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第1話
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二十二時。
それは定時から大幅にズレた帰宅で
辺りの風景を見渡せば、既に消灯をしている家がちらほらと見受けられ、夜空の星が燦然と煌めいて見える時勢。
そしてその中の私は、いつも通りの仕事を終わらせた帰り、コンビニでお酒とおつまみと売れ残りの弁当を買って、それを引っ提げながら帰路についた所だった。
今日だって変わらずの日々を繰り返す毎日。
まあ少し変わった事となると_____二日前、夢にまで見たマイホームを手に入れた事位だ。
ボロアパートから一転、私は一軒家を持つ女として回生した。
四箇所のバイトをかけ持ちして働いた当然の結果。
努力の賜物。努力の結晶。
そう、その努力の結晶は_________
『……は?』
静まり返る道路にて思わずポロリ、と感嘆が漏れた。
…ちょっと私は疲れているのかもしれない。
否、確実に、絶対、とても疲れている。
口を開きっぱなしにして、疲れた目を擦って、また目の前を眺めた
善く見えずにもう一度目を擦って細め、また擦る。
『……え?』
まだお酒を口にしていない事を確認。
何がなにやら
『……え?』
……は?
『……、はァあああ!?!?!?』
近所迷惑なんざ知らないと云わんばかりの声を上げ、私は目に映る全てを疑った。
な、だって、は?!
家が吹き飛んだ!!なんて信じられる訳ないじゃん。
先ずマイハウスが左の彼方へ空中移動した事、そして次に空中で粉々になり、幾多の方向へ砕けた事。
何らかの衝撃で家が吹っ飛んだ事は動かぬ真実だった。
現実から目を背けるタイミングは今だと頭の中の天使が囁く。
まるで砂のように散った私の家。
夢のマイホーム。
家のない空き地に立ち尽くした私は、そこでようやく気がついた。ああ、これ、現実か、と。
そして、_______次にそれを目撃する。
「________……ヤベェ」
土煙の引いた(元)家の隣で、
小さく黒い人が、
_____________家の吹っ飛んだ彼方を見上げ呟いたのを。