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上がる息と、下がる体温。
死ネタです。
※グロ注意
僕やっぱななジェルしか書けねぇよ…(´;ω;`)
あとなーくんはそんなことで怒らないよ(´;ω;`)
「はぁ!?大体、撮影始めんの早すぎやろ!!」
「はぁっ?言い訳!?ジェルくんが寝坊したんでしょ!?俺のせいにしないでよ!!」
朝から、撮影が遅れてケンカが始まった。
それもこれも、ジェルくんが寝坊したからだ。
俺はちゃんと早く起きて、準備をしたのに。
ジェルくんは「撮影早すぎ」って言うけど…10時は別に早くないよね?
全部ジェルくんのせいなのに、なんでケンカしなきゃいけないの…
「もういいわ!!俺一人で配信するから!!!」
「いいよ、俺だって撮影する気なくなった。外行ってくる、」
そう言い残して、俺はドアを開けた。
---
…さすがに、あれは俺が悪いか。
一人の部屋。配信をするなんて嘘で、ベッドに寝転がる。
そもそも、俺が起きんの遅いのが悪いよな。
反省…なーくんに謝りたくなって、外に出て行ったなーくんを追いかけるように
外へ出た。
…出たはいいけど、なーくんどこ行ったんやろ。
どこにも心当たりがない。
とりあえず、今まで一緒に行った河原とかを歩いていた時。
遠くの電柱の影に、なーくんの姿が見えた。
「っあ、なーくん……え、」
そんななーくんの前には、フードを被った男。
男の手には…きらりと光る、ナイフがあった。
「っ、なーくん…っ!!!」
ぐしゃ、という音と共に、腹部に強い痛みが走る。
後ろのなーくんからは何も聞こえなくて、とりあえず守れたことに気づいた。
「…は?てめぇ誰だよ…代わりに刺されて、ヒーロー気取りか?笑」
痛む腹に、さらに痛みが走った。ナイフを抜かれたのがわかる。
「っぁ、ジェルく…」
「知り合いか?じゃあお前にも言ってやる。こいつは人のことを考えずに、
自分のことだけ考えて生きてる。こいつの仲間か知らねぇけど、一緒にいたら
痛い目見るぜ?笑 まぁいい、てめぇが苦しもうがなんだろうが俺には関係ねぇ」
耳に入ってくる醜い言葉に、俺の中の何かが切れる音がした。
「は…なー、くんは…だれよりも、みんなのこと、かんがえて…だれよりも、
がんばっとんねん、おまえなんかの、百億倍は…」
「百億倍?小学生みてぇな返し方だなぁ笑」
「しょうがくせいみたいで、わるかったな…でも、そんなちっちゃいことで、
ひときずつけるとか……んなことするおまえのほうが、しょうがくせいちゃう…?」
今も、地面にはぽたぽたと血が滴っている。
でも、今この瞬間だけは…怒りが、腹の痛みも全部飛ばしてくれた。
俺はそのまま、男の胸ぐらをつかむ。
「なーくんは…っ!おれを、みつけてくれた、
おれに、いきるきぼうをくれた…なーくんのおかげ、で、おれはいきてんねん…
しょうがくせい、みたいなおまえ、よりも…なーくんは、いいひとや…っ」
最後の力を振り絞って、男の顔に拳をぶつけた。
どうせ、今から病院行き…んでそのまま空逝きやねんから、ええよな…?
