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書く習慣#2
2025.1/17『透明な涙』
濁ったものから流れているのに、どうしてこんなにも透き通っているのだろう。何も無いと思っていたはずなのに、こんなに塩っぱいものが零れ落ちるのだろう。
空っぽだと思うことすら贅沢だと叱るみたいに、「何も無いなんてことないよ」と慰めてくる。放っておいてくれと頼み込んでも、ただ苦笑いを浮かべるだけで。「傷つく心があることは、空っぽじゃないんだ」と笑いかけてくる。
何も無いと思えた方が楽なのに、苦しくて正しい道を進ませようとしてくる。
大嫌いだよ、お前なんて。
偉そうなんだよ、傷付いてる時にしか出てこないくせに。
贅沢なんだよ、俺より綺麗な名前しやがって。
クソ、クソ。
お前のお節介のせいで、変にスッキリしちまうだろ。
クソッ。
明日からまた飯食っちまうだろ。
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2025.1/21『明日に向かって歩く、でも』
一歩一歩歩く。水溜まりに長靴が入る。ぱしゃん、ぱしゃん。アスファルトの穴ぼこに、昨夜溜まった雨水が。泥混じりになって跳ねていく。
楽しそうに歩く。もう一度跳ねる。水溜まりの映していた空はまだ灰混じりの青。
そうして遊んでいたけれど、駄菓子屋に行くことを思い出して。それと喉が渇いたなあと思って、自販機までぺたぺたと走っていく。
ちゅんちゅんと鳥が鳴く。ふと後ろを振り返る。まだ羽根が濡れている雀が雲の中へと。
一歩一歩歩く。水溜まりに革靴が入る。じゃぶ、ちゃぷ。スマートフォンから目を離して眉間に皺が寄る。泥の混じった革靴が水たまりから離れていく。
疲れきって歩く。靴下がほんの少し濡れている。水溜まりの映していた空は星よりも街灯の色。
昔は遊んでいたけれど、今はもうすっかり忘れてしまった帰り道。はたと立ち止まってはまた戻って、水溜まりを覗き込んだ。
夜のチャイムが鳴る。もうすっかり遅い時間だった。泥混じりの水たまりが、また少しずつ辺りの景色を映し出し始めた。
ぱしゃん、ぱしゃん。
一歩一歩歩く。明日に向かって歩く。でもほんの時々は、楽しかった昨日のことも忘れないように。