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-1- 猫神さまと、影神さま。
続くか分かんない~~~~
〈ミラナリア・ソルフェージュ〉魔法学園。
数々の有名な魔法使いを見届けた名門校。
中等部二年の教室は、錬金術についての授業を行っている途中だった。
生徒が立って魔石を錬金している中、立ち上がりもせず頬杖をついて外を眺めている、男子生徒がいた。
教員は、その男子生徒を見たりしている。
「おい、|水影《みかげ》、この霊属性の魔石はどの錬金樹と調合するのか、説明しろ」
教員が、その男子生徒_水影を指す。
しかし、水影は反応しない。
教員は、困った顔をして別の生徒を指す。
これは、今までの日常。
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「ねぇ、今日は転校生が来るんだって!」
「しかも、猫の神さまなんだって!!」
「可愛いに決まってる!」
クラスは朝から騒然としていた。
そして、扉が開く。
入ってきたのは教員の_アヤメ。
「今日は、みんな知ってると思うんだけど、転校生が来ますので〜。仲良くしてあげてね」
そう言うと、にこりと微笑んで、「入って来て良いよ」と扉に向かって言った。
ガララ。
入って来たのは、青みがかった白い髪を長く伸ばした、清楚で幼い風貌の女子生徒。
頭には猫耳が生えていて、腰下からはふわふわのしなやかな尻尾が生えている。
「可愛い…。」
という声がクラスで飛び交う。
彼女は、静かな笑みを浮かべて一礼する。
「わたし、|猫夜《ねよ》と言います。よろしくお願いします。」
アヤメは猫夜の自己紹介の終わりを確認すると、「空いてる席どうぞ」と言った。
猫夜は、少し見渡して、水影の隣の席に座った。
--休み時間--
「ねぇ、水影くん、君、どうしてこんな所に通ってるの?」
猫夜は、自分の席から身を乗り出すような形で水影に話しかけている。
だが、相変わらず水影は反応しない。
「影になるの、もう辞めたの?」
「…」
「ねぇ、神界の人が、最近影の神が見当たらんな、って言ってたよ。だから私、水影くんがどこかで隠れてるのかと思ってた」
猫夜は、水影を真似て、外を見る。
「……ここは…外より静かだから」
水影は、無表情のまま呟いた。
「へえ。静かなの、好きなんだね」
--放課後--
屋上は、風が強い。
猫夜はまたしても水影の隣に居る。
「影って…どういう力?影法師を…操るとか?」
水影は、それに表情を変えず頷く。
「え!そ、そうなんだ…ねぇ、教えてくれない?影属性について。」
水影は、俯き加減に少し考えるような顔をして
「……感情干渉、記憶干渉、人間や人外の精神破壊、記憶削除、気配を消す、天を裂く」
「え〜っ!!それほんと?強すぎ~~!いいなぁ…わたしってね、身軽で世界の記録や世界と誰かの夢を融合するとか、そういう系…あ、似てる!!人に干渉するの」
猫夜はぱっと顔を明るくする。
そして思い出したように顔を曇らす。
「あ〜、明日、神界に行かないと。会議しないと王神様に怒られる〜!」
その様子を見て、水影は一瞬微かに微笑む。
「………顔、スライムみたい」
「…え?」
猫夜は驚いたというより、疑うような顔をする。
「水影くん、それ、褒めてる?」
「…………たぶん」
猫夜は、嬉しそうな表情で笑った。
個人的に二人とも可愛い笑笑