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無謀な提案、そして感じ取れなかった人影
「ま、今日は休んで行きなさい。無理も良くないし」
「そうさせてもらうわ、色々整理したいしな。まだ俺の部屋残っとるか?」
「えぇ、いつでも帰って来れる様に残してあるわよ」
「ん、ありがとうな。姉ちゃん」
姉ちゃんって呼ぶの懐かしいな。なんて最初に来た思い出に酔う。
部屋に入ってはベッドに寝転んで、頭を休ませる。
あいつらを記憶から消す為に一眠りする。
一緒だと誓ってもその誓いもいつかは消える。
信頼が消えるのと同じ。
飼い主がいなくなった犬もいつかは忠誠心が消える。
人間も妖怪も、忠誠を誓った所で消えるから意味なんてない。
そう思い始めたのはいつ頃からだろう。
もう、覚えていない。
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「着いたで」
「案外あっさりやな」
「zmさんの能力強いっすからね」
地底に入った。
ここにきっと…いや、絶対shaはいる。
あいつにとって地底は実家だからだ。
さとりにも事情は話せば会わせてくれるはず、そんな淡い期待を持つ。
最悪、|戦争《 弾 幕 げ ー む 》 で無理矢理通るしかない。
そうでもしないと、あいつが死んでしまいそうで怖い。
とりあえず、門番の芳香…だっけな。
そいつはzmの能力で戦闘不可能にしておいた。
あとは宮殿の中を探索しまくるだけ。
生憎中まで入った事はないので0からの探索になる。
「どうするんすか、別れます?」
「別れた方が効率ええしな」
「いや、なるべく集団の方がええ。俺の能力が…」
「あー…w」
と言う事で集団で探す事に…。
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全部の部屋を開けて隅々まで見ていく。
もう外はとっくに暗くなっているだろう。
いくら時間が経ったのかもわからない。
最後の一部屋のドアを開けようとドアノブに手を掛けた瞬間、
ガチャ、と音を立ててドアが開く。
目の前には俺たちが探した、ニット帽に黄色いオーバーオールを着た彼が立っていた。
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「…何、しにきてん」
「何って、お前を探しに来た以外あらへんやろ」
「芳香はどうしたん。あの子、簡単に倒せへんはずなんやけど」
鋭い眼光でut達を睨みつける。
どこまで逃げても付いてくる。
まるでストーカーの様に、未練があるゾンビの様にまとわりついてくる。
もう付いてくるのはやめてくれ、苦しみが増すだけだから。
「あの子はzmの能力でやったで。なぁsha、一緒に外の世界に行ける方法探そうや」
「は…?何でそんな無謀な…」
意味がわからない。
外の世界へ戻る方法を探す?
何言ってるんや。
もう迷い込んだら二度と出れへんのやぞ?
馬鹿なんかな、わざわざ地霊殿まで来て俺を引き戻そうとして。
目標には一途って事は大先生…いや、お前らが1番知っとるはずやのに。
そんな時、後ろに人影が見えた———