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その10 冥王星の独白
⚠️Attention
こちらの話には自殺表現が含まれます。苦手な方は他の話を読んでください。
やぁ、こんにちは…こんばんは、かな?…どうでもいいね、そんなこと。
初めまして。僕は矮惑準。冥王星を司る神…だった、が正しいかな。死んだからね。
……知ってる子もいるかな、僕は自殺した。その理由というか…僕の身勝手な一生の話だよ。興味がなければ目を瞑っても、ここを出て行ってもいいし…寝てもいい。ただ、僕が勝手に話すだけだからさ。
僕は昔、天使だった。神を夢見る天使。僕は当時はすごく…純粋だったから夢に向かって必死になって努力したっけな。その努力の甲斐あって、僕は夢を叶えた…神になった。けど、それが…あの苦しい日々の始まりだった。
僕が神になったと同時に生まれた神…海王と青乱。彼らと僕は親友になった。勿論それだけじゃない、他のみんなだってとても大好きな仲間だった。…だからこそ苦しかった。僕と彼らの間には「生まれ」という超えられない壁があった。努力して手に入れた何もかもを彼らは最初から持っていた。だから……僕は嫉妬してしまったんだ、彼らに。
……自分でも醜いと思う。醜くて、歪で…穢らわしい。そんな感情。愛情と、嫉妬。相反する二つの感情の矛盾で僕はいつしかおかしくなっていたんじゃないかな。矛盾を抱える自分に嫌気が差す毎日。嫉妬を隠して…大切で、憎い彼らを傷つけないようにする日々。それに疲れてしまったんだ。
だから、僕は無かったことにしようとした。僕と一緒に矛盾をなくして、いつかみんなの記憶から僕が消えるように…なにも残さずに。僕がいた証拠がなければ…きっと煙草の煙のように宙に溶けてなくなるから。
そうして、僕は…19年前の今日、自らの手で生を終わらせた。怖かったし寂しかったし…心残りもあったよ。でも…きっと僕はあそこにいちゃいけない。彼らと共に生きてはいけない。こんな思いを抱えたままならいつか…彼らを傷つけてしまうだろうからね。
………ここまで聞いてくれてありがとうね。みんなには話せないことだからさ。…みんなには内緒にしてね?僕のこと思い出してほしくないし…みんな優しいからさ。まぁ、君のお返事は聞くことはできないけど。
じゃあね、みんなによろしく。
2025/08/24