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先生
先生が結婚した。
悲しかった。
私は生徒ながら彼のことを愛していた。
彼に嫌われないよう提出物もきちんと出していたし荷物運びを手伝ったりもしていた。
テストも常に学年トップだった。
少なくともほかの生徒よりは好かれていて信頼もあったはずだ。
私が一番だと思っていた。
学校の人以外と結婚するということは考えていなかった。
忘れていた。
彼は学校にいる人と結婚するわけでもなくほかの会社に勤めている人と結婚した。
今考えれば当たり前のことだった。
でも生徒とは結婚できないにしても私が高校を卒業するまで待つとかせめて学校の先生とか私の知ってる人と結婚してほしかった。
私が知らない人と先生が一緒になるなんて考えられなかった。
考えるだけで吐き気がした。
悲しかった。
怒りの感情が腹の底からこみ上げてきた。
少しして先生は育休のため学校を休んだ。
男なんだから休まなくてもいいじゃんと思ったがそこそこの稼ぎがあったらしく彼は休んだ。
無理だった。
何か月も会えなくなるだなんて耐えられなかった。
彼女は人生で一度も振られたことがなかった。
顔が良く学校ではモテる方で月に一度は必ず誰かから告白されていた。
それぐらい、彼女はモテていた。
彼女から告白すれば断る人なんていなかった。
彼女がこれほしいと男子に頼めば何でも手に入れることができた。
手に入らないものは先生が初めてだった。
私は先生をこの世の誰よりも愛していた。
先生がこんな完璧な私以外の人と幸せになるなんて許せなかったしありえなかった。
ただただ悲しかった。
初めて手に入らない感覚を知った。
それからというもの彼女は学校に行かずに引きこもるようになった。
そして何週間か経った後彼女は死んだ。
自殺した。