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ループ二回目令嬢はクール系旦那様からの愛に気づかない
「首を切られた」その日が誕生日
死ぬまであと数年。
何回目だっけ?
「婚約を破棄する。そして君は斬首刑だ」
勢いよくそういう王子は私がループしていることには気が付かない。
「私がこんなに弱いから…」
かわい子ぶって弱い子ぶるこの女、イヴォーは「聖女」らしい。
この女は聖女なのか?と思えるくらいな悪役のにやけ顔をしている。
きっと本心では、「あーこの女のこのざま最っ高!あとでこの女の生首けりまっくてやろーうっと」
って思ってるなこれ。
何回この婚約破棄を言われたっけ。
このイカレ王子とクソ聖女のこの茶番は…どうやらこの聖女はほかの大物…つまり侯爵令息や彼女の義父、はてには国王までに取り入り、次期王妃としての地位を確立している。
しかし一方で貴族の令嬢たちは彼女が欲しいと思ったものすべてが手に入ることに違和感と嫌悪感を抱えている。
ある令嬢は言う
「イヴォー様は魔女だ」と
魔女、とは国を滅ぼしかねる存在であり、その多くは禁じられた古代魔法{魅了}を使い、国を狂わせていく。ほんとにイヴォーは魔女の名にピッタリだ。
その婚約者の令息は言う
「イヴォー様は女神だ」と
女神とは狂った国を救う救世主らしい。
もっとも、狂わせた本人が女神なのはおかしいが。
私個人としては令嬢の意見と同意見だ。
「ばいばい」
ザンという耳慣れた音
私の首が切られた音
殿下、私はあなたに
何回切られたとお思いですか?
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今回のスタートは5歳児かー
こんなに若返るのは18回目以来か
もう精神年齢だけでもエルフと言われてもおかしくない部類に入っている私はもう何もかもを受け入れられる。
あぁ私もすっかりおばあちゃんか。見た目完全に五歳だけど。
このメイドたちのめまぐるしい忙しさ、さらに私の今日のドレス
「今日はあなた様の婚約者の顔合わせですね。あなたのお母様も円満に過ごせるようにと言っていらっしゃいました。嫌かもしれませんが、頑張ってください。」
この人は侍女のメアリだ。こんなきつい口調でも、皇子の婚約破棄の暴走を見事に警告していた。
その警告には王妃も頭が上がらないほどだった。
「メアリのような威厳が私にもあればこうならずに済んだのかしら…」
と王妃は言っていた。
私と王妃こそがこの事件の一番の被害者であり、王妃もまた、私と同様にループの記憶がある。
ループはどうやら私が斬首刑で死ぬことで始まるらしい。
実際の年齢は違うといえど、精神年齢の二人の高さに、義母以前に親友としても仲が良くなっていた。
そんな王妃はいつも私のことを気にかけてくれていて、斬首刑のことをいつも自身の夫、息子の代わりに謝罪をしてくださっていた。
王妃にも違和感があるようで、「あの魔女に出会ってすぐあの人たちはとても悪い変わってしまった。あんな人たちは知らないわ。」
といっている。
婚約破棄を申し出たが、イヴォーが私をよほど斬首刑にしたいのか、却下されているとのことだ。
さあ記念すべき1000回目の人生
その先は闇かもしくは光なのか
さぁ、かかってこい!