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トランクケースにゆみちゃん
電車ががたがた揺れる度、ゆみちゃんも一緒に震えてくれる。
ゆみちゃんは丸まってゆっくりと眠ります。
そんなゆみちゃんのふっくらした寝顔が可愛くて私まで眠くなる。
2月の冬に私はゆみちゃんと旅行に行きます。
どこに行くかは全然決まっていないけど。
人がいないとこがいいな。
ゆみちゃんと2人っきりになりたいな。
ゆみちゃんは旅行の前に怒っちゃったね。
でも機嫌直してくれてよかった。
旅行を中止したくなかったし、ゆみちゃんとやりたいことがたくさんあったからね。
ゆみちゃんの手を握るのは私には難しいや。
簡単なことだけど、きっと、きっと。
ゆみちゃんの手に触れるにはまだ私はきっと勇気を必要とするでしょう。
ゆみちゃんのそのネイルが可愛いな。
綺麗な綺麗な群青色のネイル。
ところどころ赤くなっているのもとっても可愛い。
私の爪は噛みグセがあるせいで歪だ。
そんな指でゆみちゃんの指を絡ませる事なんて出来ないでしょう。
ゆみちゃんのその髪も大好きだな。
金髪だけど、先っちょだけ桃色のインナーカラー。
髪は傷まずに、サラサラとしてる。
肩に少しついてるボブカットもとっても似合ってる。
ゆみちゃんは髪を染める前も、茶髪で日向に行くとキラキラ輝いていた。
20歳になるまでずっと髪を伸ばしていたんだよね。
ボブカットになる前も長い髪は腰まであって、まるでまるで、お姫様みたいで。
そんなゆみちゃんの髪とは違って私は染めていないものの、汚い黒髪にボサボサ。
すぐ毛玉ができちゃって、朝起きるとゴワゴワしている。
顔も可愛いゆみちゃん。
鼻と口がが小さくて、だけど目はおっきくて、二重線がまっすぐで、眉毛はシュってしてて、頬がふっくら薄桃色で、ニキビひとつないつやつやの肌で。
体も素敵だよね。
スラッとしたモデルみたいな体型で、怪我で象の足みたいに分厚い皮膚もない膝、雪に埋もればきっと見つからないくらいの色白の肌。
ゆみちゃんに足りないものは身長だけだけど、ちゃんと補えている。
なぜなら小柄なゆみちゃんも高身長のゆみちゃんも可愛いから。
中学の頃は列の後ろ側にいたゆみちゃん。
高校に入ってから身長が止まっちゃったね。
私に無いものばっかり持ってるゆみちゃんが大好きで大好きで大好きで大好きでたまんないよね。
ゆみちゃんはいつまで経っても寝たまんまで。
私はゆみちゃんとの旅行のためにトランクケースを買った。
ゆみちゃんのインナーカラーと同じ、ピンク色のトランクケース。
ゆみちゃんがすっぽり丸々入っちゃうくらい大きい。
私はトランクケースを指でなぞった。
とりあえず次の駅で降りることにしました。
窓を見ると雨が降っています。
私が乗っている電車が進む度に雨が強くうちつけてきます。
きっと出たらトランクケースの中身が濡れてしまうかもしれない。
私は折り畳み傘を取り出しました。
ゆみちゃんがお誕生日にくれたね。
駅に着いたので私は電車から降りた。
大事な大事なトランクケースを持って改札へ向かいます。
改札を通り抜けて出口に向かいます。
「|佐々木華蓮《ささきかれん》か?」
呼び止められて振り返ると、警察が立っていた。
「そうです」
「お前を殺人容疑で逮捕する」
私はトランクケースの持ち手を握って走ろうとしたけど、3人の警察に取り押さえられて手錠がはめられた。
警察がトランクケースを私から離していく。
ああ、ここでお別れだね、ゆみちゃん。
警察は何か言ってるけど、耳の中で木霊して聞こえないや。
私に聞こえるのはゆみちゃんの笑い声。
ゆみちゃんが入ったトランクケースが遠ざかってく。
これでゆみちゃんに会うのは最後かな。
私はきっと地獄に堕ちちゃって、ゆみちゃんは天国にいるよね。
もう会えないなんて寂しいな。
私、生まれ変わったらまたゆみちゃんに逢えたらいいな。
次はゆみちゃんか私が男になろうね。
絶対絶対結ばれようね。
じゃあね、来世で会おうね。
ゆみちゃん。
ゆりが書きたかっただけなのに…なんで…((
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あと短編のシリーズ作ろうかな