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『まほアニ第一話』魔法少女アニメのモブ
主要キャラクター
◯前田はるき
主人公。モブとして生まれたはずだった。
この世界には魔法少女がいる。なぜならこの世界は魔法少女アニメの世界だから。
ただ、この世界の魔法少女は少し変わっていて、魔法少女の状態でついた傷は変身解除時にも反映されたり、魔法少女が途中で死亡することも珍しくない。でも、魔法少女は政府公認で妖精から魔法少女に選ばれると高い地位につくことができる。まぁ僕はそこまで関係はない話だが。だって僕はただのモブだから。
この世界では役職が最初から決められている。その中で最も現世の人間に近いのがモブだ。
僕の名前は前田はるき。私立静藍学園(しりつせいらんがくえん)という中高一貫の学園の中等部に通っている13歳だ。黒髪のクセのない長い前髪のザ・陰キャみたいな容姿をしている。完全に帰宅部(不正)の自分はいつもの大通りを通って家に帰ろうとしていた。
しばらく歩いて大通りに着くと、人々は大騒ぎになっていた。.....まさか。
「え....なにこれ....?」そう呟くと近くの人が教えてくれた。「ま..魔法少女が!魔法少女がやられたんだ!」
またか。今回の魔法少女は2年半で全滅した。俺は前にもこういった現場を見たことがあった。
.....と、いうことは。新しい魔法少女が選ばれるってことだ。魔法少女が変わることは人々にとって悲しくも楽しみなことである。でも妖精が見当たらない。辺りを見回そうと思って振り向くとそこには探していた妖精がいた。邪魔なのかと思って避けてみると思わぬ言葉が飛んできた。
「なんで避けんのさーw君に用があるんだよ?」「...........は?」
思わず問い返してしまった。え?俺が魔法少女?嫌なわけないなわけない。
「次の魔法少女君に決定ーw」「え?いや俺男っすよ?いやいやいやもっと適正な人いるでしょ?」
「だーかーら!君が魔法少女なの!はいはい変身して!」
いやそんなこと言われても、と思っている間に変身道具を渡されてしまった。
...いやこのままグダグダしてたら国滅ぶな。一回だけ。一回だけならまぁ.....ね?
「そのステッキを持って、マジカルチェンジって叫んで!!」
「.....っマジカルチェンジ!」
シュルルルル....ボンッ!
煙が晴れると自分は、普通の魔法少女が着るような可愛らしいリボン付きの衣装を着ていた。
「.........⁈」
「あはは〜w似合ってる似合ってる〜w」「ちょ...もっとマシなのないの...?」
「これでもいい方じゃーん文句言わなーいww」
なんだかものすごくスピーディーに物事が進んでいてついていけている気がしない。渋々前の魔法少女を負かした怪人に向かって飛び立つ。これでも魔法少女のファンだったから戦い方はわかるのだ。前の魔法少女を全員倒したんだから一人じゃ無理じゃないかと思うかもしれないが、魔法少女の法則として、一人の時の方が強い傾向がある。どうやら俺の能力はなにをしても切れないリボンを作り出すことらしい。....弱そうだな⁈おい⁈もう少しマシな能力なかったのかよ⁉と思いつつ怪人に一蹴り入れる。怪人が低い声で少しうめき声を上げる。あ、この怪人意外と弱い。もう必殺技出すか。必殺技を出して倒さないと物語として成り立たないというか面白みがなくなってしまう。よし。
「おりゃぁ!リボンクラッシュ!!」
ベシベシベシベシッ
グオォォォォォォ....シュワァァァァァァ.....
「ふぅぅ...とんだ災難だ....」
「結構強かったじゃーんw結構ガチなファンだった感じー?w」
「え..あぁ....まぁ......」
「へーwんじゃぁ今日からよろしくねー♪魔法少女くん♪」
この日から、俺は魔法少女アニメのモブだったはずなのに、魔法少女になってしまった。