出てるかなぁ…。
「凄い力だ。人の首ぐらい簡単に圧し折れる」
太宰が壊れた木箱を見ながら他人事のように言った。
…縁起でもないこと言うんじゃねぇよ!
腹が立ったので太宰を攻撃目標にしてもらうことにした。
うまく木箱の間に体を隠して壊れた破片を太宰に向かって投げる。目標を失った虎が音のほうを振り向き____
「え」
太宰を見つける。
しかし壁の近くに立っていたせいで追い詰められてしまった。
まぁ大丈夫だろうけど。
「獣に食い殺される最期、というのも悪くないが…」
とん、と襲い掛かってきた虎の額に触れた。
「君では私を殺せない。」
『人間失格』
敦君の変身が解けた。
…カッコつけてたからいいや。
「…男と抱き合う趣味はない」
ビタッと音がして敦君が床に落ちていた。かわいそうに。
「おい太宰!」
「あぁ、遅かったね。虎は捕まえたよ」
国木田さんが探偵社員を連れてやってきた。遅い。
「なんだ、怪我人はなしかい? つまんないねェ」
「はっはっは。中々できるようになったじゃないか、太宰。まぁ、僕には及ばないけどね!」
「でも、そのヒトどうするんです? 自覚はなかったわけでしょ?」
「どうする太宰? 一応、区の災害指定猛獣だぞ」
次々と皆が太宰を問い詰める。いいぞもっとやれ((
ふふ、と太宰が笑った。気持ち悪い。
というか嫌な予感しかしない。
「うちの_________社員にする」
皆がどよめく。なにより国木田さんがうるさい。
眠い。虎の爪が掠った腕が地味に痛い。女医にみつからないうちに逃げよう。運がいいことに辺りは暗いから見つかりにくい。
…早く寝たいなぁ……
普です
眠い!でも腕痛い…
なんか明日の寝覚めがとてつもなく悪くなる気がする…
次回、ある爆弾
ポートマフィア本部に爆弾を投げ入れたらどうなるかなぁ…
作者コメント
文スト5期だー!