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「神は死んだ。」なんて言わないで。(仮)
「今日のデザートはdesert(デザート)だ。」
※desert(デザート)=砂漠
そんな会話から始まる、
小さな食卓の大きなお話。
世界の上には何がある?
上には飢えがいる。
本編どうぞ。
「今日のデザートは?あぁ、デザートだ。」
「desert(デザート)、砂漠と呼んでくださいまし。」
執事がピーチクパーチクうるせぇわ。
「へーへー。分かりましたー。」
私は小さいスプーンをきな粉色のデザートに突き刺す。
「ここは風が手入れしてくれているから表面がきれいだ。」
ナッペされた痕一つない表面に、
スプーンを突き刺すのには少し罪悪感がわいた。
が、まぁいい。
「おっと、少し人間を|掬《すく》ってしまった。」
私の世界に|巣食《すく》った人間よ、心優しい私は、
「おっと、少し人間を|救《すく》ってしまった。」
パクっと口に運ぶ。
口の中でプチプチと弾ける人間たちがアクセントとなり気に入った。
私はデザートに少量、霧吹きで雨を恵んでやった。
泣いて喜んでやがる。
んー、水がもったいないなぁ。
ははは、そんなに嬉しそうにつついてきて、良かったな。
「...サボテンは、」
きょろきょろ周りを見る。
パパの|皿《世界》にさりげなく分けてあげた。
「好き嫌いをしない。環境破壊だぞ。」
うるさいなぁ。
いいじゃんパパの世界には自然がまったくないんだから。
工業化ってやつ?失敗してんじゃーん。
「ん、ちょっと、パパの世界なんかヤバぁ。」
黒っぽい人間に悪そうな煙がパパの世界を覆う。
「パパはいいのさ。いずれ人間たちも過ちに気づくだろう。」
過ちに気づけていないのはパパだろう。
意味わからない機械やロボットに恋する人間ども。
どこが間違っていないって?
そんなパパにも|縁《えん》はあるので|緑《みどり》を分ける。
|他者《パパ》にも慈悲の心を忘れない私。
お?デザートの中にオアシスがある。
パリパリポリポリ食べる。
木の独特な触感、葉の絶妙な硬さ。
口の中に広がる風味。
程よく癖になる。
今回あたりだ。
自然と共生する人間は少し愛らしい。
私を信仰し、捧げてくれたり祝ってくれたり。
悪い気分ではない。
川を作ってやろう。
スプーンで溝を掘る。
砂をかき分けホジホジ。
水を流した。
人間たちが川の近くに集まり、生活をしだした。
ほほえましい。
この前|辺り《あたり》か。
「...何してんの。」
最近は私の世界の人間どもも生意気になってきた。
川沿いに建造物がたくさん。
これは|見《み》ずに流せない。
せっかく作った川がコイツらによって壊されていく。
透き通った川も今はすっかり蛍光色やら色がおかしい。
筆洗いしたときの水くらい濁って汚い。
これは|水《みず》に流せない。
それは|水《川》に流すな。
「こいつら嫌い。パパのちょうだい。」
「お前がやるって言ったから与えたんだろ。きちんと責任を持て。」
お小言は勘弁。
これ以上穢れる前に、
また、**|冷凍保存《全球凍結》**してやろうか。
私は笑いながら気温を下げた。
「...スノーボールアース♪」
凍れ、凍れ。
保存されろ。
天罰だ。
「ん?完全に凍らない。なぜだ。」
「あぁ、温暖化だろう。今のお前の世界は工業化しているからな。」
は?パパと同じ?また?
私はパパじゃないのに!!!!!!
ちゃんと私を見てよ!!!
「おい、落ち着け、熱くなるな。温暖化が進むぞ。」
「知らない!!!!!」
私は世界を置いて席を立ち、飛び出した。
「...まったく。誰がお前の世界の世話をするんだ。」
パパは私の気持ちなんて知らずに呆れていた。
暫くたって、申し訳なくなり、
私はひっそりと戻ってきて私の世界を見に来た。
「ごめんね、君たちは私がいないと生きれないもんね?」
人間を観察する。
「ん?」
おかしい、いない。
なぜだ?
