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6.神様
ふっと意識が戻って、自分がいつの間にか寝ていたことを理解する。
……今日はもう、眠れないと思ったのにな。薬のおかげだ。
いや、今日じゃなくて昨日か……やっぱり今日? よく憶えていない。
ぐるぐると考えながら、のっそりと動き出す。
僕の頭も、僕の今日も。
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「よく見たらまだ全然早朝だし……やっぱり眠れなかったんだな」
ふと、昨日の夜の自分を思い出す。
「…………はは。全然、変われない、な……僕は。いつもいつも……」
目を細め、天を仰ぐ。
「睡眠薬を大量に飲めば、電車が来たときに飛び出せば、信号を待たずに駆ければ、屋上の柵を越えれば、誰かに執拗に恨まれれば、事故を仕組まれれば、無差別殺人の被害者になれれば、僕は__」
思い浮かんだ言葉を並べだしたら、止まらなくなった。
「僕はもう、死ねていたのかな」
……死にたく、ないんじゃなかったっけな。
死にたくないんだけどな。
これまでのことを、無駄にしたくないんだけどな。
消えたら消えたで、みんなにせせら笑われるんだろうけどな。
「どう、やったら…………」
口から言葉が漏れた。
「どうやったらこの孤独から、呪縛から、逃れられるんですか? ……神様」
そんな風に|希《こいねが》いながらも、学校の準備する手を止められない自分が、何よりも嫌だった。
担当:ふら=ぽっぴん