でも、男には俺の命がけの攻撃なんて効いていなくて。
「はぁ?笑えるぜ。ただこいつに洗脳されてるだけの惚気物がよぉ!!」
「がは……っ、」
傷口に、パンチを受けた。
今の俺にとっては、めちゃくちゃ致命的で。
地面に頬がぶつかると同時に、俺の意識は途切れた。
---
一瞬だった。
殺されかけて、ジェルくんが助けてくれて…
俺への悪口に言い返してくれて、殴ってくれて。
俺はそれを、黙って見ることしかできなかった。
そして気がつけば、どさっ、という音と共に、ジェルくんが倒れた。
理解の追いついていない頭とは反対に、体だけは一丁前にジェルくんの方へ
向かっていった。
「じぇ、るくん…っ、ぇ…」
「……、れ、な…くん、?」
ぼんやりと見つめてくる瞳には、いつもの元気は見えなかった。
「ごめ…俺の、せいで…ジェルくんが、」
「ぇ…ぁ、そっ、か…でも、なーくんがいき、てて…よかった、」
途切れ途切れに紡がれる言葉は、だんだんと暖かみを失っていて。
いつのまにか触れていた手も、どんどん冷たくなっていた。
「え…っ、でも…ジェルくんが、しんじゃ…」
「おれは…いいの、なーくんは、まだ…みんなを、りすなーさんを、えがおにせな、
あかんから…おれは、もうじゅうぶん、えがおにできた、と、おもう…から、」
そう言いながら苦し紛れに見せる笑顔。
そんな笑顔が、今の俺にはとても眩しく見えた。
「なーくん…、さいごに、いっこだけ…いわせて、?」
『最期』なんて信じたくなくて、でも、頷きたくないけど、小さく頷いた。
”おれを救ってくれて…ありがとう、
おれに生きる意味をくれて…ありがとう、
こんなおれでも…愛してくれて、ありがとう、”
言っているうちにも、声は震えて、そして少しずつ…小さくなっていく。
そんな声がとても苦しげで、俺の視界は一瞬にして滲んでいった。
ジェルくんの綺麗な手に、俺の涙が落ちる。
それと同時に、ジェルくんは口を開いた。
--- だいすき、 ---
うっすらと開かれていた目が、涙と共に閉じられる。
俺の手から、ジェルくんのすっかり冷たくなってしまった手が、滑り落ちた。
「う"あ"ぁ"……っ、!!」
---
あのあと、めんばーとスタッフさんの参列したお葬式へ行った。
お葬式の前、俺だけが見たジェルくんの表情。
それは…俺の大好きな、眩しい笑顔だった。
お葬式が終わってからは、喋る気力も起きなくて。
社長だけど…リーダーだけど、今くらいは…休んでもいいかな。
そんな気持ちに任せて、家でひたすら泣いた。
だって、俺のせい。
あのまま俺が刺されていれば。
あのとき喧嘩なんてしていなければ。
俺がもっと、寛大な心を持っていれば。
全てが悪いことのように思えてしまって、このままではジェルくんにも悪いと
その日もちゃんと仕事をした。もちろん、いつもより少ない量だけど…
そのままずっと泣いていたら、ジェルくんなら
「なーくんは悪ないから!もう泣かんとって?」って、励ましてくれると
思うから。
お葬式が終わってから…ジェルくんの命日から、一週間が経った今。
今日も俺は、あの電柱へ向かう。
昨日から置いていたお花と、今持ってきたお花を取り換える。
置いていたお花は、不思議なくらいに元気だった。
お水も上げてないし、ここしばらく雨も降っていないのに。
流石、いつも明るいジェルくんだなぁ…
あの日から七日しか経っていないはずなのに、背中を押す風は幾分か冷たかった。
今も隣を見れば、ジェルくんが笑っている気がして。
そんな隣じゃなくて、今日は空を見上げてみる。
さっきも言ったけど、ここ最近はずっといい天気だ。
これも、天国でジェルくんが元気にしてる証拠なのかなぁ…なんて思ってしまった。
今もたまに、お葬式の前のあの笑顔を思い出してしまう。
思い出すたびに涙が溢れる。怖いような、悲しいような、そして嬉しいような…
そんな不思議な感覚が、俺を包む。
気が付けばまた俯いてしまっていて、すぐに真っすぐ前を向いた。
でも、今日はなんだか足を進める元気がない。
目の前に続く長い道から目を逸らして、道の隅にあるベンチに腰掛けた。
今まで歩いてきた道を見てみても、人はいなかった。
なんせ今は朝の4時。そりゃあ人も少ないはずだ。
だって、電柱に立てかけた花を変えて、手なんて合わせてたら…流石の
