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白夜
自分に嘘を付き続けている子のお話です。
「雪花、これお願い!今忙しいの」
「また?しょうがないなあ」
ヤダとは言えず、沢山のプリントを受け取る。
「ありがとう!」と言い、友達は立ち去っていった。
友達と言えるかは怪しいが。
あの子にとって私は、都合のいいときだけの”偽り”の友達だ。
最近は話しかけても無視するし、陰口を叩いている様子も見られる。
でも、コッソリとやっているから先生は気づいていない。
優等生ぶってるとか思って、気に食わないのだろう。
別に優等生ぶってるわけではないが。
でも、そんなこと気にしてはいない。
私には太陽があるから。
私の沈んだ心を明るくしてくれる。
最初は、弱みをさらけだそうとしてるんだ、なんて考えてた。
けど、今は太陽の光に当たっている時間が一番の幸せ。
机の上に体を伸ばし、ポカポカした気分になるのが、私の日課。
なんだけど、今は暑い。
7月下旬。
夏真っ盛りだ。
だから、太陽に当たるのが辛い...。
ってわけではない。
35度を超える日が続く今日このごろも、太陽を浴びるという日課は変わらない。
*
「ただいまあ」
「雪花、おかえり」
学校から帰ると、家にはお母さんがいた。
普段は、近所のスーパーでバイトをしているのだが、今日は休みらしい。
「どう?学校は楽しかった?」
ううん。
嘘の友達にこき使われて大変だった。
なんて、言えるわけもなく。
「うん!友達が変なことしててね...」
お母さんに助けを求めることもできない。
それが、私の一番の弱みだ。
自分の辛さを他人に打ち明けることができない。
偽りなのは、私と友達の関係だけじゃなくて、私自身も。
「ねえ、雪花。今度、公民館で夏祭りがあるんだけど、鈴桜と一緒に行ってくれない?夏休み中にクラスの子に会える、いい機会にもなるし」
鈴桜というのは、私の妹。唯一、私のことを理解しようとしてくれる子だ。けれど、真実は話せていない。
「夏祭り...か」
「ダメかな?」
「ううん、大丈夫。楽しみにしとくよ!鈴桜と沢山遊んでくるね」
そう言うと、私の気持ちを知らないお母さんは顔をほころばせ、「よかった」と言って、料理を作り始めた。
*
宿題が終わった私は、嘘の笑顔を作ることに疲れ、自分の部屋に逃げる。
窓の外を見ると、いつしか日が沈み、月が出ていた。
私は、太陽が好きだ。
それと反対に、夜が好きではない。
私の暗い心を、さらに、暗闇に落としてしまいそうで。
机の上にあるパソコンに起動させ、フリー会話スペースの一部を開く。
そこでは、「空」の話が繰り広げらている。
太陽の話も。
だから、そのスペースを見るのが私は好きだ。
今日は、南極や北極の空模様の話になっていた。
何やら、「|百夜《びゃくや》」という現象が起こるらしい。
『具体的には、どういうことが起こるのですか?』
少し狭い私の部屋中に、パチパチというタイプ音が響く。
気になったことは、すぐに聞くようにしているのだ。
「送信、っと」
返事はすぐに帰ってきた。
『夏の間、一日中太陽が沈まない日があるんです。そういう日を百夜と言うんですよ』
太陽が、
「沈まない日」
いいな。
羨ましい。
私に、そんな日が一日でもあれば、もうちょっと明るくなれるかな。
そんなこと叶いやしないけど。
南極と北極なんて、ここからどれぐらい離れてるんだろう。
想像もできない。
どうせ、叶わない願い事なんだよね。
明日も、この暗い心のまま、学校に行かなきゃいけないんだよね。
誰か、私の心を救ってくれないかな。
誰か、私に「白夜」をくれないかな。
そんなことを繰り返し、私の一日は過ぎていく。
毎日、何も変わらないまま。
私の心の中に、光が当たらないまま。
うわああ?なんか、この話、終わってなくね。どういうこと?って書き終わって自分でも思ったけど!いいやあってなりました。あははっ。まあ、はい。ファンレターくれると嬉しいです!ファンレターくれた方には、必ず返すことにします。今、ここで決めました。ということで、ファンレターください。あ、別に無理には求めませんが。くれると嬉しいなあってだけですよ?