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奏2024Happy Birthday!!
奏!誕生日おめでとう!
ずっと奏Side
「ふぅ……」
作業が一息ついて、私は息を吐いた。一回ヘッドホンを耳から外す。
かなりいい出来になったし、いつもよりも早く作業が終わったから、余裕がある。
「もう一回聴いて細かいところもやろうかな」
一応ナイトコードには入っているけれど、みんな予定があるらしくて誰もいない。
静かなナイトコード、珍しいな。いつもは絵名とか瑞希が話してるから。
もう一回ヘッドホンを着け、自分の曲を再生する。
「えっと、ここはもう少し音を高くしようかな。…うん。良くなった。あとは…―――」
そうこうしている間に、気がつけば3時間くらい経っていた。
「いつの間に…お腹も空いたし、カップ麺でも食べようかな。」
私はお湯を沸かしてカップ麺に注ぐ。待っている間の3分は、嫌いじゃない。
「いただきます」
いつものように、健康には良くないカップ麺をすする。
美味しい。
それにしても、3人はどこにいるんだろう。みんな同じ場所に行くらしいけど……まぁいいか。もしかしたら作業をはかどらせれるように気を利かしてくれたのかもしれない。みんな優しいから。
カップ麺を食べ終わって片付けたあと、ナイトコードに通知が入っているのに気がついた。
「あれ?Amiaからだ。」
Amiaからメッセージか。なんだろう
『ちょっとセカイ来れる?』
「セカイ?なにかあるのかな……」
『うん。いけるよ。』
私はそう返事して、Untitledではなく、『悔やむと書いてミライ』を再生した。
「瑞希?どうしたの―――っ!」
「「「ハッピーバースデー!奏!」」」
まふゆ、絵名、瑞希、ミクたちが急にそう言った。
「……え?」
「え?って、自分の誕生日くらい覚えておきなさいよね」
「あ、そっか…今日誕生日…」
すっかり忘れていた。作業、作業、作業の毎日を送ってるとだいぶ時間間隔がずれる。
「おめでとう。奏」
「まふゆ、ありがとう」
「これ、ボクたちからのプレゼント!はい!」
「真剣に選んだから、よかったら使ってくれたら嬉しいな」
「これなら、奏の役に立つと思って」
「私達からも、これ。」
「ミクたちも?」
「うん。瑞希たちがショッピングモール見せてくれて。」
「そっか。開けてみるね」
瑞希からは新しいヘッドホン。ダークな色をしていて着け心地も最高だった。
「どうどう?奏が使ってるのと同じメーカーで超超ハイスペックなやつ!」
「ありがとう、でもこんな高価な物いいの?」
「いいのいいの!我らが奏の誕生日なんだからね!」
「ありがとう、瑞希」
「どういたしまして!」
絵名からはスキンケア用品だった。それも少し簡単なやつ。
「これは…?」
「もともと奏はきれいだけど、外には出ないしカップ麺だし、少しは手入れしたほうが良いかもなって思って。奏でも使いやすそうなやつ選んでみたの。一回だけでも試しに使ってみてくれたら嬉しいかな」
「ありがとう、使ってみるよ。作業とかで忘れちゃうこともあると思うけど…」
「それくらいいいってば。お肌は大事にね」
「うん」
まふゆからは時計だった。ピアノの形をした。
「素敵な時計だね…」
「そう?よかった。作業とかで時間忘れるだろうし、奏の家ってシンプルなものが多いから、音楽関係でシンプルな黒ピアノに、金色の針なら良いかなって。」
「きれい…机の近くの壁に掛けるね」
「ありがとう」
ミクたちバーチャル・シンガーからはキャンドルブランドだった。
「キャンドル…?」
「作業の息抜きに癒せるかなって…」
レンがそういう。
「飾るだけでもきれいだし」
「それに、部屋暗いんでしょう?」
ルカやメイコ、
「ちょっと明るくしといたほうが良いでしょって思って」
リンもそう言ってくれる。
「音楽を自分が聞くときとかについでにつけると、リラックスできるだろ。」
「疲れたときに、自分のことを癒やしてね。」
カイト、ミクがそういう。
「ありがとう、みんな。」
ニーゴのみんなと、セカイのみんなからたくさんの素敵な誕生日プレゼントをもらえた。
こんなに素敵な誕生日、いつぶりかな。
このヘッドホン、スキンケア用品、時計、キャンドル、全部大切に使いたいな。
「さてさて、今日の主役、奏を祝う会はまだまだ終わらないよ〜!」
「こっち来て、奏!」
「え?」
連れてこられたところには、小さめのテーブルとみんなの人数分の椅子が並べられていた。
そのテーブルの上にはケーキとお菓子。
「奏、ここ座って」
まふゆに促されるまま誕生日席に座る。
その後はケーキを食べて、お菓子を食べて、たくさん話して。
すごく幸せな誕生日だった。
「ありがとう、皆」
最後別れる前に、皆の方を向いて、改めてそう言った。
割と長くなってしまった。
お誕生日おめでとう!奏!