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記憶5
聞いたところによると、彼女は山に遊びにいったところ迷ってしまい、気がつくとこの病院にいたらしい。
こんな状況なのに、よくこんなに笑顔でいられるな…。
私は、今、昨日見たものを誰かに話したくてしょうがなかった。私だけで抱え込んでいると爆発してしまいそうだ。
でも、この女の子に話すわけにもいかない。そもそもここから出れないと確定したわけでもない。
「はやく、ここから出られるといいね…。」
私は思わず呟いてしまった。女の子は、少し戸惑ったように見えたが、すぐに頷いてくれた。
この子は笑顔でいるけど、本当は不安なんだろうな、と、思った。
今更だけど、自己紹介をしてくれた。この子の名前は、ディエ・フロースで、年齢は10歳。好きな食べ物はオレンジ味の飴。
まぁ、当然自己紹介をしたら、相手にも尋ねるだろう。だけど、私は記憶喪失になってるし、分かるはずがない。
彼女は思った通りの反応をした。
彼女は触れてはいけない話だったと察し、すぐに話題を切り替えた。
夜になった。相変わらずご飯だけは豪華だった。栄養とか、あまり考えられていないのか、どれも油っぽかった。
夕食を食べ終えた私達は眠りにつこうとしていた。どんな時でも睡眠をとるのは大事だから。
電気を消した部屋は静まりかえっていた。
だけど時々、誰かの話し声が聞こえた。
私はふと、耳を傾けてみた。すると、こんな声が聞こえた
「い、……いやだ!……、…!」
「………もしかして……の?…」
あまり聞こえなかったが、もめているようだ。他の患者がいるのか?
少し気になったので見に行くことにした。
廊下に出た。多分隣の部屋だ。
昨日は閉まっていた気がするドアが、半開きになっていた。
少しだけ隙間から覗いてみることにした。ここも病室だった。
ベッドには誰もいなかったが、明らかに布団が乱れているところがあった。他にも患者さんがいたのだろうか、
でも、昨日はいなかった気がする。気のせいだろうか。
そんなことよりも、さっきの患者さんは、どこへ行ったのだろう。
私は再び、病院の中を探索することにした。
ふうおおおいいおお
ちぇけら