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東方玄魔録〜陸〜
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ていっ! はあっ! ふんっ!
…………。
……あら、やだ。見ないで頂戴よ。
コレ? 藁人形っていうのよ。
一定のルールに乗っ取って完成させると呪詛を掛けることができる、人形の中でも原点の人形なの。
此の人形が一番輝くのは木に打ち付けている時だから、時折こうして釘を打ちにくるわけ。
ま、本当は見られちゃいけないんだけど。
だから人気の無い所を選んでたのに……。
え、何処に家があるのかわからなかったから、過去の文々丸新聞を参考にして張り込みしてた?
全く、無鉄砲な方ね。
っていうか、効果が無いのは其の所為もあるのかしら? 彼女に掛かることはないと云えども……。
あ、いや。なんでもないわ! 何でもない!
それはそうとして、どうして私を尋ねに来たの?
職業見学しに来たわけでもないでしょう? すでに巫女だものね。
人探し?
なあに? 当代の巫女は探偵タイプなのかしら。
……?
物凄く努力型な、内と外がチグハグな魔法使い?
ああ、だから魔女である私に訊きに来たってわけね。
あと。
先に言っとくけど、魔女と魔法使いは違うのよ?
魔法使いは、魔法を扱う人間のこと。魔道具だったり、魔法薬だったり、そういうものを作れるし、扱えるけれど、不老不死ではない。
魔女っていうのは、人間が魔法を極めて『人間』という種族を辞め、『魔女』という人外になったというものなの。不老長寿で──というか今の平和なご時世、不死に近いわね。
一緒にしないで頂戴ね。
基本的に、幻想郷で魔女への転向だとか、そういうことを行うのは違法になることが多かったけれど……。
幻想郷のルールはその時々の代の巫女が決めるから、そこらへんは自分で考えなさい。
あーっと、チグハグな生真面目魔法使いだっけ?
魔法使い、ねえ。
ぱっとは思いつかないわ。
今は。
私以外にも魔女はいるし、聞いてみるのもありかもしれないわね。
例えばあのでっかい赤煉瓦吸血屋敷のとこの奴とか。
っていうか、何でそんなこと知りたいのよ?
……ふーん、先の異変ねぇ。
それこそ、私よりも紅魔館の奴らに聞いた方がいいんじゃない?
私は霊夢と凄く親しいってわけじゃなかったし。
まあ、調べ物にも苦労するわよね。
御阿礼の子も今は病床に伏せっているから、歴史書も借りにくいし。
ブン屋は全く以ってアテにならないし。
ところで……。
あなた可愛いわね。
お人形のモデルになれそうだわ。
ちょっとお茶でもして行かない?
丁度紅茶とクッキーもあるのだけれど。
あら、良いの?
ふふ、じゃあそこに座って待っていて。
人形たちに準備させちゃうから。
(アリス・マーガトロイド談)
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東方玄魔録より、以上抜粋。