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第一話:精霊との出会い
「燃え上がれ、僕の情熱ッ!!!」
10歳の誕生日を迎えた僕、レオは鏡の前でカッコよくポーズを決めていた。
なぜなら、今日は僕にとって人生最大のイベント、|精霊契約《エンゲージ》をする日だからだ。
この世界では、10歳になったら誰もが精霊の祭壇に行って、なんの精霊に懐かれているかを確かめる必要がある。
そして、その精霊の力を借りて戦う「精霊術師」への第一歩を踏み出すことができる。
僕の夢は幼い頃から決まっている。
真っ赤な炎を操り、仲間を守る強くてカッコいい「火精霊術士」になることだ。
家系の血筋的にも、炎の適性が高いはずだし、火精霊術士なる確率は十分にある。
それに何より、あのメラメラと燃える炎には男のロマンが詰まっている。
「準備万全!!待ってろよ、僕の火精霊!!!」
僕はワクワクして家を飛び出し、町の真ん中にある精霊の祭壇に向かった。
祭壇に着いた時には、すでに大量の人が並んでいた。
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やがて精霊契約が始まり、僕の順番が回ってきた。
神官様に言われ、僕は光り輝く祭壇の前に立った。
祭壇に置かれている水晶に手をかざし、ゆっくり目を閉じた。
(頼む、火精霊。僕の元に来てくれッ!!!)
心の中で、強く、強く願う。
すると、僕の体があったかくーーいや、どこか奇妙に生ぬるい感覚が染み渡ってきた。
メラメラと炎が舞っている情景を想像して、僕は勢いよく目を開けた。
しかし、僕の目の前に浮かんでいたのは、紅く燃え盛る炎ではなかった。
青い水でも、緑の風でも、土の茶色でもない。
そこにいたのは、まるで水のように透明で、だけど確かな形を保って浮遊している不思議な丸い精霊だった。
「あれ…?」
思わず声が漏れる。
祭壇全体が静まり返る。神官様は目を見開き、手に持っていた精霊の書本を床に落とした。
「何事だ…?火でも、水でも、風でも、土でも、闇でもない!!だが、確かに精霊の気配はする…。まさか、属性がない!?」
神官様の震えた声が祭壇に響き渡る。
この世界に存在する精霊は、“必ず“どれかの属性に属している。それがこの世界の常識。
属性を持たない精霊なんて、歴史書のどこを探しても記載されていない。
つまり、僕が|精霊契約《エンゲージ》したのは、前代未聞の【無精霊】
僕は、火精霊術師になるつもりが、世界に唯一の【無精霊術師】になってしまったということだ。
「キュ、キュ〜…」
無精霊が頼りなさげに鳴きながら、僕の頬に体を擦り付けた。
その姿は、なんだか驚いている僕を慰めてくれているようだった。
「はは…。夢の火精霊術師とはとんだ大違いだな」
誰もみたことがない、誰も使い方を知らない精霊。
だけど、僕を癒してくれる存在を見捨てるわけにはいかない。
「君は…キュールだ!!!」
「キュ〜!!!!」
「よろしくね、キュール」
僕はキュールの頭を撫でてあげた。
こうして、夢とは全く違う方向へ進んでいく僕とキュールのおかしな冒険が幕を開けたのだった。