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    美しい雑草
    
        野生のごりら
    
    
        この話は1話きりです。
    
    
    「突然だけど人は花に例えられると思う?」
僕は半分そう思う。だって明るい笑顔を絶やさない天真爛漫あの子はひまわりのような人間だ。棘があって近寄り難いけど周りから見る分にはこれほどまでにないくらい美しいあの子は薔薇だったり。
色んな花があって色んな素晴らしさ。そして美しさがある。
「なら僕は?」
これと言って長所も無いし夢もない。人より劣る事が良くあるしひまわりのような輝きも、薔薇のような神秘的な雰囲気もありやしない。花と呼ぶには少し相応しくないかもしれないね。
もしかするともう枯れてるのかな…。そう思う時も多々ある。人は苦しみや悲しみに見舞われると元気が無くなるように花も同じく枯れる。茶色く濁り輝きや美しさを失う。
でもお水をあげると元気を取り戻す事だってある。人も同じ。お水と言う名の愛情や優しさで輝きだすんだ。
人によって必要な水の量は違う。少量で治る事もあるし多くあげてもなかなか花が咲かない事だってある。
「僕にとってのお水ってなんだろう?」
自分の花を咲かす方法は自分でさえ知らない。咲かすためのお水もどうやって補給するのかさえ知らない。
僕は現状に満足しているのか。何が必要なのか。全てが疑問だ。
もしかしたら僕に花なんて咲かないんじゃ?もしくは僕は花が咲かない運命なのかもしれない。
でも、それでも僕は必死に生きている。努力も勉強も得意じゃないけど生きているんだ。
例え花が咲きにくい”雑草“でも生きれるんだ。
雑草が輝くのは難しいかもしれないけど、しぶとく生きているその姿も“美しさ”の一つなんじゃないかと僕は思う。
花になれなくたって、花が咲かなくたって、注目はされないだろうけど必ずどこかに見てくれる人はいる。
「僕はそう信じているよ」
End