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空へとばそう。1
物語が長くなりすぎて自分で前回の物語を忘れることが悩み。
⚠大分暗いお話
空へとばそう。あの、二人を。
そして自分の恋情も風船に詰め込んで_________________
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「龍にーちゃん。いってらっしゃい。」
これは、蓮が麗王に記憶を渡した直後。
『そういえば、なぜ主は麗王のことを龍にーちゃんと呼んでおる?龍の遺伝子も、ついさきに知ったことであろう?』
素朴な疑問だった。龍の遺伝子についてはゼルラが教えたこと。知っていたとしても、なぜそれを麗王に例えたのか....
「.......本で、読んだんだ」
『本...』
本。無数にある本の中で、麗王をりゅうと呼ぶ理由があったのだろうか。
「『龍人フレール』って物語だったんだけど....」
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人間が生まれてすぐの頃だった。
あるところに、龍と人間から生まれた龍神が誕生した。その赤子は双子だった。
兄のライルは優しい人だった。何があっても弱き者の味方をし、自分の強い力で守った。弟は兄を尊敬していた。兄がしたいことならなんでも手伝い、ときには自分の命を犠牲にしてまで兄の命を守ろうとした。
そう。命を犠牲にしてまで、だ。
兄が平民のために戦った。弟もそれを手伝った。だが二人で何百人もの軍勢を相手にするのは多勢に無勢。兄は命を落とした。誰もがそう思った。
弟が守った....いいや、交換したという方が正しいのだろうか。
兄にすべてを捧げたのだ。自分の命までも....
しかしその対価は大きいものだった。『魂そのものの消滅』。
それが命交換の条件。人間は魂を持っている。一度死んでもリセットされ、魂が肉体に憑依する。しかしそんなことも許されず、もう生き返ることさえも許されない。それが魂そのものの消滅。
「それでも兄さんを救いたい.....」
そう願った弟は、魂ごと、兄に捧げた。
そして兄の悲しみは。声は。届かないまま、弟の魂は灰と化した。
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『悲しい話じゃな......』
「だから、自分と龍にーちゃんがこんな状況になっても、僕は弟のようにするって決意で、龍にーちゃんって呼ぶようになったんだ。」
ここでゼルラは思った。
(ここであの物語のようになってしまったら.....)
『蓮の魂が消える.....?』
不思議と声に出たその予想は、嫌な予感と身震いを引き起こした。
「あ、気づい、ちゃ、った....?」
段々と蓮の身体が薄くなっていく。
段々、空中へ舞っていく。
『蓮!!!』
(だめだだめだ。消えてしまっては)
『絶対に駄目だ!!!!!!!!』
https://www.youtube.com/watch?v=chfbkNNGpj0
人生疲れた
(病み期にとつにゅーしました!)