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死歿の歌 七話
七話です。
ちなみに七話で主人公初登場です。
らるらりら らるらりら
誰かが私を呼んでいる
るらりらら るらりらら
誰かが私を呼んでいる
らりららる らりららる
誰かが私を呼んでいる
りららるら りららるら
誰かが私を呼んでいる
ああ閻魔様が呼んでいるのか?
歌を歌いながら 僕は閻魔様を待つ
ああでも僕はあの人に あの人に
呼んでほしいんだ
ららるらり ららるらり
誰かが私を呼んでいる……
人間は誰もが愛を求めている。
愛は人間を嫌っているかもしれない。
人間から愛は、僕らにとって、救済者だと思っているだろう。
七話『主人公、今前へ進め。』
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今日は、昨日思った通り雨だった。
冷たい雨に濡れながら、座れそうな岩の上に座った。岩は濡れていたが、自分はもう濡れていたので、気にすることもなかった。
誰もいないけど、ひとりぼっちが好きだからここにいる。誰にも見つからない場所へ来たと同じだ。
ただ地面を見ていた、その時だった。足音が聞こえてきたのだ。
足音が聞こえる方を向くと、びしょ濡れの|女性《にょしょう》が、こっちへ近づいてきた。口が動いている、何か喋っているのかもしれないが、僕には|女性《にょしょう》の声が聞こえなかった。
そして、僕の前で倒れた。
顔が真っ青になっている。服も、着替えがないのかと思うぐらい破れていた。そして、一番印象に残ったのは、この|女性《にょしょう》が来ていた服に、一つの紙が張り付いてあったことだ。大体場所は、背中。誰かの悪戯?とも思えるようなところに貼り付けてあった。しかも、紙には字と思えるものが見えていた。
|女性《にょしょう》が倒れた後に、自分は|女性《にょしょう》の背中に貼り付けてあった紙を取った。そして、その紙に何か書かれてないかと紙を見た。
だが、紙には自分の予想より遥かに超えている内容が書かれてあった。
【自分は脇役。】
【みんなが幸せになったら、自分はそれでいい。】
【脇役は脇役として生活しないといけないの。】
【悪者。】
【主役はみんな、自分は悪者。】
【バカ、あほ、なんでこんなに自分って変なの?】
この紙に書いてあった内容は、自分への悪口だったのかもしれない。
とにかく、紙にびっしり書かれていた文字は、薄く、誰にも読めないようにしたような文字だった。
そういえばそうだ、早くこの|女性《にょしょう》を雨が当たらないところへ連れて行かなければ、まだ雨が降っていたため、自分は大きい|女性《にょしょう》の体をおんぶして、屋根がある場所へと連れていった。
幸い、近くに屋根があるバス停があったため、バス停にあった椅子の上に座らせた。
髪の毛にゴミもついている…、いったいどこから来たのだろうか…。不思議な|女性《にょしょう》。じっと見つめていると、女性が起きた。少しびっくりした。
そして、女性は僕に話しかけてきた。
女性「誰ですか…?」
まあ僕のことを知らないからまずはそう聞くとは思っていた。そして、自分はそれに答えた。
『う〜ん…君を助けた存在かなぁ。大丈夫だった?』
女性「あ、はい…助かりました…」
そういうと、女性が立ちあがろうとした。しかし、足はガクガクしているし、手も凍りつくような冷たさだった、女性はフラフラで、倒れそうになった。
『大丈夫じゃないよね。家は?』
そう聞くと、女性はなぜか黙ってしまった。家がないかもしれない、そう思った僕はある提案をした。
『ねえねえねえ、家がないならいい提案をしてあげるよ。それはね…』
しかし、
女性「いらないです…私がその提案を受け入れる権利はないので…」
そう言って、女性は僕と目線を合わせないようになった。
雨はいつのまにかすっかりやんで、虹が出た。
女性「私、あなたみたいな主役じゃないので。」
そう言って、女性は去っていった。止めようとしたが、止められなかった。