通行人も嫌な思いするでしょ。
ここで人が死んじゃったんだ…って思わせるのも嫌だし。
…いやでも、花がある時点で思うか。
じゃああんまり意味ないかぁ…
でも、俺はこの静かで冷たい空気が結構好きなんだ。
はぁ、と無意識に吐いた息は、少し白く染まっている。
その息が空気に溶け込んでいくのを見ながら、また無意識に…隣を見る。
どうせ見ても悲しくなるだけ。わかってた。
でもそこには、
俺が世界一愛していた、
ジェルくんが座っていた。
「え……?」
出た声は掠れている。
でも、ジェルくんには俺の声は届いていないようで、こちらを向くことはなかった。
なんだろ…疲れてるのかな。
だけどなんだか、本当に隣にいる気がして。
またあの時の笑顔がフラッシュバックしてしまった。
不意に視界が滲んだ時。
真っすぐ前を向いているジェルくんの表情が、なんだか悲しそうなものに変わる。
少し地面を見つめたかと思えば、こちらを向いて
あの時よりも、もっと嬉しそうな顔をした。
ぶわっ、と、俺の目から涙が溢れるのがわかる。
姿は見えなくても、俺のこと見てくれてるんだなって。
抱きつきたくて。「好き」って言いたくて。
でも、体は動かないし、声は出なかった。
こっちにばっ、とピースを突き出すと、ジェルくんは消えていった。
まさに、アニメみたいな時間だった。
死んだ人が幽霊として出てきて、最後は消えていく。
もしかしたら、疲れてるだけかもだけど。
でも、もし…もし本当に、ジェルくんが会いに来てくれたとしたら。
自然と口元が緩んで、俺は思い切り足に力を入れた。
もう、川の方からは日が昇り始めている。
俺はふぅ、と息を吐いてから…心を込めて呟いた。
「…俺も、大好きだよ」
---
「今回は、ジェルくんに向けて動画を撮ってみようと思います」
「あんまり人の死を話題には出したくないんだけど」
「でも、この間…ある出来事があって」
「その、小さいけど大きい出来事が…この動画を作らせてくれたと思ってます」
「天国のジェルくんにも、届いたら嬉しいです。」
「こういうお話は初めてなので、少し聞きにくいかもだけど…そこはごめんね、」
「まず…ジェルくんは、元気ですか?」
『もうめっちゃ元気やで~?なーくんは?』
「俺は元気です。でも、最近お仕事が増えてきて少し忙しいかもです、」
『そっか~…なーくん頑張り屋さんやけど、無理はしたあかんで?』
「無理をしているわけではないんです、りすなーさんやSTPRメンバーのみんな、
そしてジェルくんに…元気を届けられるように、俺が頑張りたいんです」
『うん、知ってるよ。なーくんは…いつでも、みんなのために頑張ってる』
「ジェルくんなら、「なーくんはいつでも、みんなのために頑張ってる」とか
言いそうだなぁ…ふふ、」
『なんでわかったん!?…でも、間違ってないから』
「じゃあ…次に。 今度、初めてのメンバーでのライブがあります
俺と、さとみくんと、るぅとくんと、莉犬くんと、ころちゃんで」
『そーなんやぁ…いいなぁ、おれも参加したかったわぁ…』
「俺も、ジェルくんがいなくて寂しいです。
でも、俺たちだけで…みんなを楽しませられるように頑張ります
|そこ《天国》から、見ててくれると嬉しいです」
『うん…いつでも見てるで?頑張ってるとこも、しんどそうなとこも。』
「…次が、最後です
俺は、あの時のこと絶対に忘れません。
ジェルくんが俺のおかげで生きてるって言ってくれたみたいに、
今はジェルくんのおかげで生きています。
これで…おあいこですか?なんて、笑
…っ、ごめんなさい、
俺のせいで、
俺が…」
『なーくんのせいじゃないで?
俺が助けたくて助けた。俺のわがまま…それじゃあかんの?』
「…ふふ、こんなに泣いてたら…怒られちゃうなぁ、
うん…うん、!ありがとうジェルくん!助けてくれて!」
「これがほんとのほんとに最後!
俺も大好きだよ!!」
『…っ!』
『…ふっ、なーくんなら…そういうと思ったわ、!』
やばい、書いてる本人が泣きかけてる。
やば…死ネタって結構難しいし悲しい…いやわかってた!!推しが死ぬなんて
無理だろうなって思ってた!!思ってたけど…でも、案外書き方思いついちゃったの…!!
喋り方とか、ぽんぽん出てきてめっちゃ調子よかったの…!!!
でも後半になるにつれて語彙力がなくなっていったの!!!