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夢色何色?
主の誕生日記念の短編です。
今を生きる人たちの、夢の世界のお話。
透明で透き通った、僕の『夢の世界』。
まだ、何の色も纏わない。
これから、何色を塗っていこうかな?
青色にしようかな。凄く綺麗な色をしているし。
でも、赤色も良いなぁ。情熱!って感じが憧れるもん。
う~ん、でも、黒もかっこいいな。闇とか、ダークヒーローって感じがめちゃくちゃかっこよさそうだしなぁ。
あ、でも、白も良いかもなぁ。黒の対で、正義のヒーロー!っていうのには憧れるしなぁ……。
あと、恋するピンク色も可愛くて良いかも。僕も、あま~い恋愛とかしてみたいし、パステルピンクの世界は凄く……青色の世界と同じくらい綺麗らしいし。
あ~、結局何色にしようかなぁ。
どの色も良くて、決められないなぁ。
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夜景みたいな、私の青色の『夢の世界』。
私からみても、凄く綺麗。……でも、私はこの色はそんなに好きじゃない。
私のこの青色は、自分の内側を必死で隠すために上塗りをした、偽物の色。
皆綺麗だって言う。羨ましいって言う。
でも、内側は乾ききった、醜く見える色。
………いっそ、青色を上塗りせずに、黒に染まっていた方が楽だったのかもしれない。
あ~あ、私の反対の赤色や、潔白な白が羨ましい。
恋して、可愛い色で、綺麗な世界なピンク色が羨ましい。
……もう一度、透明に戻れたらなぁ。
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辺り一面真っ赤な、あたしの『夢の世界』。
赤色は、何の色だと思う?これを見てる人間さんたち。
情熱?熱血?明るい?
あはは、馬鹿みたい。そんな綺麗な話な訳ないでしょ?
赤色はね、血の色。あたしの現実世界の行動が、『夢の世界』にまで影響したんだって。
………え?何してるんだ、って?
さぁね?誰かは分かるんじゃない?
………まぁ、『夢の世界』くらいは、リアルと反対の世界がよかったな。
青色。羨ましいな。綺麗。
黒。赤よりも黒の方が好きだよ、あたし。いいなぁ。
白。潔白の色。あんな人になりたい。
ピンク。恋かぁ。……まぁ、いっか。
でも、なれるなら透明だった頃に戻りたいな。
あの頃のあたしを、変えられれば……。
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光一つ見えない、真っ黒な俺の『夢の世界』。
たまに、黒がかっこいいとか、あんな夢の色が良いとか言ってる奴らがいるけど、これだけは言っておく。黒が何の色か分かってんのか?
救い一つ貰えなくて、諦めた奴の夢が黒くなるんだよ。真っ暗な夢にさ。
過去も真っ暗。お先も真っ暗。人生真っ暗。って訳さ。
赤色の奴が『黒が羨ましい』なんて言うけどさ、俺もお前が羨ましいよ。自傷する程度で済む環境に生まれて。
あ~あ。白の奴、羨ましい限りだよ。ひと目見ただけで潔白を見せつけられるような色でさ。
あ~でも、青色も憧れるな。綺麗な夢の世界でさ。俺なんて綺麗かどうかも分からないのに。
……あと、ピンクの奴みたいに、綺麗な青春をやってみたかったな。ま、こうなっちまったからしょうがないけどさ。
………はぁ、透明に戻れたら、どんなに良いことか。
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透明に見間違えそうになる、僕の真っ白な『夢の世界』。
黒の対だから白は正義のヒーローの色、なんて訳の分からない解釈をする人が、けっこう多くいる。
でも、黒が悪の色、なんて定義あるの?
解釈のしようによっては、黒は悪じゃないと思うんだ。
まあ、話を戻せば、白は正義のヒーローの色じゃないってこと。
でも、流石に僕の話を聞いていたらそれくらいは分かると思うよ?
白は、無関心の色。潔白でも正義でも何でもない。彩りの無い、虚無で埋まった、僕の『夢の世界』。
………黒は、他の色も、色があるだけいいじゃないか。僕は、お前らが羨ましいよ。
綺麗な世界が良かった。青色やピンク色の世界が羨ましい。妬ましい。
色がある世界が良かった。妬ましい。妬ましい。羨ましい。憧れる。
どれにでもなれる、透明が羨ましい。
………あの頃、もっと……何をしていたら、僕はこうならなかったのかな。
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夜明けの空みたいな色の、私のピンク色の『夢の世界』。
私が恋をしているから、こんな色。
でも、一見綺麗に見えるのは、単なる上塗りだから。
私の、黒やら赤やらがごちゃごちゃになっていた世界が、『恋』一つでこんなピンク色になったの。面白かったなぁ。
でも、恋なら、どんな恋でも、こんな色になるって。
どんな醜い色でも、『恋』一つで綺麗になるんだから、不思議だよね。
……でも、もう届かないんだ。
いっそ、知らずに過ごしたかった。元の醜い色は嫌だけど、変えられるなら、何色が良いかな。
青色……良いなぁ。私青色好きだし。
赤色も良いなぁ。情熱的になってみたい。
黒……は、嫌だな。またあの醜い色になっちゃう。
白が良いかも。純真潔白って感じだし。
あー……でも、透明に戻って、また一からやり直したいなぁ。
そうしたら、もっと変われたのかな?
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……出来た!
僕の『夢の世界』。青に、ピンクに、緑に、黄色、紫に、水色に、オレンジ色に……。
僕の世界の『虹』。明るいところ、暗いところ、色んなところを持つのが、『僕』の『夢の世界』。
………うん、けっこう綺麗に仕上がってきているかな。
最後に、少しだけ透明なところを残して、僕の『夢の世界』は完全だ。
残った透明のところは、僕の未完成の部分。完璧じゃないところも『僕』だから。
これが、僕の『夢の色』だ。
あなたの夢は、何色ですか?