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何もなかった金曜日
爛々
何もなかった金曜日を変えてくれたのは——
私「お、こんちはっす!」
先輩「ういっす!」
先輩「最近どうすか、勉強の調子は?」
私「いや〜マジでやばいんすよw前のテスト順位ゴミカス過ぎて泣きますw」
先輩「どの教科が難しかったん?」
私「数学やね〜」
先輩「俺数学得意〜!テスト毎回90点台取ってるもんね〜(煽)」
私「う〜わっ!ムカつく〜w」
そんな、他愛もない話をしていた。
小学校の時から一緒の先輩。1つ上で、テニス部で、私よりも背が高い。
私は——小学生の時から先輩が好きだった。
知り合ったのは小学4年生の時。
ずっとタメ口だったから、中学になってもタメ口で話すことが多かった。
先輩と私の塾や部活が休みの日を除いたら——
百人一首部の私と一緒に帰れる日は、金曜日だけだった。
自転車で帰りながら何でもない、日常の話をするのが楽しかった。
私「あ、そういえば私そろそろ大会あるんだよね〜」
先輩「え、マジ!?頑張ってな!!」
先輩に応援されてるって思うと胸が高鳴った。
私「〇〇先生普通に外れだったわぁ」
先輩「爛々(私)って思ったよりも毒舌なの草w」
私「www」
こんな毎日が続けばよかった。
「先輩、小学生の時から好きでした。付き合ってください!」
なんて事を言うことはできなかったけど、告白をした。
すぐに付き合うことはできなかった。
「次の中間テストで15位以内を取る」
2人で約束した。勉強嫌いの私には無理に決まってる。
分かっていた、先輩に釣り合わないことなんて。
テストの結果は予想通り、ボロボロだった。
15位以内に入るには程遠い点数だった。
「お、爛々!テストどうやった?」
そう言われる気がして、苦しかった。
逃げたかっただけなのかもしれない。
先輩を探さないように、会わないようになった。
でも…私は無意識に探してしまう。
あの声を聞きたい、姿を見たいと思ってしまう——
私「寒っ…」
突然寒くなった日、私は久々に…先輩の姿を見た。
私は…追いかけなかった。
いや、追いかけられなかった。
反対側で一生懸命自転車を漕いでいる先輩の背中が遠くて、とても遠くて…
足に力が入らなくて、ペダルが重くて…
我に返って焦りながら走ったけど、もう遅かった。
あぁ…やっぱり私って釣り合ってないんだ。
成績も悪いし、運動もできないし、終いには問題まで起こす。
先輩とは大違いだ。
部活帰り、自転車で校門から出ようとした時、私はあの人と出会ってしまう。
私「あ…び、びっくりしたぁ!w」
先輩「お!うっす!」
私「ペコ(会釈をする)」
動けなかった。本当は、、動きたくなかった。
先輩「あ、ごめん!俺今日塾やねんなぁ」
先輩「また話聞かせてな!バイバイ!(手を振る)」
私「あっ、頑張ってください。お疲れ様です…」
ペダルを漕いだ。話をする気になれなかった。いつも通りの返事ができなかった。
思ってしまった。
もう、先輩と会いたくない。
金曜日が来ると会ってしまいそうで…一緒に帰ることになりそうで…
先輩に、申し訳なかった。
でも、先輩に話す。ちゃんと。
最後にする。先輩と話すのは——金曜日の今日で最後にする。
なるべく自然を装って話す。
私「せーんぱいっ!一緒に帰りません?」
先輩「ええでー!じゃ、いこか!」
先輩は今から私が話す内容にどんな反応をするだろうか、、?
ーテスト期間1週間前ー
私「その条件厳しくない!?せめて20位はっ…!?」
先輩「だーめ!15位ねー」
私「(泣)」
先輩「爛々勉強できるんか?」
私「出来へんけど、好きな人の為だったら頑張れるもんねー!」
先輩「おぉ!(照)」
そんな会話もしたな…
また嘘をついてしまった。好きな人の為なら頑張るなんて——
先輩「テスト、どうやった?」
私「全然…駄目やった…」
先輩のペダルを漕ぐ速さが少し遅くなる。
私「2回目もなんて失礼だし、先輩にも迷惑だからもう諦めたほうがいいよね…」
私「先輩・後輩の関係に戻るほうが互いにいいんじゃないかな…?」
先輩は驚いていたけど、困ったように喋り出した。
先輩「俺は…あの約束とは関係なく爛々と付き合いたいと思ってるけど」
私「!?」
先輩「俺も、爛々の事好きになったから…//」
先輩「好きです。付き合ってください!」
私「もっ…!もちろんです!こちらこそよろしくお願いします!」
秋に光る月は私達を永遠に照らしてくれる気がした——
《終》
どうだったでしょうか?
楽しんでいただけると幸いです(^^)
良ければ他の作品も見ていただけると嬉しいです!
見てくださりありがとうございました( _ _ )