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公開中

あの日のアイス

姉にアイスを食べられた。 暑い夏の日。 「なんで食べたの。」 私は姉に怒鳴るようにして聞いた。 「だってそこにあったから。」 放ってたアンタが悪いんだよ。そう言わんばかりに姉は冷たく言い返して来た。 「わたしが買ったアイスなのに。楽しみにしてたのに。ひっどい。」 「名前も何にもなかったんだもん。」 姉はヘラヘラとしながら平気そうにした。頭ひとつ分高いところから見つめる目がとにかく憎らしかった。 「ねーちゃんのバカ。大っ嫌い。死んじゃえ!」 私はそう怒鳴り捨て自室に篭った。 もちろんエアコンなんてない部屋は暑くて堪らなかったが、私は部屋から出なかった。 これは根比べなのだと。
「ねぇ。…昼はごめん。」 自室のドアをお構いにしに開かれて、そこには姉が立っていた。 いつもの仁王立ちで上から偉そうに、謝る空気は見えなかった。 それでも、あのごめんの一言は、姉にしては珍しくて、私はきょろっと目を見開きかけて、素直に姉の方を見た。 「次からは食べないで。」 「名前書いとらんとまた食べるかも。」 やっぱりいつもの姉だった。 私はそのまま姉をどかすように部屋を出て、またリビングを通って、台所に佇む冷蔵庫の冷凍室を開いた。 そこにはマジックで名前の書かれた、あの昼食べられたアイスがあった。