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君との思い出についていく 1話ー2
みたらしだんご
またまた、ファンレターをいただきました!ありがとうございます!
ファンレターに質問みたいなのがあったので答えておこうと思います。
Q 小説が好きだったりするんですか?
A はい、大好きです。最近も2冊買いました。(恋愛小説を買うことが多い)
今回もぜひ最後まで読んでください!
* * *
「もって、2年ぐらいかと…」
そう言われてから、1年と6ヵ月が経っていた。意外にもすぐ時が経ってしまった。
今のところなんの変化もないが、大切に日々を過ごしている。
俺は、いつ死ぬかわからない。だから、彼女を作った。
別に大好きというほどではないが、気にはなっていた。告白したとき、彼女からあの条件を言われたとき、少しびっくりはしたが、OKした。
なぜ椎菜にしたのか。それは、一目惚れ?とでも言うのだろうか。俺は、彼女に惚れたのだ。
彼女を作ることができた。あとは、デートをしなければならない。どこに行くかは決まっていないが、デートは行きたい。人生で最初で最後の彼女と一緒に。
俺の病気のことは、彼女には言っていない。もちろん友達にも言っていない。弟と妹にも。これからも言うつもりはない。死んでからも。
弟と妹はまた別だ。まだ小1だから、もう少し大きくなってから、話してもらうつもりだ。
きっと、椎菜はまだ俺のことを好きにはなっていないはず。だから、俺と付き合っていくうちに好きなっていくだろう。
だが、椎菜は本気で好きにならないことを条件として付き合ってもらった。なぜ、あんな条件をつけたのかは分からないが、付き合ってくれたことに関しては、とても感謝している。
あと少しで冬休みに入る。冬休みに入ればデートし放題だ。だが、大学を受験するとなれば、また別だが。
俺は、あと4ヵ月ほどしか生きることができないから、大学に受験する必要もない。でも、椎菜が大学に行くのなら受験するはずだ。
だから、デートがたくさんできるわけじゃないが、できるだけたくさんデートをするつもりだ。
今日は、月に2回の病院に行く日だ。この日にいつも病状が悪化していないかを調べる。
病院に着き、受付を済ませ、待合室の椅子に腰掛けた。スマホを取り出し時間を潰していた。
「あっ」
突然、女の子の声がした。しかも、聞き覚えのある声だった。顔をあげると椎菜がいた。俺は固まってしまった。病院でばったり会うなんて。
「よ、よう。椎菜」
「あ、うん」
「きょ、今日はなんで、病院にいるんだ…?」
「えっ、いや、ちょっと風邪気味で…」
「あ、そう、なんだ」
「穂樹くんは?」
「えっと…」
ここで本当のことを言うべきなのか。でも、俺は言わないと決めている。
「ちょっと、体調悪くてさ…」
「あ、そうなんだ。大丈夫?」
「う、うん。大丈夫…」
「そっか」
「あ、あのさ」
俺はデートに誘うことにした。病院で。
「明日、空いてる?」
「うん。空いてるよ」
「じゃあ、どこか行く?」
「うん。いいよ」
「じゃあ、11時くらいに家に行くよ」
「うん。分かった」
こうして、明日デートに行くことになった。
俺の名前が呼ばれ、椎菜と別れ、診察室に向かった。扉を開けて中に入る。
「お座りください」
「はい」
主治医の先生は、病院の中でも人気らしい。話を聞くと、この病院の中でも唯一のイケメンらしい。俺は別になんとも思っていないが、モテモテらしい。
「最近お変わりないですか?」
「はい」
「じゃあ、検査しましょうか」
「はい」
検査と言っても簡単な検査ですぐ終わる。
「異常ないですね」
「そうですか」
「ですが、油断してはいけません。突然、急変することもあるので」
「はい。わかりました」
診察室を出て、会計を済ませ、処方箋を出す。薬を受け取り、外に出ると、椎菜がいた。
「あれ?椎菜?」
「あ、来た」
「待っててくれたのか?」
「うん、そうだよ」
「そうなのか」
椎菜は優しいということが分かった。椎菜の性格は全く知らなかった。だから、こんな一面を見られて良かったと思う。
「薬はもらわなかったのか?」
「えっ、あ、うん。薬はいらないよ、って言われてさ」
「そっか」
風邪気味なのに薬をもらわないっていうことがあるのだろうか?そんなことあまりない気もするが。もしかして、他の病気が…?
でも、そんなことを言ったら、俺だって椎菜に嘘をついている。だから、もし、椎菜が隠しているのなら、お互い様だ。
「そういえばもうすぐ冬休みだな」
「うん。そうだね」
「どこか、遠いところに行きたいな」
「例えば?」
「んー、旅行とか?」
「えっ…」
「ん?」
「い、いや、そうだね…」
椎菜は少し戸惑った様子だった。戸惑うようなことを俺は言ってしまっただろうか。
何か旅行に嫌な思い出でもあるのだろうか。それだったら、申し訳ないと思う。
「じゃあ、私こっちだから」
「あ、うん」
椎菜は慌てるように帰ってしまった。そんなに旅行が嫌いだったのだろうか。また明日聞くことにした。
* * *
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回もぜひ読んでください!