いないというわけではない、が、明らかに少ない。
私を信じる者が減っている。
「お前らを育てたのは私だよ??」
執事が口をはさんできそうになったが私の威厳で黙らせた。
「ちょーっぴりこの爺の手も仕方なく借りただけ。
育ての親は私なんだけど。」
どんどん憎らしく見えてきた。
「なんで忘れちゃうのかなぁ。
思い出せー。私が育てたんだ。」
私だけになるように、雨を降らす。
集中的に、大量に。
浸水、冠水なんて知らない。
爺が言ってた集中豪雨だか|線状《せんじょう》降水帯だか。
|洗浄《せんじょう》ではあるかもしれないが知らない。
どちらにせよ、恵みの雨じゃないか。
私の愛を受け取って、私に愛を与えてください。
「私の気持ちを少しは分かれ、お前らには分かるはずないか?」
水浸しになった世界。
ぐちょぐちょになったデザートを、
太陽が頑張って乾かし、水たまりが少し残った。
なぜ諦めないの?
人間は立ち直った。
思い通りにいかない。
もう爺やパパに|Spoon-feeding《スプーンフィーディング》されたい。
今日は匙を投げた。
次の日、また世界を観察する。
自然と共生してきた人間どもは、今では自然を破壊する。
自然と|強制《きょうせい》的に|矯正《きょうせい》したくなってきた。
「へぇ、人間まで私を裏切るんだ。」
執事に相談をした。
「爺、もう少し、人間に強くなってもらいたいんだ。」
流石、口がうまい私。
「でしたら、以前よりも脅威的な感染症を広めてみては?
医学も進歩しますし、対抗能力も、抗体もできますよ。」
いいことを聞いた。
調子に乗っている人間どもを懲らしめてやろう。
ウイルスをまく。
絶滅しないようくらいの量で
痛い目を見せてやる。
意外としぶといな。
必死に生きている。
計算外だ。
「い、いいもん。私は助けないから。勝手にすれば?」
自然と|虚勢《きょせい》を張った私。
いや、やはり全滅しないか心配だ。
パパの世界は今、医療やAI,ロボットが発達しているらしいから、
パパに助けてもらおうかな。
「どうした?ふむ、少し待て。」
人間たちが死んじゃう!
私は焦りのあまり足をバタバタさせ、たくさん地団駄を踏んだ。
「ほら、お前の世界を見てごらん?」
パパが私の世界を指さした。
あれ、インフラ整備されている。
医療機関が増えている。
患者への理解が高まっている。
人間たちは、他人を助け、ともに助け合う。
ワクチン、治療。
なんとかウイルスに打ち勝った。
なるほど、私は人間のことを憎いらしい。
憎らしい。
...健気だ。
私はお前らのことなんて簡単に壊せる。
けど、憎らしくも、愛おしくもなる。
いつまでも親に縋っていたらいけないのか。
私を信じないことも大切でしょう。
鵜呑みにせず、疑うことも大切でしょう。
旅立ちの時なのかな。
少しだけ、見守ってみてもいいのかな。
人間が悪いことをしても私は助けない。
自業自得。
人間がいいことをしても私は邪魔しない。
自業自得。
なんて愛おしいんでしょう。
世界というのは。
けど、私を忘れないでくれ。
私は死んでいない。
私が死ぬときは、世界と共に。
私はずっと、生きています。
あなたの中では死んだかもしれません。
なら、ここに居る私は?
私は生きています。
「神は死んだ。」なんて言わないで。
私はずっと見ていますから。
私はずっと、大好きです。
修正はたまにします。
適当お題から作りました。
使用お題:サボテン、スプーン、水たまり。
制作時間は二時間。
ニーチェ好き。
題名は変えるカモ🦆
それじゃ、また。
バイバイ👋